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2024年上半期お気に入り音楽

  2024年上半期で良かった音楽作品紹介。世界的には打ち込み主体のヒップホップ、R&Bダンスが主流かもしれませんが、個人的には生のバンドサウンドが聴きたくてたまらなくなっています。そんな好みが反映されたラインナップになった気がします。

 2023年の上期・下期はこちらから。↓

 

『Prelude To Ecstasy』/The Last Dinner Party

 デビューしたてのこの新人バンド、アルバムを聴いた際は、「ちゃんと際立ったメロディを歌っているバンドだな」くらいの好印象程度でしたが、コーチェラの配信でライブを見た時の振る舞いにKOされてしまいました。5人のメンバー全員キャラクター性があって、ファッションもバラバラのようでいて、揃って見ると不思議な統一感があるんですよね。観客も女性が多く、皆、『セーラームーン』や『プリキュア』を観ている女の子のようにキラキラした顔が印象的でした。目前となったフジロックのライブも非常に楽しみです。


『What Now』/Brittany Howard

 ブリタニー・ハワードのソロ2作目。これも生バンドサウンドですが、若干クラブミュージック的な反復ビートを感じさせるもので、そこがまたカッコいいんですよね。音の鳴り方にもこだわりが感じられて、録音として非常にレベルが高いと思います。ここまで良いサウンドをソロで鳴らしていると、やはりALABAMA SHAKESの活動再開は必要ないのでしょうか。ちょっと寂しい‥。


『The Collective』/Kim Gordon

 ソニック・ユースのメンバーソロには注目しておりませんでしたが、久々にキム・ゴードンを聴いてみたら、無茶苦茶尖った音出していてビビりました。もちろん、ギターノイズの第一人者ではありましたが、今作でのヒップホップ的なリズムアプローチに驚かされます。70代ですよ、この人。年取ると自由になるというけど、本当にそのまま野放図に音を出している感じがします。


『COWBOY CARTER』/Beyoncé

 前作『renaissance』では、大傑作のハウス・ミュージックを鳴らしていたのが、今作では一転、大傑作のカントリー・ミュージック。三部作の二作目になるそうですが、予定では前作の前に今作を出す予定だったとか。そのせいか、カントリー的サウンドをサンプリングしてビヨンセの曲に取り入れている印象で、前作よりもビヨンセ感が強いですね。しかし、この人も何やらせても傑作にしてしまうので、ちょっとやる気が無くなるくらい凄いですね。「ビヨンセ1人いればよくないですか?」みたいな気分になってしまいます。3時間超えの大作映画を観たような満足感。


『Light Verse』/Iron & Wine

 アメリカのSSWの新作。前作でもシンプルな弾き語り中心のサウンドで、本作もその延長にあるように聴こえますが、もっとスケールの大きな音になっているように思えます。基本の歌が良いのはそうなんですけど、ストリングスのアレンジとかも良く出来た曲になっていて、いい歌だけの単調さが無いんですよね。非常に聴き易い音楽でした。


『FIND YOUR FLAME』/NUBIYAN TWIST

 大所帯のアフロジャズバンドの新作。ナイル・ロジャースが参加したM②が最高にイカしています。この空気がアルバム後半まで持続して、全体を踊らせるアルバムに仕立て上げていますね。終盤のメドレー的な曲の連なりが超快感。


『I'M DOING IT AGAIN BABY!』/ Girl In Red

 個人的には世界が持て囃すほど、2nd以降のビリー・アイリッシュにノレていない部分があるのですが、ビリーの兄・フィニアスが手掛けているこのアーティストの方が、スタンダードなポップスとして質が高いと思っています。90年代的なバンドサウンドがありつつ、ヒップホップやダンスミュージックもしっかり押さえていて、なおかつメロディが良い。クラフトワークと被っていなければフジロックで見たかったんだけどなー。


『Fearless Movement』/ Kamasi Washington

 スタンダードなジャズと、ヒップホップ、エレクトロなどを違和感なく融合した傑作盤だと思います。「Prologue」と題されたラスト曲、ちょっとたしたエンディング曲かと思いきや、BPMが最速の長尺ナンバーというのも最高にカッコいい。


『Sparkle X』/ THE YELLOW MONKEY

 10代の頃からずっとファンなので、新しいことやるバンドではないと理解してはいますが、流石にこのサウンドはダサすぎないか? とか思っていたんですけど、4,5回も通して聴いていたら、不思議とめっちゃ良く感じるんですよね。もうロック云々ではなく、歌謡曲としての魅力が圧倒的に強いんだと思います。どれだけ壁を作っても、心に残ってしまう人懐っこいメロディ。やっぱりイエモンは憧れの存在。出来るだけ永く魅せて欲しい。


『呪文』/折坂悠太

 大傑作だった『心理』に続いてですが、気負うことなくすんなりと地続きの傑作アルバムになっています。前作はバンドアンサンブルが印象的で、今作もバンドサウンドが占めているのですが、日常的なジャケ写のせいか、今作の方が弾き語り的な歌の印象が強い作品になっています。特にM⑦の「正気」が持つ、怒りすら感じさせる強い正しさは、このクソみたいな世界で生き抜いていく糧になるような歌です。こういう栄養が欲しくて音楽や芸術を必要としているんですよね、僕らは。


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