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コロナ後の世界と日本の未来の思考~ 「縄文的地方」と「弥生的地方」その6ー本研究への参加専門家からのコメント

この続きを書いていきます!本シリーズ最後です。

今回の研究について、先生方からは以下のようなコメントをいただいきました。

先生方の所属とフルネームはこちらに紹介しています。

櫻井先生

ー大事なことは二つのパターンに分かれるということでしょう。その二つのパターンを分けて結果としてその特性を説明するべき。その上で、弥生か縄文として分けるならそれもいいのですが、無理に弥生と縄文にしなくてもよいのではないでしょうか。
ーシナリオの描き方はいいと思います。飛躍するのは全く問題ないと思いますが、結語の魅力的な街づくりに持っていくのは無理があるのではないでしょうか。魅力的になる必要がありますか?日本の未来予想図的にはこうなるけど、でも、ここは気を付けていかないといけない、くらいの提言でもいいのではないでしょうか。

亀岡先生

ー地方の縮退の問題は、日本全体の人口減少問題と海外移民の受け入れ政策と大きく関わる。また、「縄文的地方」であっても、受け入れには「ワーケーション的働き方をするノマドな人々」の地域理解が不可欠である。
ー『また、こうした「ワーケーション的働き方をするノマドな人々を受け入れる地方」(狩猟民族的な「縄文的地方」)と「なるべく外の人は入れたくない、鎖国的な政策をとる地方」(農耕民族的な「弥生的地方」)に地方は大別され、その間に交流はない「分断」が起こるのではないかと考えた。』という単純化された仮説には無理がある。
ー「地方を愛し地方で働く人は受け入れるがワーケーション的働き方をする人は受け入れたくない、豊かな地域を目指す政策をとる地方」(日本に現存する豊かな村)が存在することを意識した分析が必要。

大江先生

 縄文と弥生 の分断 の部分がよくわかりません。漠然としたコンセプトを結論に持ってこられたので、混乱しています。国税や住民税の仕組みから縄文と弥生の分断が無理ではないかという気がしています。

細野先生


ー 日本において一極集中は歴史上長く続いており、変わらないと思われる。中央集権を政府(中央政府も都道府県も)は壊したくない。
ー郊外に出て行くとして、大都市の郊外程度になるだろう。
ー地方は大別して閉鎖的。Uターンは(せいぜい)OKだがJターン、Iターンは受け入れがたいだろう。
ー日本は人が少なくなっていく。その中でリカレント教育がなされていく。
ー浅草が関東大震災でどうなったか。今首都直下地震がきたら、首都機能は立川あたりに行くのではないか。
ー分断が起き、中間層が居なくなることはある。
ー地方はディストピアになっていく。マルチハビテーションはあるだろう。1割以上の空き家があると言われている。Workationは受け入れる自治体が多い。来て欲しくはないけど、背に腹は代えられないから、定住しなければ良いという考え方。疎外意識、都市から恒久的な受け入れはできない。そういう意味で、行くのは地縁のないところの方が比較的良さそうである。
ーフランスは中央主権、ドイツは連邦制。日本は比較的ホモジニアスな世界に安住したい。よそ者に不寛容なところがある。地方に来る人たちは、都会で敗れたんでしょう、という見方をされてしまうこともある。
ー日本では地方分権は歓迎されないから、道州制も首都移転も否定されてきた。所得分配は政治がやるという考えである。
ーペストなどの歴史から2年間で感染症は治まる(ただし間隔をあけて繰り返し襲う)と言うのが通例なので、その後は共生状態に戻っていく可能性もある。

そもそもシナリオ分析は関わった先生方全員で議論を行い、シナリオを作っていくのが理想ですが、今回はコロナの影響で同時に一カ所に集まり議論することが困難な状況もあり、レイン福田さやか・CDP高瀬香絵の2人でシナリオを作りました。このため、分析は2人の意見・見解から一面をとらえたものにすぎず、先生方の意向を取り入れた形の分析とできなかったことは大変残念でした。上記のコメントのように、シナリオ分析は一つの未来を示したものであり、各先生方の立場、また、一般の皆様方の立場から、異論反論もあるものと思います。
とはいえ、今回の分析のベースとして、61名の方々のアンケート結果を基にしていることもあり、一つの結論として、今回のシナリオ分析の結果はある程度紹介するに値するのではないかと考えました。今後もこの研究は続けててみたいですが、一旦発表をすることで議論を呼び起こしたいと考えました。是非、忌憚のないご意見をお願いできれば嬉しいです!

2020年4月から始めた本研究もこれで一区切りとしたいと思います。ご協力いただいた皆様、応援していただいた皆様、ありがとうございました!

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