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AI分析~アフターコロナのネット上の記事や書き込みのAIによる分析 vol.1

AIによるソーシャルリスニング

今回は、前回に引き続き、マーケティング調査手法の1つ、Social Listeningで、アフターコロナを読み解きます。前回の記事の繰り返しになりますが、Social Listeningとは、いわゆるアスキング手法と呼ばれるインタビューやアンケートなど、「聞いたことに答えてもらう」方法ではなく、「自分の思いを自発的に述べた」ことを「傾聴する」ことで消費者の本音を解き明かそうというものです。

今回の手法は、AIによる分析です。とは言っても、私自身がAIのナカミについてノウハウを持っているわけではなく、AIツールを使えると言うだけの話です。各社様々なAIツールを出しており、主に、過去の記事や書き込みの収集とその推移、記事や書き込みが「ポジティブ」なものなのか「ネガティブ」なものなのかに関する自動判定、また、頻出単語頻出ハッシュタグの分類ができます。

AIツールにはそれぞれ癖や特徴があり、ツールの特徴を見極めながら使っていくという感じになります。今回はこうしたAIツールを使って、「アフターコロナ」「コロナ後」「ポストコロナ」「ウィズコロナ」の書き込みの4月23日0時過ぎまでの過去7日間を分析しました。

キーワード毎の総書き込み数とエンゲージメント、ポジティブ・ネガティブ

4キーワード書き込み数

上記は、それぞれのキーワードの過去7日間の書き込み数とポジティブ、ネガティブ(あくまでAIの自動判定したもの)です。Kは000という意味(つまり千)なので、アフターコロナは29,100件の書き込みがあったという意味ですね。

エンゲージメントというのは、書き込みに対するアクションの総数です。なんのこっちゃという感じもするかもしれませんが、Twitterで言えば、「クリック」「リツイート」「返信」「フォロー」「いいね」の5種類です。アクションを行った人数ではなく、アクションの総数で計算されます。エンゲージメントは書き込みの数と比例して「コロナ後」が一番多く、その半分程度が「アフターコロナ」、そのさらに1/4程度が「ポストコロナ」、そのさらに1/3程度がウィズコロナという形です。

また、ポジティブ・ネガティブについては、比較すると、「ウィズコロナ」の書き込みの方が、「コロナ後」よりも15ポイント程度ポジティブな内容を書き込んでいるらしいことが分かりますね。アフターコロナとポストコロナはあまり変わりません。

キーワードの推移

続いて、各キーワードの推移です。それぞれの波を比べるときには左の縦軸の桁が全然違うので単位をよく見てくださいね。

アフターコロナ

アフターコロナ推移

コロナ後

コロナ後推移

ポストコロナ

ポストコロナ推移

ウィズコロナ

ウィズコロナ推移

「アフターコロナ」頻出単語と頻出ハッシュタグ

続いて、頻出単語と頻出ハッシュタグを見てみましょう。まずは、アフターコロナと一緒に頻繁に登場する単語、頻出単語と頻繁に登場するハッシュタグ、頻出ハッシュタグです。なお、単語の大きさはその単語に触れられた書き込みのエンゲージメントが高いことを示しており、色は見やすくするためのためだけについています。

「アフターコロナ」頻出単語

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「アフターコロナ」頻出ハッシュタグ

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頻出ハッシュタグの文字が大きい(エンゲージメントが高い)ものでどういう文脈で書かれているのか分かりにくいものを見てみました。

#ShowTheFlagおよび #新秩序 #米中戦争の各ハッシュタグ

この記事に反応してつけられたツイート(著作権の関係上、元のツイートは紹介しません)に#ShowTheFlag、#新秩序、#米中戦争のハッシュタグがついていたのですが、それが大きくバズったため、という割と単一の理由によりました。

「コロナ後」頻出単語と頻出ハッシュタグ

「コロナ後」頻出単語

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「コロナ後」頻出ハッシュタグ

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気になったのは、#現代ビジネス、#コロナ財政、#インフレ、 #L字回復 、#コンテイジョン、#マネー現代のハッシュタグです。

まず、現代ビジネスから見てみると、以下の記事がバズったためでした。

ツイッターの書き込みはやや批判的なトーンのものが多かったです。

続いて、#コロナ財政、#インフレ、#L字回復ですが、日本の元大蔵官僚、経済学者の野口悠紀雄氏のツイートで全て触れられており、これがバズったためでした。ちなみに、野口氏はインフレが起きるというわけではなく、インフレは起きないという趣旨の書き込みをしており、AI分析ではこのような否定語まで拾ってくれないこともあることから、頻出単語やハッシュタグだけを見て判断しないよう注意が必要です。L字回復というのは、経済回復しない状態が長く続くという趣旨で書かれていました。

また、#コンテイジョンについては、映画「コンテイジョン」のソダーバーグ監督が新型コロナ後のハリウッドの安全対策制定を指揮することになったというニュースが話題になったためでした。

マネー現代は以下の記事が人気のためです。

「ポストコロナ」頻出単語と頻出ハッシュタグ

続いて、「ポストコロナ」頻出単語とハッシュタグです。

「ポストコロナ」頻出単語

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「ポストコロナ」頻出ハッシュタグ

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また気になるものがあります。

#ポストコロナonline会議 、#日本式ロックダウン、#ピンチをチャンスに、#東洋経済オンラインを見てみましょう。

#ポストコロナonline会議 、#日本式ロックダウン、#ピンチをチャンスに

哲学者のNoh Jesu氏により定期的に開催されているオンライン会議で、これが多くの参加者を集めて盛り上がっていることからハッシュタグが開催と同時にバズっている模様です。なお、日本式ロックダウンもクリーンジャパン戦略もこのツイートについていました。ピンチをチャンスにもこのイベントを紹介しているツイートについていました。

#東洋経済オンライン

こちらの記事が人気だったためです。都市と地方の関係性は注目のようですね。

「ウィズコロナ」頻出単語とハッシュタグ

最後に、ウィズコロナです。

「ウィズコロナ」頻出単語

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「ウィズコロナ」頻出ハッシュタグ

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一番気になるのが#フードウィズコロナですね。#人類の可能性へも気になります。

#フードウィズコロナ

フードウィズコロナは、食とコロナの共存についてで、色々な人が取り上げています。noteでフードウィズコロナに関するアンケートもされています(飲食店向け)。

#人類の可能性へ

これは、以下のプレスリリースが出たことによるものでした。

まとめ

長い記事にお付き合いいただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか。

まとめとして以下をあげたいです。

AIによるSocial Listening結果のポイント

・国際関係、特にアメリカと中国の関係性、それに対するイギリス等諸外国の反応は注目が高い
・都心への一極集中と地方分権については注目のキーワード
・アフターコロナを新秩序と捉える書き込みが人気を集めた

Social Listeningを行うときの注意点

頻出単語や頻出ハッシュタグをそのまま世の潮流と見過ぎないで、構成しているツイートや記事を確認することが大事です。例えば今回の例のように「インフレ」が大きく出ていても、「インフレしない」という趣旨の発言のこともある。また、みんなが言ってそうに思える、エンゲージメントの高い単語やハッシュタグも実は1つのツイートがバズったことによるものだったりもするので、広く色々な人に言われているわけではない可能性があることを留意すべきかと思います。

まとめは以上となります。

次回予告

Social Listeningによる、「100いいね」を集めた書き込み分析(前回の記事)と、AIによる分析は今後週1回、月~日の結果を総括したいと考えています。応援よろしくお願いします!

次回は、世界各国の新型コロナウイルス感染拡大の中での日常生活やその変化、今後の予測を各国在住日本人や現地人の方へアンケートを取ったので、その結果を報告したいと思います。


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