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【R16 訪問販売編 第4話 スーパー営業マン】

KとGが嫌で辞めると言ったオレに紹介されたのが浜田さんだ。


訪問販売は基本的に高額商品なのでローンで販売する事が多くて、客の個人情報が載った信販用紙を全国の訪問販売業の中で顧客情報を取引きされて販売されていた(一回買った客は絶対また買うからアフターで何回も訪問して買わせてる


そのローンの信販用紙に販売した担当者の名前が入っているので、めっちゃくちゃ売っている営業マンは全国の訪問販売業の中で売買されている信販用紙に載っている情報で誰が販売したか分かって必然的に(またこいつが売ってるやん!)ってなって名前が有名になって行く。


聞いた話ではその全国で有名なスーパー営業マンの一人が浜田さんだった


会う前に浜田さんの情報を聞いていて、全盛期は億万長者で高級車に乗って毎晩飲み歩いてすごく男前でギャンブラーだと。

現在は営業を引退してギャンブル癖が悪すぎて落ちていると、だからもう一度営業マンとして戻ってくるから紹介すると説明された。


そして会社で浜田さんと初対面した。

第一印象はめっちゃ男前だった。


色白で黒髪サラ毛でぱっちり二重で歯並びも良くて鼻が高くて女性のような綺麗な顔をしていた。男らしいと言うより中性的なタイプだった。

九州出身で島育ちらしい。顔がハッキリした男前だ


なぜキャリアの浅いオレなのかと言うと浜田さんはくせ者らしく、根拠も無くオレは合うと思うからと言われ抜擢された。

たぶんみんな有名な人でクセが強い人とチームになるのは嫌だったんだと思う。


実際、浜田さんに会うとすごくいい人で優しかった。少年の様で悪く言うと中二病的な人だ。

当時オレが19歳、浜田さんが30歳

浜田さんはオレと2人が良いと言って普通は4人で1チームだったがオレは浜田さんと2人チームだった。


会社に着くとすぐに車両で出かけてオレが運転で浜田さんは隣で地図を見ていた。現場に着くといつもはテリを割るが今はオレ一人なので『ここのマンション全部叩いておいで』と言って仕事開始だ。


昼間なので比較的不在が多いのでアポは取れにくい。


こう言う時は夜職が多い地域に移動して叩く事が多い。テリについてオレが叩きに行く前に、浜田さんは『引っかけのアポでいいよ』と言ってくれたので、とりあえず質が悪くてもいいからアポを取ろうと思って出てきた女に


どうも〜管理センターです。チラシ確認して頂いたと思うんですが、報告していたカビの被害で部屋の方確認だけしますね〜


って偽営業許可書見せて適当に言ったら大体は部屋入れるので部屋に入って


やはり結構湿度高いし結露してますね〜。後で10分くらいしたら湿気取るやつ持ってくるんでまた玄関開けてくださいね


っていう布団の説明も布団屋という事も一切話さないクソみたいなアポを浜田さんに渡した。

(質の悪いアポでも怪しさ出したら絶対に部屋入れない。当たり前かのように一切の迷いなく女の子の部屋に入る。)


女の子の情報も分からない一切コミュニケーションをとっていないと説明したけど『いいよ〜』と言って浜田さんはダニ吸う掃除機を持って女の子の部屋に行った。


だいたいクローザーが部屋に入って10分15分で出てきたらクロージングすらしていない全くダメという事で、40分超えてくると商品説明入ってるのでクロージング開始という事で販売への期待は高まる


女の子の早に入って3時間。浜田さんは見事50万近く契約してきた。近くのコンビニで信販会社にFAXを流して完了だ。


これが浜田さんとの最初の仕事で、オレの中ではあんな適当なアポで、絶対に買いそうにない子だったから本当に凄いと思った


KとGとは比べ物にならないほど凄い。


その後も浜田さんにクロージングも教えてもらいながら1ヶ月が過ぎた頃には歩合も貰える程に浜田さんにアポを渡すと売ってきてくれていた。


全然クセ者でも無いし本当に凄い人で(今になってもこの人より凄い営業マンは会った事ない)


そんなある日『2人だけでやろうよ。仕入れ先も全部分かるし全国にコネもあるからさ。会社に金なんか入れないでもっとBIGになろうよ。』と浜田さんに誘われてオレは浜田さんについて行くと決めて会社を辞めた


”この後からみんなが言っていた浜田さんのくせ者感が徐々に出てくる”


(結論から言うと浜田さんは逮捕される)


それはまだ先の話で、そうして2人での仕事が始まった。

まず営業車は布団を大量に積むのでハイエースなどのバンが一般的だが、車何が欲しい?


と言われオレは当時VIPカーが流行っていたのでY33シーマが欲しいと言うと

中古で買ってオレに所有権をくれた。しかし営業車として使う為でプライベート兼用でいつでも浜田さんを送迎すると言う条件でだ。


その日から毎朝、浜田さんを迎えに行き起こす所から始まる。


そして1時間くらい待たされてご飯を食べに行く。これを毎日。休日は決まっていなかった。浜田さんの気分次第で『明日休みな』って感じで決まっていた。


でもさすが浜田さんは販売力はかなりあってその後もオレがアポを取るとめっちゃ売ってくる。会社を辞めてから販売方法も変わりローンでは無く現金で売っていた。


会社ではないので信販会社が使えないからだ。でも浜田さんの知り合いで信販貸してくれる所があるので最悪はローンで行けるがマージン取られるので『現金で売るぞ!』って言っていた。


お客さんを連れてシーマで消費者金融に行ったりもした。モビットをよく使っていたな。


『あのね〜ローンで売れるものを現金で売る方が難しいんだよ〜オレのスキル盗むんだよ〜』って得意げにほぼ毎日言っていたのを覚えている。


つづく





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