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ユーザビリティをとことん追求。誰もがワイヤレス給電を使える社会へ。【リードエンジニア:村井彬人】

エイターリンクの特許技術【AirPlug™️】が注目を集めている理由の1つは、ワイヤレスに給電しながら屋内の環境データをリアルタイムに取得できるという点です。一体どうしてこのようなことができるのでしょうか?リードエンジニアの村井彬人(あきと)さんに話を聞きました。

(エイターリンクnote編集部)

空間における電波の動きを手がかりに

村井さんは、これまで電波を使った「通信」「給電」「センシング」の3つのアプリケーション開発に携わった経験のあるエキスパート。例えばセンシングでは、電波を人に当てて反射波から距離や方向を測定するレーダー解析の経験が豊富で、空間における「電波伝搬」について幅広い知見を持っています。エイターリンクでは、ワイヤレス給電システムの環境下でデータをやりとりするために不可欠な「通信プロトコル」と、得られたデータから欲しい情報をセンシングするための「アルゴリズム」を開発するミッションに挑んでいます。

「通信プロトコルとは、共通のルール・規格のことです。私たちにとって身近なWi-FiやBluetoothも通信プロトコルの1つ。様々なデバイス同士をスムーズに接続できるのは、共通の通信プロトコルがあるからなのです。いま開発中の【Air Plug-link】は、ワイヤレス給電システム環境下で多種多様なデバイスをつなぐための通信プロトコルです」(村井さん)

最も重要な要素は、①信頼性(通信が途切れない)②省電力性③低遅延性④多接続のレベルを究極まで高めること。工場や医療施設でも安心して導入できるよう、パラメーターと向き合い、微調整を繰り返しながら、規格にふさわしい最適値を探り当てる地道な作業を続けています。

一方、電波の動きを取得したいデータに置き換えるセンシングアルゴリズム(計算方法)の開発は、空調の最適化、防犯、人流解析など、様々な用途を想定しながら進めているそうです。

「例えば『いま・どこに・だれがいるか』というデータを取得したい場合。【AirPlug™️】対応送信機を一定間隔で設置し、ヒトが所持する【AirPlug™️】対応デバイスとの間の電波の強弱や角度、またそれらの時系列変化から正確な位置情報を計算できるアルゴリズムを導き出します」

これまでに培った空間における電波の振る舞いについての経験を活かし、高精度なアルゴリズムと応用機能の可能性を追求しています。

名実ともに顧客の期待を裏切らないよう

村井さんが徹底してこだわっているのは、実験室の中だけではなく、実際に使用される環境でも、しっかりと性能が発揮されるということ。

「リアルな生活空間で電波を放射すると、壁や障害物に反射したり遮蔽されて、振る舞いが大きく変動します。同じ家の中でもWi-Fiの通信速度が速いところと遅いところがありますし、ビルが密集する都市部ではGPSの精度がどうしても悪くなります。つまり、電波の技術の性能は実際の環境に大きく依存するもので、本来はかなり不安定だということです」

世の中には整った条件のもと実施した実験結果だけをもって「高性能」と謳っているものも少なくないが、そのような技術や製品は、いざ導入してみると顧客との期待値に大きなギャップが生じてしまうと村井さんは語ります。

「エイターリンクのコアとなるワイヤレス給電や、私が取り組んでいるプロトコルやアルゴリズムにおいても例外ではありません。これまで膨大な数の実験・検証を重ねてきた経験と、統計処理やAIなどの技術を組み合わせて、幅広い現場で安定して性能を発揮できる技術をつくりあげます」

「将来の安定」よりも「社会への貢献度」

2022年7月に入社した村井さん。以前は、大手企業のR&D部門で無線通信や無線給電の研究開発に従事していました。
 
「新卒の頃から、工場内の通信や給電をワイヤレス化する技術の研究開発に取り組んできました。そこで直面したのは、求められる技術と、提供できる技術との埋めがたいギャップです。物理的な限界まで性能を高めても、営業部門や顧客からは有線同等の『完璧』を求められ、ほとんど導入には至りません。何年かけて開発しても実際には使われない現実に、エンジニアとして虚しさを感じていました」
 
新しい技術の事業化や顧客開拓のため、具体的に行動したいと願ってきた村井さん。エイターリンクに入社したのも、その行動力に驚かされたからでした。
 
誰に、どのような事業で、自社の技術を売っていくのか。エイターリンクは具体的な顧客とつながり、やるべきことを明確に定めています。そこに行き着くまでには、社内外で数え切れないほどのディスカッションをしてきたはず。当たり障りのない技術紹介で終わらず、腹を割って突っ込んだ対話を重ねている。大手企業が足元にも及ばないほどのパワーを注いでいる。『やっぱり、ここまでやらなあかんねんな』と圧倒されました」

諦めかけていたワイヤレス給電の社会実装。その実現にもう一度全力で取り組みたいと、村井さんは転職を決意しました。

雇う・雇われる関係を超えて

今になって採用面接を振り返ると、「面接されている感じはしなかった」そう。ワイヤレス給電について、どのような点を課題と認識しているか。もっとも必要な技術は何か。同じ未来を志向する者同士、自然な流れでディスカッションに発展していったそうです。

 「これまで培ってきた給電・通信・センシング領域の電波の技術を、エイターリンクで存分に発揮したい。そのためにも、今後はさらに他のメンバーとお互いのスキルやノウハウを引き出して高め合うことが大切になると思います」

働く場所が変わっても、「社会の役に立ってこその研究開発」という信念にブレはありません。与えられたタスクをただこなすだけではなく、会社に不足している技術要素をみずから見つけ、高い要求にも胸を張って応えていける仕事をしていきたいと話しています。

《取材こぼれ話》
村井さんは、小学2年生から大学を卒業するまで、バスケットボールのプレイヤーとして活躍してきました。今も仕事の合間をぬって、週5日欠かさずジムで汗を流しています。スポーツの厳しい世界で常に「自分の限界」と対峙してきた村井さん。理想を現実に変えていく意志のパワーは誰にも負けません。

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