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【雑記】『少女☆歌劇レヴュースタァライト』は今後どこへ向かっていくのかを考える

2017年に始動し、今年でスタートから7年目に入った「二層展開式」メディアミックス作品『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』
21年の『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』と昨年の舞台『#4 Climax』により、メディアミックスの中核であったアニメ・舞台の双方で主役となる舞台少女9人の物語を描ききった現在もその勢いは衰えることなく、コンスタントにツイッターJPのトレンド入りするほどの影響力を持ち、今月に家庭用ゲーム『舞台奏像劇 遙かなるエルドラド』が発売するなど、未だその勢いは留まるところを知らない…ように見える。
一方で数日前に、スマホゲーム『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』(スタリラ)がサービス終了を発表、稼働期間を約6年で終えるなど、これからの道行きに不穏さも見せている。

このnoteでは、今後『レヴュースタァライト』というコンテンツがどう転んでいくかを素人なりに考察していく。


◆現状確認

考察をする前に、『スタァライト』を構成する各メディアミックス作品群の現状を確認していく。

【アニメ】
ファンには自明のことだが、2018年に開始したアニメは21年の『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』をもって完結…したのだが、何故か『劇場版』は現在も不定期に各地の劇場で上映されており、上映から3年経った今も劇場で鑑賞する機会がある。すごい。
【ゲーム】
前述の通り『スタリラ』が2024年9月30日をもって6年の稼働期間を終了予定。上記した『劇場版』のその後を描く家庭用ゲーム『遙かなるエルドラド』が今月発売。
【舞台】
主役である9人の舞台少女の物語は、2023年上演の舞台『#4 Climax』で完結。現在は上記の『スタリラ』初出の舞台少女を描いた『舞台スタリラ』と、舞台初出の「青嵐総合芸術院」「シークフェルト中等部」の舞台少女たちを描いた『The LIVE 青嵐』『The STAGE 中等部』の3つのシリーズが進行中。
【その他】
「スタァライトの登場人物が演じる舞台」という設定の朗読劇が不定期開催。

まとめると、現在進行系で展開しているのは『遙かなるエルドラド』・舞台・朗読劇のみっつ、ということになる。

◆今後の予想

最初に自分なりの結論を述べる。これは歳を取ったコンテンツの宿命ではあるのだが、スタァライトはこのままだと既存ファンが主に盛り上がる閉鎖的なコンテンツになり、ゆっくりと規模はしぼんでいくだろうな、という予感がしている。
というか、「古参舞台創造科が、無限に味のする『アニメ』『劇場版』というスルメを噛み続けている」という現状からは、すでにその兆候が見え始めている。
そう感じる理由として「主力コンテンツであるアニメとスタリラの終了」「現在進行中の舞台・朗読劇は新規の参入にハードルがある」「キャラクターの世代交代の失敗」の3つがあると僕は考えている。

まず、「主力コンテンツであるアニメとスタリラの終了」と「現在進行中の舞台・朗読劇は新規の参入にハードルがある」という2点。
低コストでコンテンツに参入できたアニメの完結と、同じく低コストで参入できて常に物語を供給していたスタリラの終了は、ニューカマーがスタァライトというコンテンツに定住せず「サブスクでアニメ・劇場版だけ見て、スタァライトを『消費』だけして帰ってしまう」状況を作ってしまっている(見てくれるだけでも舞台創造科としては大変嬉しいのだが)。
前述のように、 スタァライトが現在進行系で展開しているコンテンツは『遙かなるエルドラド』・舞台・朗読劇のみっつなのだが、

・『遙かなるエルドラド』は劇場版の続編で、アニメと劇場版を通過する必要があるため新規向けではない
・朗読劇は基本的にはキャラに惚れたファン向けで、新規向けではない
・舞台は現状の最新コンテンツだが更新が遅い上にこちらも本筋の9人の舞台少女の物語は完結済み、最大の問題として、過去作はサブスクで見れるものの最新作の鑑賞には高価なチケット代がかかり、高いコストから気軽に入ってこれない

とそれぞれにニューカマーの参入を阻む問題がある。

まとめると、上記2つの理由からスタァライトは
「最新コンテンツの供給は遅く、ニューカマーの参入には障壁がある」
という状況になってしまっており、これはちょっと危ないと自分は考えている。

◆世代交代の失敗

もう一つ、スタァライトにある危うさが「99期生が去った後の新たなスタァを作れなかった」ことだ。
同じブシロード系統のコンテンツは、

・原点たるμ’sの卒業後、それに影響されてスクールアイドル活動を始めた少女たちの活動を現在進行系で描き続けている『ラブライブシリーズ』
・コンテンツ開始当初から「複数のグループがしのぎを削る」構造の『BanG Dream!』『D4DJ』『アサルトリリィ』

など、10名以上の複数のキャラクターが存在し、彼女らが複数のグループを構成する、というスタイルを取っており、良くも悪くもキャラ人気が一極集中しない構造になっている。

一方のスタァライトは、スタリラ発の「凛明館女学校」「フロンティア芸術学校」「シークフェルト音楽学院」や、舞台発の「青嵐総合芸術院」「シークフェルト中等部」など、メディアミックスの中核となる9人の舞台少女(99期生)が属する「聖翔音楽学園」に対するライバルグループは上記作品と同じく存在するのだが、公式にフィーチャーされるのは「聖翔音楽学園」ばかり。
これは上記のラブライブに例えるなら、「Aqoursやニジガク、Liellaなどの後輩グループが生まれたのに、μ’s主役のアニメや映画が作られ続けている」ような状況である。
この公式の「聖翔びいき」な姿勢により聖翔の舞台少女たちのキャラクターとしての解像度は上がったものの、ある大きな問題が生じた。
アニメ・舞台の双方で聖翔の9人が卒業した後の、作品を牽引できるカリスマの不在である。

スタリラの稼働開始とともにライバルグループがデビューしてからの6年、ライバルグループたちの露出は本当に少なかった。
基本的に彼女たちの活躍を見られるのはスタリラのみで、舞台・朗読劇には登場するものの、フルメンバーが揃うことは稀。
自身が主役となる舞台があった「シークフェルト音楽学院」「シークフェルト中等部」「青嵐総合芸術院」はまだマシで、シークフェルトと同時に鳴り物入りで登場した「凛明館女学校」「フロンティア芸術学校」の舞台少女は、他校が主役の舞台のゲスト的な扱いがほとんど。
大型ライブ「3rdスタァライブ”Starry Diamond”」でも、フロンティアはフルメンバーが揃わず、彼女らの看板曲「ショウタイム フロンティア!」の絵面が寂しかったことをよく覚えている。
ライバルグループは、そもそもファンやニューカマーに認知される機会が少ないのだ。
この事態が、上記した「ニューカマーがサブスクでアニメ・劇場版だけ見て、スタァライトを『消費』だけして帰ってしまう」状況に拍車をかけている。99期生の物語だけを消費して、ライバルグループの存在と、彼女らが現在進行系で築いている物語に気づくことなく界隈を去ってしまうのだ。

これは公式の「聖翔びいき」な姿勢も悪いのだが、凛明館・フロンティアの舞台少女のキャストにビッグネームを揃えてしまったことの弊害だと推測される。

ともりる、あじゅじゅ、潘さん、あやちあたりのビッグネームを
バシッと揃えてくるの、本当ブシロードマネーパワーの強さを実感します

舞台・ライブともなればキャストは殺陣を含む練習で長時間拘束される。様々なアニメ・ゲームに引っ張りだこのビッグネームを、舞台のために拘束できないのだろう。

また、キャラクターの魅力とは別にスタリラには「ストーリーは高評価なものの、ゲーム性の根幹は苛烈な札束殴り合い石油王PvPバトルで、参入の障壁が高い、かつ継続的に投資し続けないと楽しさが続かない」という問題があった。
僕は「スタァライトは好き。でもスタリラは重課金前提のPvPだからやらない」という舞台創造科を大勢見てきたし、僕自身も隠者まひるの実装前後にゲーム性が耐え難くなってスタリラを去っている。
このスタリラのとっつきにくさも、ライバルグループの知名度が広がっていかなかった原因のひとつなのは間違いないだろう。

誤解なきように言っておくと、上記のライバルグループのキャラクターたちはそれぞれ魅力的で、キャラ人気と固定ファンは確実にある。

ゆゆことやちよが好きでした

しかし、スタァライトをよく知らないニューカマー層にまで届く知名度があるかと言われると、それには疑問が残る。
参考までに、pixivで各グループの主役キャラのイラストのヒット数を比較すると、このようになる。

AIイラストは除外した

このように、聖翔の看板である華恋と他校のリーダーのファンアート件数を比較すると、ダブルスコアどころではない差がついており、聖翔とライバルグループの間に埋めがたい人気の差があることがハッキリと分かる。
残酷だが、数字は嘘をつかない。ライバルグループたちが6年で聖翔の9人に比肩する人気を得たとは言えないだろう。

この「99期生卒業後、安心して新しい物語を任せられる次代のスタァ」が生まれていない状況も、自分が今後のスタァライトに危うさを覚える一因となっている。

◆個人的な願望

ここからは、筆者の「今後のスタァライトはこのように展開してほしい」という願望・妄想を書いていく。

まず、99期生の卒業以降の物語を、できればアニメなどの、多くの人が触れやすい媒体で展開してほしい。
スタァライトは現在、舞台で「次代の舞台少女」であるシークフェルト中等部主役の舞台を展開している。これをもっと大きな規模でやってもらいたい。またまたラブライブに例えるなら『サンシャイン!!』に相当する続編を作ってほしいのだ。
「99期生の演じた『スタァライト』に憧れ、聖翔に入学した次世代の聖翔舞台少女」とか絶対おいしいだろうし、舞台に一度出たっきりの小春の妹・さくらや唄島農業高校・舞鳥女子高等学校のメンツの活躍も見てみたい。そして卒業していった聖翔の9人をはじめとする舞台少女が、1話限りのゲストに現れ、道に迷う新世代舞台少女のメンターとなる展開とか絶対見てみたい。

『クロボン』のキンケドゥとか『ジョジョ』の承太郎みたいな塩梅でお願いします

それか、『まどマギ』に倣ってもう一度アプリゲームを作ってほしい。
スタリラは舞台創造科に短いスパンで新しい物語を提供してくれた反面、ゲーム性は前述のように到底万人には受け容れられないものだったため、そこら辺を改善したRPG、またはアクションゲームを見てみたい。
それか『遥かなるエルドラド』に手応えがあったら、家庭用ゲームに舵を切るのもありかもしれない。
舞台創造科はスタァライトの格ゲーをお待ちしております。

ただ、これらの願望がある一方で、「スタァライトは、もう終わってもいい」という考えもある。99期生の物語は描ききったし、このまま99期生に頼りながらコンテンツを存続させるくらいなら、スパッと終わってしまってもいい、と考えてしまう自分もいる。
そもそも、当のスタァライト自身が『劇場版』で「何事にも卒業はいつか訪れるけど、それは悲しむばかりのものじゃない」というメッセージを発信していたのだ。我々も華恋たちに倣い、次の列車コンテンツに乗り換えるべき時が来たのかもしれない。

◆おわりに

いろいろ書いたが、これらは冒頭に記したように「素人なりの考察」、もっと言えば妄想でしかない。これらの不安は、全くの杞憂に終わるかもしれない。
それこそシークフェルト組はなんだかんだで聖翔の次点でプッシュされているし、「個人的な願望」で記したように自身が主役のアニメが作られる、という可能性は十分考えられる。

今はただ、8月9日の「エルドラド発売記念生放送」でなんか良いニュースが流れて、これらの妄想が杞憂で終わることを祈るばかりである。

◆おまけ

スタァライトのキャラ人気を説明する項でpixivのファンアート数を例示したが…pixivって舞台創造科の創作置き場としては人気が下火なんだろうか。
主人公の華恋ですら2250件という少なさである。参考までに、『ブルーアーカイブ』のアスナが19,399件(アスナはメインヒロインじゃないけど、ぱっと人気の高いヒロインとして思い浮かんだので)、『ウマ娘』のスペシャルウィークが12,379件、『ホロライブプロダクション』の白上フブキが25,343件である。

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