安部スナヲ 娯楽酩酊記

芸術・文化は洒落臭い。クリエイターと呼ばれるはおこがましい。安部スナヲの「娯楽酩酊記」…

安部スナヲ 娯楽酩酊記

芸術・文化は洒落臭い。クリエイターと呼ばれるはおこがましい。安部スナヲの「娯楽酩酊記」▪︎ピンボケサマーズというバンドで音楽活動をしています。▪︎写真やグラフィックデザインも嗜みます。▪︎ヒマな時は小説を読むか映画を観るかヒマしています。

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    私設フォトギャラリーや、カメラや写真に纏わる投稿です。

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    劇場で観た映画の感想です。「物語の核心となる部分は伏せる」というネタバレポリシーのもとに書いてます。

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    音楽でその月を振り返る極私的プレイリスト(Apple music)を毎月シェアしています。昔、自分のアイデンティティを込めて作った「マイベスト」カセットテープの思想を受け継ぎ、尺は46分。

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    アコースティックロックユニット・ピンボケサマーズ(安部スナヲ&金井ひろゆき)に関する情報やコンテンツを紹介します。

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倉敷、お江戸情緒な美観地区をお散歩スナップ。

どうも、安部スナヲです。 先週末、出張で倉敷へ行ってました。 土日のイベント仕事だったのですが、前日の夕方に現地入りで、せっかくなのでちょっとだけ美観地区をぶらぶらして来ました。 江戸時代、倉敷は長崎などと同じように徳川幕府直轄の「天領」で、交易の拠点だったといいます。なんとなく京都や奈良などの古都とはちがった栄華な雰囲気を感じます。 JR倉敷駅の北側にある商店街が美観地区への玄関口になっています。 そして日が暮れたら、商店街に戻り、地元の居酒屋さんでひとり晩酌です

    • 「ソウルの春」この下剋上が、たった45年前の出来事とは…

      どうも、安部スナヲです。 ハイパー韓国ノワール「アシュラ」の布陣=キム・ソシン監督&ファン・ジョンミン、チョンウソンW主演で、今度は実録軍事クーデターを描くというので、楽しみにしていました。 ところで、役に応じて七変化する役者のことを「カメレオンアクター」といいますが、別の文脈でファン・ジョンミンって爬虫類っぽいなぁー、と思いながら感想を述べます。 【あらましのあらすじ】 1979年10月26日、軍事独裁政権下の韓国にて、パク・チョンヒ大統領が側近に暗殺された。 国

      • 和歌山・那智勝浦旅行〜後編〜

        どうも、安部スナヲです。 夏の那智勝浦旅行、後編です。(前編はこちら) さて、旅は2日目、8月24日の朝です。 海からのRising sunを見たくて、早起きして那智ブルービーチへ行きましたが、到着した5時半頃には、既に朝陽は水平線からスッカリ顔を出していました。 それでも早朝の海はとても気持ちいいです。 というか、これくらいの時間帯でなければ暑すぎてとてもいられません。 そして熊野古道ー。 大門坂付近までは車で移動し、そこから杉木立ちに覆われた険しい石段を登っ

        • 和歌山・那智勝浦旅行〜前編〜

          どうも、安部スナヲです。 8月23日から2泊3日で和歌山・那智勝浦へ行って来ました。 実は昨年の夏にも一泊で行ったのですが、車で片道4時間強のみちのりを踏まえると、かなりタイトだったので、今年は余裕を持って遊ぶつもりで2泊にしました。 朝、大阪市内を出発し、正午前には最初の目的地、南紀白浜・とれとれ市場に到着しました。 まずは腹ごしらえです。 人気の海鮮丼売り場へは、平日でもさすがの混雑振りでしたが、いかんせん腹ペコで、並ぶのも厭なので、比較的空いているお刺身・お惣

        倉敷、お江戸情緒な美観地区をお散歩スナップ。

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          18本

        記事

          月刊プレイリストボーイ2024年8月号

          【今月のプレイリスト】 1.夏の光/キリンジ 那智勝浦へ行って来た。「Road to wakayama」と名付けたプレイリストから、紀伊半島の海岸沿いを車で走っている時にこの曲が流れた。歌のシチュエーションとしては、これから出発するぞ!というタイミングで聞くのがいいのだが、シャッフル再生にしたのは自分だからしょうがない。海も空もサイコーだったなぁ。あと鮪な。 2.Love's Theme/ ラブ・アンリミテッド・オーケストラ ピーター・バラカンのラジオで、あるリスナーから

          月刊プレイリストボーイ2024年8月号

          「インサイド・ヘッド2」ライリーよ、次は理性を身につけて。

          どうも、安部スナヲです。 人の心理を“本能”と“煩悩”に分けるとするならば、前作からライリーの頭のなかにいた五つの感情は、本能に紐付くベーシックな喜怒哀楽や防衛本能で、思春期を迎えた今作で新たに加わった四つは、苦しみの因子となる、いわゆる煩悩? まあ、そんなふうに考えると整理がつきやすかった「インサイド・ヘッド2」です。 【あらましのあらすじ】 主人公ライリーは13歳になり、秋からは高校生。 頭のなかの“司令部”では、ヨロコビ/カナシミ/ ムカムカ/イカリ/ビビリが

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          「ルックバック」藤野と京本は、才能の性質がハッキリとちがう。

          どうも、安部スナヲです。 最近のアニメ映画は、表現方法がますます革新的になったと感じているので、話題作は積極的に観るようにしています。 で、目下大評判の「ルックバック」 漫画や絵画のタッチを生かした映像という点では、「この世界の片隅に」や「ファーストスラムダンク」にも通じる印象を受けましたが、この映画はアニメーターの原画をダイレクトに映像にしているらしく、より筆描きのニュアンスが出ていて、ほのぼのと懐かしい感じがしました。 で、ストーリーはというと、ほのぼのから奈落へ

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          月刊プレイリストボーイ2024年7月号

          【今月のプレイリスト】 1.ビール/SEX MACHINEGUNS つらい夏。ビールは欠かせない褒美だが、尿酸値、コレステロール、肝機能に難ある身としては、杯が進むほどこの曲のように快楽と罪悪感が高速で絶叫し合う心境になる。メタルもやっぱり夏がいい。 2.にくまれそうなNEWフェイス/吉川晃司 紙幣の顔ぶれが新しくなった。それぞれはじめて手にした時の違和感は「人見知り」ならぬ「札見知り」か。あの仏頂面が 、どうも良くない。そんなことよりも、券売機を導入している飲食店などは

          月刊プレイリストボーイ2024年7月号

          「密輸1970」社会問題を完璧にエンタメ化する神業に、あらためて敬服。

          どうも、安部スナヲです。 韓国と北朝鮮の反目と親和を、ハリウッド顔負けの超ド級アクションアドベンチャーで描いた「モガディッシュ脱出までの14日間」のリュ・スンワン監督が、今度は海女さんの海洋密輸をモチーフに映画を撮ったというので、もう絶対面白いにちがいない!観なくてもわかる!と思いましたが、せっかくなので観て来ました。 【あらましのあらすじ】 1970年代半ば、韓国の貧しい漁村・クンチョンでは、化学工場による水質汚濁が海産物を駄目にし、漁業を生業とする人たちは、死活問題

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          「フェラーリ」自社の年間販売台数を把握してない社長ってどうよ?

          どうも、安部スナヲです。 モータースポーツなどにあかるくない私にとって、フェラーリといえば、世界一のスポーツカー?或いは富の象徴?そういう紋切り型の認識しか持っていませんでした。 エンツォ・フェラーリという名前も、マット・デイモンとクリスチャン・ベールが出てた映画「フォードVSフェラーリ」ではじめて知ったくらいで、無論、その猛者のバックストーリーなどは知る由もありません。 今回、マイケル・マン監督特有のスリリングなトーンのなか、まるで佐分利信みたいな貫禄を醸すアダム・ド

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          「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」もっとも愛されるべき嫌われ者のロマン。

          どうも、安部スナヲです。 ジャック・ニコルソン主演作で私がいちばん好きな映画はアレクサンダー・ペイン監督の「アバウト・シュミット」です。 定年退職して時間を持て余すウォーレン・シュミットという男が、いろいろ思い詰めれば思い詰めるほど、どんどん言動がおかしくなっていく様子は、滑稽で可愛いらしいけど、たまらなく切ない気持ちになります。 ペイン監督は悲喜劇の〈悲〉の配分のしかたが独特で絶妙だなぁ…というところに期待を込めつつ、最新作を観て来ました。 【あらましのあらすじ】

          「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」もっとも愛されるべき嫌われ者のロマン。

          「碁盤斬り」清廉潔白が、正義にならない世知辛さ。

          どうも、安部スナヲです。 白石和彌監督作品というところに力点を置くと、どうしても人がトチ狂うまでのプロセスやゴアなバイオレンス描写を想像しがちですが、本作は原案が古典落語というので、さらに謎めき、絶対観たいと思って観て来ました。 【あらましのあらすじ】 ある事件の濡れ衣によって故郷の彦根藩を追われた主人公・柳田格之進(草彅剛)。今は江戸のボロ長屋で、娘のお絹(清原果耶)と慎ましく暮らしている。 判子彫りの内職などで辛うじて生計を立ててはいるが、家賃の支払いもままならぬ

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          月刊プレイリストボーイ2024年6月号

          【今月のプレイリスト】 1.No Problemes/ジンジャー・ルート 中国系アメリカ人のオタク、キャメロン・ルーによるソロユニット(ソロなのにユニットという矛盾丸出しな造語を使うのは本意でないが)。この曲は9月発表予定のニューアルバムからの先行曲。アメリカの若者の間ではシティ・ポップが人気らしいが、容姿をタツロウに寄せてる人は珍しいだろうな。 2.鼻紙/キリンジ キリンジにはこの季節に適当な雨の歌は数多あるのだが、ずっと鼻炎に悩まされていたので。こないだコンビニで売っ

          月刊プレイリストボーイ2024年6月号

          「関心領域」音がピタッと止んだ時、心底ゾッとする映画。

          どうも、安部スナヲです。 「関心領域」というタイトル、そして「アウシュビッツ強制収容所の隣りで暮らす家族」という設定から、おのずと突きつけられてくるテーマが浮き彫りになる感じもありますが、実際観て思ったことは、漠然と抱いていた「映画を観る不特定多数の傍観者に、それぞれの“関心領域”を問う」というのとは、ちょっとちがうなということ。 そして、暴力や殺戮のシーンがいっさい出て来ないにもかかわらず、この映画があれほど怖いのは、こちらの想像力を、音のみによって完全に掌握されてしま

          「関心領域」音がピタッと止んだ時、心底ゾッとする映画。

          月刊プレイリストボーイ2024年5月号

          【今月のプレイリスト】 1.五月病/キリンジ 季節の変わり目は自律神経が乱れるらしく、五月病の主な原因もそれらしい。春からどうも不調、胸に鬱陶しい圧迫を感じる。何かに夢中になっているとおさまるのだが…医者に言わせれば、それは「心身症」と呼ぶらしく、やはり季節と自律神経に起因すると。じゃあ6月には治るかな…キリンジデビュー当時のヤスくんには、仄かにURCっぽい風情があったが、この曲はその代表格。 2.Ohio/ クロスビー,スティルス,ナッシュ&ヤング 学生が反戦デモを起こ

          月刊プレイリストボーイ2024年5月号

          「ボブ・マーリー ONE LOVE」客観性に疑問は残るが、微笑ましく許容できるくらいの〈あたたかみ〉は感じた。

          どうも、安部スナヲです。 「ボヘミアン・ラプソディ」以降(かどうかわかりませんが)最近の音楽伝記映画は、本人像と音響の作り込みがネクストレベルへ行ったなぁと感じております。 で、今度はボブ・マーリー。 この題材は相当ハードル高いのでは?と思ったら制作陣にはジギー、セデラ、リタと華麗なるMarley一族が挙って名を連ねるテッペキのファミリービジネス体制。 果たして本家・家元ガチ監修によるレゲエの神様はどう映るのか…。 【あらましのあらすじ】 2大政党の対立が深まり、

          「ボブ・マーリー ONE LOVE」客観性に疑問は残るが、微笑ましく許容できるくらいの〈あたたかみ〉は感じた。