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あなたは悪くない


皆さん、はじめまして。
村上吉文と申します。
2人のホームスクーラーの父です。

このホームスクーラー共同運営マガジンでは、今のところ唯一の父親のようです。もっと多くの男性に参加してほしいですよね。

といっても実は僕は単身赴任で、娘のほうは主に妻に任せてしまっていますが(妻には本当に感謝しています)、息子とは毎日30分zoomで1対1の話をしています。

このホームスクーラー共同運営マガジンで何を書こうかと思っていたのですが、「かがみの孤城」という本屋大賞を取った物語を読んでとてもびっくりした時のことを、まず書いておきたいと思います。

僕がその本を読んだのは、まだ家族で一緒に僕の派遣先のカナダのエドモントンに住んでいた時のことでした。娘はまだ現地の学校に通っていましたが、息子のほうはもうすでにホームスクーリングを始めていました。

カナダではホームスクーリングはきちんと制度として認められているので、よくいる子供の1人に過ぎません。父親としては、現地校に通って英語のシャワーを浴びてくれればいいのにとも思いましたし、最初は全く葛藤もなかったわけでもなかったのですが、カナダのホームスクーリングの制度についてはあらかじめ知っていたし、僕自身が教育関係の仕事をしていて、一斉授業の限界にはもう身に染みていたので、家で勉強したいという彼の気持ちを受け入れました。それが2年前の9月の初めのことでした。

それからカナダでの1年度が終わり、夏休みになって昨年一時帰国するときに読み始めたのが、「かがみの孤城」です。最初には葛藤があったと申し上げましたが、その頃にはもうすっかりホームスクーリングは我が家の中では当たり前の光景となっていたので、この本を読み始めた時は本当に衝撃的でした。

というのも、主人公の中学生があまりにも自分に対して否定的だったからです。多分この共同運営マガジンを読んでらっしゃる方は日本人がほとんどだと思うので、わざわざ説明するまでもないのかもしれませんが、同級生がクラスのプリントを持ってくると息を潜めて気がつかれないようにしていたり、その閉塞感や罪悪感、絶望感などにとても違和感を覚えてしまいました。そしてソーシャルメディア上の書評などを読んでみると、それは全く例外的なことではなく、日本で学校に通っていない子供たちの多くが、そのようなネガティブな感情を持っているらしいと言うことがわかりました。

しかし、学校に通わないことで一体誰に迷惑をかけているのでしょうか。カナダでは、ホームスクーラーだけが参加している合唱団や、ブラスバンドや、スポーツクラブなどがたくさんあります。学校に通っていない事は同じなのに、カナダではそれぞれが生活を楽しんでいて、日本ではそれが悪いことのように思い込んでしまっている子供たちが大量にいるのです。

それで僕は皆さんに声を大にして言いたいのです。

ホームスクーリングは悪いことではありません。生まれた場所と時代が違えば、何の変哲もない1つの暮らし方に過ぎません。海外の多くの国や地域で、実際にそれはごく普通の風景ですし、日本でもあと数年すれば誰も悪いことだとは思わなくなるでしょう。つまり、いま家にいて苦しんでいるお子さんやその家族は、ただ単に数年早く生まれてしまっただけのことなのです。

実際にこのホームスクーラー共同運営マガジンを読んでみてください。どの家族もごく普通に暮らしていますよね。これが普通なんだという事実をいちど受け入れることさえできれば、絶望している皆さんにも全く違う新しい世界が見えてくるのではないかと思います。

学校に通っていない子供の中には、人間関係などで、傷ついてしまっている場合も多いでしょう。その場合はゆっくり休んで回復してほしいと思っています。ただ、いじめなどによるダメージのほかに、学校に通っていないという事実でさらに自分を苦しめてしまっている人がいるとしたら、そんな必要はないのだということをお伝えしたいです。


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