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オーストラリアでもホームスクーリングのほうが学力が高い

前回オーストラリアの事例について触れたので、その後オーストラリアのホームスクーリングの全体的な状況について、検索してみました。資料としては以下のものが分かりやすいと思います。

”Academic Outcomes of Home Schooling
Review of Research and Analysis of Statewide Tests ”

(リンクが切れていたので直しました)

この資料によると、1990年からオーストラリアでは教育法(Education Act 1990)でホームスクーリングが正式に認められているということで、オーストラリアでもやはりホームスクーリングの方が一般的な教育よりも学力が高いという調査結果が出ています。

ここで使われている試験はNAPLANというものです。これはThe National Assessment Program – Literacy and Numeracy の略で、正式な日本語訳はチェックしていませんが「文字と数学の基礎学力の全国評価プログラム」というぐらいの意味です。

この調査では、ホームスクーラーのうち10%しかこのテストを受けていないので、学術的な取り扱いには注意が必要という但し書きがありますが、その上で以下のように述べています。

The only achievement data available for currently home schooled students is that arising from students who voluntarily undertake the NAPLAN tests. Only a small minority of home schooled students (about 10%) choose to undertake the tests, and thus any results must be treated with extreme caution. The results indicate that this group of students scored significantly above the overall NSW average in nearly every test. The differences were largest in Reading, Grammar & Punctuation and Numeracy, where home schooled students’ average scores were typically about 70 marks (or about one standard deviation) higher than the NSW average. The differences were smaller in Spelling (about 40 marks) and Writing (about 20 marks).

村上訳
現在のホームスクーリングの生徒について入手できる唯一の達成データは、NAPLAN試験を自発的に受けた生徒から得られたものである。ホームスクーリングを受けている学生のうち、試験を受けることを選択するのはごく少数(約10%)であるため、試験結果は細心の注意を払って扱われなければならない。結果は,この群の学生がほぼすべての試験でNSW州の全体平均を有意に上回るスコアを示した。その差が最も大きかったのは、読解、文法と句読点、算数で、ホームスクーリングで学んだ生徒の平均点は、NSWの平均点よりも通常約70点(または標準偏差の1倍程度)高かった。スペル(約40点)とライティング(約20点)の違いは小さかった。

前回の僕の記事では、優秀な生徒に限定した数字で、ホームスクーリングの方が4倍も多いということをお伝えしたのですが、優秀な生徒に限定しなくても、他の国と同じようにオーストラリアでもホームスクーリングの方が学力が高いわけですね。

【ホームスクールをはじめるまで】 学校に行かなくても勉強は大丈夫なのか」という記事にも書いたとおり、こうした調査はいろいろな国で行われていて、基本的に公立学校の一斉授業に比べるとホームスクーリングの方が学力が高いということは何度も確かめられていますが、また新たにオーストラリアでもこうした資料を見つけたので、お知らせしました。

もちろんお子さんが学校に行きたがっていて、そこでの勉強に特に不満がないのでしたら、学校に行かせても構わないと思います。しかし、もし学校に合わなくて他の選択肢を探している時に、「ホームスクーリングにしたら学力が心配」と考えている方がいらっしゃるとしたら、そのような心配はまったくないということはここでも強調しておきたいと思います。

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