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Cannes Lions 2022 - セッションダイジェスト(第三弾)

みなさん、こんにちは!ad:tech tokyo 事務局です。
今年3年ぶりのリアル開催となった Cannes Lions 2022。印象に残ったセッションをダイジェストでお届けしているレポートの第三弾です。今回は、海外ブランドの成功事例にスポットライトを当て、マクドナルドの「Famous Orders」の舞台裏、Pepsi 史上最高の作品と呼ばれる「#BetterWithPepsi」を生み出した経緯、ラグジュアリーの世界でコミュニティ育成を通じた次世代へのアプローチに成功しているブランド3社(Patta、Adidas、Bottega Veneta)と、3つのセッションを紹介します。


"Brands in Culture:
How McDonald's Famous Orders Came to Be"

マクドナルドの「Famous Order」の舞台裏を紹介。若者文化の中にブランドを根付かせたプラットフォーム・アイデアがどのように誕生して、何が成功の鍵となり、チームはその過程で何を学んだのかを語りました。「ファン」をすべての中心に据えていることが、なぜ持続可能で効果的なクリエイティブ戦略になるのかについてひも解いていきました。

■ スピーカー
Jennifer Healan (VP, U.S. Marketing, Brand Content and Engagement, McDonald's)

■ 本セッションでの注目コメント
「私たちは間違いなく大企業です。世界的なブランドで、全世界に3万9,000の店舗があり、世界20カ国に展開しています。そのうち1万4,000店が米国にありますが、毎日6,000万人の人々にサービスを提供しています。ビジネスの規模が拡大していることは明らかで、マーケティングはずっと私たちのDNAの一部でした。

しかし2年ほど前、私たちは進化を遂げる必要があると確信しました。"私たちは自分たちの信念とカルチャーを失っている" ことに気づいたのです。お客様やファンとのエモーショナルなつながりを失っていたのです。約20年間もの間掲げてきた、ブランドの一番象徴的なスローガンでもある "I'm lovin it" を体現できなくなっていました。さらに恐ろしかったのは、マーケティングカレンダーで、キャンペーンからキャンペーンへと、期間限定のオファーを次から次へとこなすばかりで、このままではただ商品を売るだけのブランドになりかねないということでした。

私たちは、自分たちの信念を明確にし、再び自信を取り戻す必要がありました」

「マクドナルドには大企業という一面と、"あなたの" マクドナルドというパーソナルな面、つまり二つの顔があります。マクドナルドは、あなたが一緒に育ったブランドであり、今日まで育ってきた人生の中で、ずっと記憶しているマクドナルドとの思い出や瞬間があるはず。あなたはきっとマクドナルドでの自分の定番の注文を覚えているし、私たちもあなたの定番をよく知っっている。そして、こうしたことは本当に特別な関係なのです」

「私たちが再び勢いを取り戻すために実践したことは以下の3つです」
1.ブランドのファンとのつながりを取り戻すこと
2.新しいブランドの声:ファンとして語ること
3.Famous Orders のプラットフォーム構築

「ブランドのファンとのつながりを取り戻すことについて。すべては、ファンとの距離を縮めることから始まりました。

私たちには世代を超えたファンがいて、あらゆる人種的背景をもつファンがいます。私たちは一企業として彼らに語り掛けることをやめ、彼らに直接語り掛けることにしました。"彼らが" 私たちのことを本当はどう思っているのか、それを知る必要があるのです。私たちは一人のファンとして、彼らに語り掛けることにしました。

そのために、Wieden+Kennedy のニューヨークのチームと、戦略チームを筆頭に、ロードトリップに出かけ、ブランドの魂を掘り起こそうとしたのです。そこで重要だったのは、実際にマクドナルドにいる人たちに話を聞いたことでした。マクドナルドの店内にいる人たちだけでなく、マクドナルドの外に出て話をしたことも重要でした。さまざまなファンを知ることができたのです。ウォルマートにいるお母さんたちに話しかけ、彼らの子供たちの声を聞きました。アトランタのバーでは、バーテンダーの二人がナゲットをどのソースに付けるのが好きかについての討論に耳を傾け、さらに教会にも足を運びました。この経験を通してマーケターとして学んだことは、"すべては一顧客としてすでに知っていることだった" というでした。しかし、聴衆がすでに認識している小さな真実には、大きな力があります。それは、温かくて親しみやすく、洞察力に富み、一般的に共感されている真実です。私たちはそれを『ファンの真実』と呼んでいます。その真実たちは、何がそのブランドを特別なものにしているかということを思い出させてくれるものでした」

ファンの真実04「はじめて自分の両親を連れていきご馳走することのできるレストラン」
ファンの真実10「包みにこびりついたチーズをはがして食べない人っているの?」
ファンの真実05「ピクルスが好きな人と嫌いな人同士でも、友達になることはできる」

「新しいブランドの声:ファンとして語ること、について。2019年には、26個ものキャンペーンが走っていました。26個のそれぞれつながりがないバラバラのキャンペーンです。それをプラットフォームという概念で考えることにシフトしました。

現在、私たちには3つのブランドストーリーがあります。良い物語には、いくつもの章があるものです。そこで、私たちはブランドストーリーに3つの章を作り始めたのです。その3つとは『Brand Favorite(ブランドの好きなところ)』『Brand Affordability(ブランドの手ごろさ)』『Brand Relevantcy(ブランドの関連性)』です」

「Famous Orders のプラットフォームについて。『ファンの真実』のひとつに、たとえどんなにビッグな有名人であっても、誰しもがマクドナルドのお気に入りの注文があるというのがあり、これがFamous Orders のプラットフォーム全体の基盤になりました。Famous Orders のキャンペーンでは、実際のファンであるセレブリティたちと提携し、彼らが好きなメニューを店舗で購入できるようにしたのです。いますぐにでも来店すれば、人気ラッパーのトラヴィス・スコットのメニューを食べることができるというユニークな企画です。これは、新しい商品を作ったわけではなく、トラヴィスが10代のころ実際にマクドナルドで注文していたメニュー内容なのです。

私たちは4人のセレブとの取り組みを行いました。人気ラッパーのトラヴィス・スコット、シンガーソングライターの J・バルヴィン、K-POPグループのBTS、そしてヒップホップアーティストの Saweetie。彼らはマクドナルドのいちファンとして素晴らしいパートナーでありながら、みんなそれぞれとても個性的でした。プラットフォームの概念で考えるときには、一貫性が重要です。今回の場合、それぞれユニークさがありながらも、一貫性もありました。だからこそソーシャルメディア上で話題になったのです。彼らのファンと私たちのファン、みんなが一緒にファンになりました。2013年から2019年までの私たちを振り返ると、若年層とのつながりが薄れていました。当時はそれを突破することも、浸透させることもできませんでしたが、このキャンペーンのおかげで、再びつながり、12カ月中11カ月、若者とつながりを持ち続けることができ、さらにビジネス全体に対しても、ハロー効果があったのです。すべての注文はそれ自体が文化的なイベントとなり、TIKTOKはあなたのファンダム(熱心なファンによる世界、彼らによって形成された文化)と食べ物をシェアする場所となりました」

「私たちが得た3つの重要な教訓:
1.ファンのファンダムの価値
2."Share the Pen"(ペンを共有すること)、一緒につくる事
3.シンプルであること

これまでは、"これはうまくいくだろうか?"と自分たちに問いかけていましたが、今では、"これは真実だろうか?"と問いかけるようになりました。」

■紹介されたキャンペーンの動画



Yielding Unapologetic Creativity Through “Collaborativity”

PepsiとalmaDDBが、従来の垣根を取り払い、強力なアイデアと画期的な実行力で「Pepsi史上最高の作品」と呼ばれる作品を生み出した方法を紹介。Pepsi社の最高マーケティング責任者である Todd Kaplan氏と、alma DDB の会長 Luis Miguel Messianu氏が、#BetterWithPepsi の破壊的な作品や、クリエイティブプロセスを通じて従来のクライアントと代理店の偏見を排除した方法が語られました。

■ スピーカー
Todd Kaplan (Chief Marketing Officer, Pepsi)
Luis Miguel Messianu (Founder and Chairman, alma DDB)

■本セッションでの注目コメント
「私たちは、お互いの関係をクライアントとエージェンシーとは考えてはいません。従来の業界用語のようなものを捨て、自分たちのことを "co-conspirators"(共謀者)と呼ぶことにしました。そのおかげで、対等な立場で一緒に問題を解決し、本当に良い取り組みをすることができるようになったのです」

「Toddは、自身のエージェンシーパートナー全員にオープンブリーフの募集をかけました。すると、2人の才能あるクリエイターから素晴らしいアイデアが生み出され、私たちはそのオファーを受けることにしました。そのアイデアはアートディレクターの夢とでも言うべきもので、なんと Pepsi のロゴが他社製品のロゴの中に隠れているのです! ラッフルズ・チップス、スニッカーズ、ドミノ・ピザなどのロゴの中に、Pepsiのロゴが隠れているのが見えます。これこそがPepsi が提携している様々なブランドを紹介するのに最適な方法だと思い、一目惚れしました。

そして、たまたまその日の研究開発チームとのミーティングで、Pepsi と相性が良い食べ物について話し合いました。結果、ハンバーガーがトップだったのですが、実はこれには科学的根拠があります。炭酸がハンバーガーの焼き具合を分解し、クエン酸がチーズに含まれる肉の味を引き出すのです。そこで、私たちは実際に調査を依頼して効果を検証しました。その結果、60%の人が、競合他社よりもハンバーガーと一緒に飲む Pepsi の味を好んでいることがわかりました。そこで、ハンバーガーの分野でこのロゴのアイデアを展開できないか、と考えました。

しかし、Pepsi のロゴが本当に様々なハンバーガーチェーンのロゴの中で発見することができることに驚きを感じつつも、まだ少しクリエイティブな緊張感が足りないと感じていました。

Pepsi はブランドなのです。それもチャレンジャー・ブランドです。その昔、Pepsi Challenge を始め、コーラ戦争に参戦したブランドなのです!
だからこそ、ブリーフィングの内容をより深く理解し、研ぎ澄ませたアイデアにするため、もう少し大胆で不遜なことをする必要があると思いました。しばらく考えた後、一番の創造的緊張がずっと目の前に存在していたことに気づきました。ハンバーガーはPepsiと一緒に食べると美味しいかもしれませんが、アメリカのトップ3のハンバーガーチェーンはPepsiを販売していません。つまり、アメリカで最も人気のあるハンバーガー、『ビッグマック(マクドナルド)』、『ワッパー(バーガーキング)』、『Dave's Single(ウェンディーズ)』は30年以上、時には過去に一度も、Pepsiと一緒に売られていないのです!」

「私たちは、そうした文化的な真実の発見と洞察力から、ついにアイデアを抽出することができました。そして、業界トップ3のハンバーガー・チェーン店を中心にしたイメージでアイデアを膨らませたらどうだろうかと考えました。しかし、当社の法務チームはこのアイデアを快く思いませんでした。それも当然といえます。なぜなら、競合他社というだけでなく、世界最大級のハンバーガーチェーンを3社も相手にしているのですから。4つのグローバルIPホルダーと、4倍もの数の弁護士が、この件に飛びかかってくることを意味するのですから。そこで法務チームは、もしあなた達がこの件を進めたいのなら、絶対に3社のロゴを操作(加工)してはいけない、何も操作してはいけないということを約束する必要がある、と言いました。

私たちは、何かをつかんだと確信しました。私たちには強いアイデアがあり、方向性も明確です。しかし、法的な問題や実現可能性など、解決すべき問題がたくさんありました。しかし時に制約は、思いがけない場所に連れて行ってくれるプロペラになります。そこで、私たちは折り紙の驚くべき世界を探求することにしました。素晴らしい折り紙アーティストを見つけたのです。

無事3社のロゴを操作しない方法を見つけ、弁護士にも従うことができました。そして、バーガーキングから、ウェンディーズまで、ポイントを明確にしながらも、アルゴリズムは文句なしに美しかったと言えるでしょう。そしてもちろん、私の愛するマクドナルドも。

「さて、私たちがどのようにパートナーシップを組み、プロジェクトを何度も何度も改良し続け、コラボレーションとクリエイティビティを融合させた "Collaborativity" という概念を実現したかをご覧いただきました。

このプロセスから得られる5つの核心的な事柄をお伝えしたいと思います。

1.私が「ラウンド・ゼロ」と呼んでいるもので、非常にシンプルなコンセプトです。これは、すべての広告会社に対して、どんなアイデアでもいいので持ってきてください、と発信することです。そして、アイデアがあればそれがいつ、どこであろうと、私たちは必ずミーティングの時間を作ります。

2.徹底的にオープンな透明性です。私は、自分たちの胸騒ぎやクライアントとの衝突という点では、お互いに非常にオープンでした。弁護士と戦っていることについても完全にオープンにし、アイデアを生かそうと奮闘しました。

3.奉仕と保護。重要なのは、広告会社側にもクライアント側にも、アイデアそのものに優先するようなアジェンダは存在しない、ということです。私たちは皆、素晴らしいアイデアのために働き、それが反復され、構築され、成長し続ける中で、組織内のあらゆるコストを使ってでもそれを保護することが私たちの仕事なのです。そして、一日の終わりに両者の誰もがその仕事に誇りを持てるように、正しい実行を維持する必要があるのです。

4.多様な考え方の力。私たちは、多様なバックグラウンド、多様な視点、そして双方のチームと私たちの混ざり合いなしには、ありふれた風景の中に隠れているロゴを発見することはできなかったと思います。

5.Get Messy。これはどんな会社で働こうが、どんなレベルであろうが、袖をまくり上げ、汚れながら、一緒にアイデアを作り上げていくこと。この業界では、取引的な売り手と買い手の関係ではなく、一緒に作り上げていくことが重要なのです。」


"Luxury 3.0 - Building Brands in Partnership With the Customer"

Bottega Veneta (中央左) / Patta (中央右) / Adidas (右)

このセッションでは、ラグジュアリーの世界に目を向け、この業界でのマーケティングの方向性について議論しました。もしブランドが次世代とつながりを持ちたいのであれば、手綱を手放し、コミュニティを育成し構築するために新たなリスクを取る必要があるという、無視できない真実を探っていきました。
以下が語られたテーマです:

  • なぜコミュニティに力を与えることが重要なのか?

  • コミュニティとブランドの未来を築くために、知識とソーシャルカレンシーをどのように活用すればよいのか?

  • 新しく、分散型のコミュニティとコマースを作成するためのWeb 3の役割とは何か?

■スピーカー
Erika Wykes-Sneyd (Vice President Global Marketing, Adidas)
Gee Schmidt (Founder, Patta)
Dario Gargiulo (Chief Marketing Officer, Bottega Veneta)

■モデレーター
David Fischer (Founder and CEO, Highsnobiety)

■本セッションでの注目コメント
「始まりは2018年、私たちは当時のオーディエンスにとてもシンプルな質問をしました。"あなたの好きなラグジュアリーブランドは何ですか?"と。Gucci、Bottega Veneta、Balenciaga、といった答えだけでなく、YEEZY、Stone Island、Off-Whiteといった答えも返ってきて、若者のラグジュアリーという言葉の理解・解釈が大きく変化していることにすぐに気づきました」

Patta:
「私たちの出発点は、私たちがいわばコミュニティであることだと思います。共通の目的を持った人々が集まり、共通の関心事を持ち、協力して調査したり、重要だと思うことに取り組んだりする。そして、それは私たちがいつも身近に感じていることで、私たちはその中心にいるため、差別化を意識することはありません。これは、多くのブランドと大きく異なる点だと思います。

コミュニティー第一主義とも言えますが、"私たち第一主義"とも言えます。なぜなら、私たちの目標や行っていることは、とても誠実なことだと確信しているからです。私たちが見ている景色やこのブランドで何をしたいのか、またお金などの話をするとき、誠意とは何かと問われることがあります。この質問をされたとき、私たちがしたいことは、とても、とても、とても誠実なことなのだということを確信します。私たちにとって良いことをすることで、コミュニティも自分たちのために良いことをするようになります。そして、コミュニティは、良いことをすることが当たり前という状況になるのです。私がお金を稼ぐためや自分の状況を改善するために、何百万もの製品を人々に押し付けるなんてことはしません。そうではなく、私が良くなることで、私と一緒にいる人たちも良くなっていくことを保証するのです」

「Q:製品を購入することが唯一の方法ではなく、人々がさまざまな方法でブランドと交流することを可能にしていますが、本当ですか?

A:Pattaは、エドソンと私の2人の経営者からスタートし成長してきました。それが4人体制になり、8人体制になり......と、どんどん増えていきました。そして音楽は常に我々のバックボーンであり、常にとても重要なものでした。そして私たちにとってファッションや衣料品、プロダクトは腕のようなもので、スポーツは脚のようなものです。そして、私たち自身が、本心から発言するための「頭」です。私たちは多くの閉ざされた扉に直面してきました。扉を開く任務を担うべき人たちが必要である気がしています。

マーケティングやコラボレーションについて話すとき、それは実際に何を意味しているのでしょうか?XとXが何か素晴らしいことをして、たくさんのものを世の中に送り出そうとしているのか、一方のXがより大きく、もう一方のXがやっていることが重要だと考えてプラットフォームを与えようとしているのか。いろいろな見方がありますが、私たちは差別化をしていないので、それをあえて言い換えているのです。私とエドソンは3年前、まだ実際に店舗で働いていました。 だから、お客さんに対して謙虚になることができるのです。なぜなら、お客さん一人ひとりが私たちを助け、私たちのミッションを進化させてくれる存在だと知っているからです」

Bottega Veneta :
「Q:少し前にインスタグラムを閉鎖し、最終的にオーディエンスがブランドの代わりに発言するような形にしましたね。それは、ラグジュアリーブランドやBottega Venetaのような規模のブランドにとっては、非常に珍しいことでした。その決断について聞かせてください。

A:Instagram は、我々が行っていることの最も目に見える効果かもしれないが、いつも自問自答することは、いったいどのくらい自分たちから発言すべきかという事です。なぜなら、ラグジュアリーブランドは、このストーリーテリングの時代で、あまり語らない方がいいと思うからです。例えば、"私はマーケティングに長けている"と自ら主張することはできますが、誰かが私の代わりにこの主張をした方がずっと効果的です。そうしてもらうためには、自分たちがどのような存在になるべきかを理解することが最も重要だと思います。

それは、Instagramに限ったことではありません(個人的にInstagramは大好きです)。ソーシャルとメディアの違いを理解することも大切だと思います。というのも、私たちはこの2つの言葉を一度に組み合わせてしまいがちだからです。しかし、ソーシャルとメディアは全く違うものです。ブランドは、ソーシャルにおいては、すべての会話に参加すべきではないと思います。そして、メディアを使った広告をする事はなにも悪いことではありません。時々、どれがオーガニックで、どれが有料で、どれがオーガニックと偽っているものなのか、混乱することがあります。ラグジュアリーブランドは、もっと熟慮し、単なる商品提供と本当の意味でのコラボレーション施策に対するアプローチ方法を、明確に区別するべきだと思います。

そして、コミュニティや人々、クライアントについて。私たちにとって、彼らは素晴らしい役割を担ってくれました。しかし、繰り返しになりますが、私たちは、コミュニティ形成には時間がかかると考えています。ですから、Bottegaでは一夜にしてコミュニティを作ろうと急ぐことはしません。コミュニティ形成は、製品作りに似ています。Bottegaの製品を作るには何日もかかります。同じようにコミュニティを作るには長い時間がかかります。私たちがやっていることはとてもシンプルで、インフルエンサーという存在を信じていません。私たちは『影響力』を信じています。そして私たちは、オーディエンスの数も重要視していません。時には少数のフォロワーがより重要な役割を果たすこともあるので、フォロワー数だけを見て評価することはありません」

Adidas:
「Q:Web3は、新しい視点から顧客を見るための素晴らしい機会を提供しますね。そして、顧客自身もまた、従来の顧客という感覚よりも、ほとんどシェアホルダーとして自分たちを見ているように感じます。メタバース・プログラムに参加していますが、NFTチームの戦略としては、コミュニティとの双方向の会話に関して、どのようにアプローチしていくのでしょうか?

A:私たちは、この領域に参入した最初のブランドのひとつですが、この新世代の価値観に深く触れられるようになりました。

偶像破壊、閉じたシステムから開いたシステムへの移行について話しているパラダイムシフトは、まさにWeb2です。Web2を制したのはカーダシアン一家といえるかと思いますが、 Web3を制するのはおそらく今の世代の人々でしょう。彼らがパワーコントロールとパワーシフトを取り戻します、なぜなら彼らにはツールがあり、能力がありリソースがあるからです。ブロックチェーン技術によって、顧客やコミュニティからシェアホルダーへと移行することができるようになり、彼らは今や私たちのブランドに対して利害関係を持つようになりました。そしてその携わっているプロジェクトが成功すれば、彼らは株式を手に入れることができるのです。彼らは実際にこのプロジェクトの成功に関与し、影響力を持ち、より多くのアクセスを得ることができるのです。

私はDiscordにいるので、ぜひ話しかけてください。Discordではアディダスの副社長にもアクセスすることができますよ。私たちのDiscordでは、常にチームのメンバーにアクセスすることができ、常に双方向の会話を行いながら、コミュニティの声を聞き、コミュニティに価値を提供しようとしています。なぜなら、消費者側の彼らもまた、私たちに手を差し伸べ、私たちに価値を与え、アイデアやインスピレーションを与えてくれるからです。今や私たちはオーディエンスと一緒に製品を作っていると言えます。ロードマップを一緒に作っているのです。これは、市場参入の戦略として、実に異なるものです。

コミュニケーションを構築する方法も大きく異なります。大きなブランドにとっては、よりリスクが高く、より怖いものです。そのため、ブランドやビジネスの背後にある人間性を明らかにする必要があると思います。以前、GoogleやUberで技術系の仕事をしていたときに、"テックを人間らしくしよう"と言われたことがあります。これは、基本的には、その背後にいるチームが誰であるかを実際に示すような、人間性を表すことを意味します。あなたの価値観は何ですか? もし、相手が同じ価値観を信じていて、自分たちもそれを大切にしているならば、その人たちをコミュニティに招き入れることができるかもしれません。NFTは、こういったプロジェクトや新しいコミュニティの成功に関与する機会にもなるのです」


ad:tech tokyo でも、Cannes Lions に関連した情報をお届けする予定です!お楽しみに

ad:tech tokyo 2022 概要
日程:10月20日(木)~21日(金)
会場:東京ミッドタウン&ザ・リッツ・カールトン東京
詳細はこちら:https://adtech-tokyo.com/ja/
*参加パスの早期割引は7月末まで!


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