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生成AIが普及するとウザい広告が減る?

みなさんこんにちは。未来デジタルラボ研究員の鈴木です。今回から、月間でなんとなくこういう議論を未来デジタルラボでしました、ということをコラムでまとめてみたいと思います。今月は生成AIを中心に議論が盛り上がりました。


鈴木 正義(すずき まさよし)
執行役員 広報本部長
IT企業での広報経験○十年で、なんとなく技術がわかっている風を装うスキルを身につける。社会人ラグビーチームクリーンファイターズ山梨でも広報を担当し、選手の撮影からSNS投稿、動画制作、などでアドビツールを駆使している自称体育会系クリエーター。未来デジタルラボの全体のリードを担当。幕末好きで、未来デジタルラボを令和の松下村塾にすると謎の大志を抱いている。


1)画像生成AIってどう役に立つの?

ご存知の通りアドビはAdobe Fireflyという画像生成AIを発表しました。プロンプトを打ち込んで画像が生成される様子は驚きですし、SNSで盛り上がるのもよくわかります。ただ、「わーすごーい」という以上に、一体これは具体的に何に使われて、それは我々の生活をどう変えるのでしょうか。ちょっと未来デジタルラボ的に考えてみました。

先に言ってしまいますと画像生成AIが実用化されると、SNS上で見る「ウザい広告」が減るのではないかと思います。ちょっとそのことについて今回書いてみたいと思います。

アドビといえばクリエイティブツールのイメージが強いと思いますが、実はアドビのもう一つの大きな事業の柱としてデジタルマーケティングがあります。6月にロンドンで開催された「Adobe Summit EMEA」はそのデジタルマーケティングの祭典です。

このSummitの場で画像生成AIをつかった「コンテンツサプライチェーン」という構想が強調されました。つまり、製造業のようにコンテンツを大量に効率よく生産して届ける、ということです。

その背景にはコンテンツ需要が爆発する、と言う予想があります。アドビの調べによると、マーケティング担当者には過去2年でコンテンツ量が2倍になり、さらに今後2年で5倍になる、と予測している人もいます。このような需要にこたえるために、コンテンツ制作を効率化しないといけない、ということです。

では、どうしてコンテンツが爆発的に増えると予測しているかといいますと、要するに「ウザい広告」のせいです。いえ、他にもいろいろあるのですが、わかりやすく言うとそういうことです。

例えば今我々はソーシャルメディアというきわめて個人的な空間から多くの情報を得ています。その空間に広告が掲載されるわけですが、そのとき若い女性のタイムラインにおじさん向けのスーツの広告が出てきたらウザいですよね。あるいは、ついさっき買ったばかりの一眼レフカメラの広告が次々出現したら、これはこれでウザいですよね。ようは、広告というTVや新聞のようなマスメディア向けに1つの優れたコンテンツを制作していれば良かった時代ではなくなり、受け取る相手にあわせた内容をタイミングや出す場を合わせて投下する必要があるわけです。

しかし、だからといってクリエイターに「年齢別に10個クリエイティブを作り分けて欲しいです。ただし納期とギャラはいままでどおりの方向で」と頼むわけにもいきません。

ここで生成AIをつかえば一気に生産性を高めることができるわけです。クリエイターはリサイズやレイアウト変更といった作業ではなく、キービジュアルのアイデア出しなどに時間をつかうことができれば、生成AIウエルカムなのではないでしょうか。


2)副操縦士って、結局なんなの?

もう一つ、生成AIというとアドビも含めていろいろなところで「Co-Pilot(副操縦士)」である、と説明されています。これは「主体性を持つのは人間であって、その仕事を奪うモノではないんだよー」という意味かな、と思っていました。実際その意味でも十分納得がゆくのですが、先日この未来デジタルラボの対談の中で及川卓也さんが言っていた言葉がちょっと目から鱗でした。

自分が飛んでゆく行先に責任を持つのが正操縦士なのですが、もしも正操縦士が行き先に迷ったらどうするでしょうか。副操縦士に相談しますね。つまり、副操縦士って「疲れたからちょっと代わりに操縦しておいて」というだけの存在ではなく、自分にとって貴重なセカンドオピニオンを提供してくれる確かなパートナーでもあり、生成AIはそのパートナーたり得る、ということです。

自分の作風とは違うヒントを得たい時や、クライアントの要請で別パターンを何個か作りたい時など、確かに意見を聞ける副操縦士の存在は便利なのかな、と思います。

コンテンツサプライチェーンでコンテンツを大量生産、と聞くとなんだかクリエイティブが「モノ」扱いされているようで感じ悪いんですが、ある種のプロの世界では「良いコンテンツ」は時として「稼げるコンテンツ」であることが求められます。そうしたプレッシャーの中で副操縦士さんの助けも借りながら最適なものを追求しつつ、クリエイターが個性を発揮できるといいな、と思いました。


3)世代別AI意識調査やります!

実は未来ラボのメンバーの何人かは普段アドビの広報チームに属しているのですが、ここのところ実にマスコミの取材が多いのです。しかもそのほとんどが「AIの脅威」みたいなテーマです。Adobe Fireflyは AIの学習データにAdobe Stockなどで著作権が明らかなものだけを使ったり、AIによる画像修正の来歴情報を残すという考え方を持っているため注目してくださっているようです。しかし、そんなにAIって怖い怖いとみんな思っているのでしょうか。そんな恐ろしいイメージばかりではないように思えてなりません。特に世代や職業によって生成AIに対してどんなふうに思っているのか、近く調査をおこなうことにします。結果はここのnoteで公開しますので、ぜひ楽しみにしていてください。

(この調査は7月下旬ごろに公開予定です。7月下旬になっても公開されていなかったら、ああ、作業が遅れているんだなーと思っていただけたら幸いです。)


研究員・鈴木が執筆した記事はこちら


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