標準化と適応化 -その汎用性に着目して-

 標準化と適応化、もう知らない人がいないであろう有名な概念だ。しかし、その実はどれだけ理解されているだろうか。何を標準化すべきで、何を適応化するべきなのか、明確に区別することで業務効率は驚くほどに変わる。
 本記事では、両概念について解説していく。

標準化の基本概念 

 標準化とは統一された基準を広範囲に渡って適応させること、と理解して欲しい。例えば、adidasやNIKEのシューズにあるサイズ表はグローバル表記にすることで、同等のモノを世界で流通させている。Appleは説明書を他言語化し、同様である。
 ここで重要なことは、全く同じ物を流通させるなら、グローバル表記を統一基準とすることで個別的な適応化は不要である、という点である。最近のデジタル商品の多くもそうだろう。言語は個別的に設定できる様にし、同じものを流通させていることは少なくない。
 では、標準化のメリットは何であろうか。最大のメリットは、情報の一元管理による管理コストの低減だ。例えば、同じ商品を同じ場所で大量に作ることで、品質管理は圧倒的に楽になる。なぜなら、複数の顧客に対して情報量は単数だからだ。
 もう少し分かりやすくしよう。テーマはなぜ浮気や不倫はバレるのか。それは、相手に対して個別的な対応を行なっているからだ。つまり、対象となる人数に相応して管理すべき情報量は増加していき、最終的に管理できなくなり発覚するのである。ここで標準化について考えてみる。
 すべての情報を標準化して一元管理するとどうなるであろうか。デートにいく場所、一緒にみた映画、誕生日にもらうプレゼント、つけてもらう香水、これを全て同じにするのである。もちろん細かく言えば全てを同じにすることは多少の困難もあるだろうが、圧倒的に管理は楽になるはずである。
 このように、個別的な情報は扱う量が多くなればなるほど、管理コストは増大するため、意図的に標準化(均質的な情報)とすることで管理コストの低減を図ることが可能となる。

適応化の基本概念

 適応化とは個別な対象へ合わせた対応を行うことである。例えば、カップラーメンのスープは関東と関西で味が違うことにより確認できる。なぜこのようなことを行う必要があるのか。それは嗜好性の違いが一定程度あるからである。この場合は地域による文化的背景に基づいた味の好みの差異、とでも言えるだろう。
 では、適応化のメリットは何であろうか。最大のメリットは、付加価値である。相手き最適な商品やサービスを行うことによって、その分、高額な対価を得る、というものである。
 もう少し分かりやすくしよう。テーマはなぜセミオーダーは流行るのか。厳密には適応化の工程を標準化しているのだが、優しい心で読んでいただきたい。簡単に自分だけの商品が作れるのである。他の誰もが買える汎用品よりも自分が自分で作った自分だけの商品という付加価値である。
 この様に、相手の思考性に合わせてカスタマイズを施すことで、その価値を高めていくのである。

標準化と適応化の適用:マーケティングの4PにおけるPlace戦略

 ここでいうPlaceは販売チャネルを指すのだが、一般的に直接販売、間接販売(代理店チャネル)、EC(インターネット・ショッピング)の3タイプに分けて考えてみる。
 直接販売は、単体の企業に対してカスタマイズ商品を販売し、高利益率を期待する戦略である。基本的に適応化にはコストも増加することから、企業規模の大きい大企業相手に行うことが多い。1社に対する適応化によって膨大な取引量と高利益率を確保することができる為である。
 間接販売は、代理店によって標準化された商品を若干多人数向けに販売する際の戦略である。生命保険が何となく分かりやすいだろう。若干のカスタマイズ性はあれど、概ね標準化された商品を多くの個人消費者に向けて若干のカスタマイズ(特約)によって販売するのである。ただ、生命保険の場合は説明を聞きたいという顧客のニーズもあるかもしれない。
 ECは、完全に標準化された商品を大量の顧客に販売する戦略である。例えば、全く同じネジなどの部品である。規格はホームページ上で確認できるのだから、余計な説明など不要である。特に、低価格商品に対して有効である。高価格商品となると説明を受けたいというニーズが一定数生じる可能性がある為である。

随時、更新予定。

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