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「高学歴ワーキングプア」を読んで。

背景

博士課程に進んだ場合にどうなるのか知りたかった。大学の先生たちは口を揃えて「オススメはできない」と言っているし、「進む希望があるなら、しっかり話す必要がある」とも言っている。けれども、漠然とし過ぎてよく分からないので読んでみました。

私は修士号を持っていて次に進むなら、博士だが、修士の時点で博士課程への研究の重圧を想像すると無理だと思って諦めた人間です。(けれども、自己満の研究はしたいと思っている。たとえ、車輪の再発明だとしても。)

私はこの本の対象の人間ではないだろうと思いつつ、読んでみました。

感想

おおまかな全貌が分かった気がする。

特に記憶に残っているのは、先生の学歴でたまに見る「単位取得退学」という意味が分かった。これは博士課程を終えただけで、博士号を持っていないことを指す。博士号を貰うには博士論文が審査に合格しなければならない。

ここから、おおまかな理解した全貌を書いておく。博士号獲得の道のりは、大学→大学院(修士)→大学院(博士)と進む。順当に行けば、全てを終えるのに9年かかり、新卒になるのは27歳の頃だ。博士号を取ったとしても就職率は50%程度であり、就職できなかった人は行方知らずになることが多い。確か、行方知らずになった人のうち10%は自殺している。なぜこんなにも就職率が悪いのか?というと、企業が博士の人材を求めていない点にある。「頭が固く、視野が狭い」、「自分で色々考えれる人はいらない」という人が多いのが企業の見方なようだ。こんな実情から、働き口を増やそうと、ポストドクトラルフェロー(ポスドク)という任期付きの職種を用意するが、この職種でも修了した博士人材を全て吸収できないでいる。しかも、この職種に応募できるのは35歳までであり、更新は基本的にない。他の選択肢としては、大学に席だけを残し、上のポストが空くのを待つというのもあるのだが、こちらも望み薄である。また、年齢を重ねれば重ねる程、採用率は低くなり八方塞がりな状況である。そして、フリーターに成らざるを得なくなってしまう。

私の理解としてはこの程度である。色々抜けているだろうし、就職率や自殺率はこの本執筆時のものであり今の実情とは合っていないだろう。けれども、新聞でも度々「博士人材の活用を!」なんて報道されているので、企業の見方はここ15年であまり変わっていないのではないかと思う。

高学歴がフリーターになる流れとして、彼(女)らには「ここまでやってきたのだから研究者になりたい」という未練もあって、バイト先で社員の打診を受けても受け入れられない実情もあるようだ。

この本の著者も度々、「どこかで踏ん切りをつける」「違う道を探す」というようなことを書いていたのも印象に残っている。私は彼(女)ら程、辛い目にはあっていないが、確かに日々を過ごしていて、このまま老後までというのは辛いものがあると感じている。この本を読んで、「現実は厳しい」と思うのだろうと思いきや、意外と元気を貰いました。


最後に

私のように、博士課程ってどんなところ?その後は?ということが気になる人は読んでみるといいと思います。


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