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お客さんの要望をどこまで聞くか問題(ハワード・シュルツ『スターバックス成功物語』からの学び)

昨日、こんな本を読みました。

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初版が1998年(横浜ベイスターズが優勝した年ですね)、相当前の本ではあるんですが、カフェ業界を知る上で押さえておかなければいけない歴史の1つだと考え、手に取ってみました(日本版の本も買ってみたので、近いうちに読みます)

スターバックスの元CEOであるハワード・シュルツが、彼の生い立ちから同社の発展までを綴った物語なのですが、その中の1つの印象的なエピソードについて触れてみたいと思います。

答えはお客さんの中にある

今や日本のスターバックスでもお馴染みの「ノンファットミルク(無脂肪牛乳)」の導入秘話についてです。著者の言葉を借りると「スターバックス史上最大の論争に発展」したこの一件からは、客商売の「誰のために」という大事な視点を学ぶことができます。

スターバックスのCEOハワード・シュルツは「イタリアのエスプレッソバーの雰囲気をアメリカで味わってもらうこと」を掲げていたこともあり、ビーハーという中途入社の社員が「顧客のニーズ」という理由で進言したノンファットミルクの導入を、真っ向から拒絶していました。それはハワード・シュルツだけではなく、他の幹部、そして現場の店長たちも真っ向から反対だったそうです。

しかしある日、出勤前のハワード・シュルツが早朝のスターバックスに寄った際、女性のお客さんがノンファットミルクの取り扱いがないことに失望して出て行ってしまったところにたまたま居合わせ、考えを改めてテストを実施。

最終的には、現在のような定番化に至りました。

小売業にとって顧客を失うほど厳しいことはない

とハワード・シュルツが記していますが本当にその通りで、「このお店はもういいや」となってしまえば、2度目に来店してもらえる保証はどこにもありません。

この事例はまさに「答えは現場にあり」の典型で、お客さんが解決したいと思っている課題をリアルに目の当たりにしたことで、結果的に大成功を収めたものだと思います。

どこまでお客さんの"言い分"を認めるのか…ブランドイメージとのバランス感覚

ハワード・シュルツはこのような難しい判断における"線引き"について、このように語っています。

われわれは信念を捨ててしまったことになるのだろうか。「絶対にやらない」という決意は文字通りのものだったのか。
この点について私は次のように考えている。
顧客は、どんなやり方であれ、自分の好みに応じてコーヒーを楽しむ権利を持っている。
(中略)
しかし、われわれは最も大切にしているものの完全性を損ない、めちゃくちゃにしてしまうような事には絶対に手を出さない。最も大切なものとは、深煎りの豆を使った、入れたての香り豊かなコーヒーである。それは、われわれの試金石であり、基盤であり、伝統なのである。スターバックスに行けばそういうコーヒーが飲める、と顧客に信頼されることが必要なのだ。(『スターバックス成功物語』P228)

示唆や学びに富んだ大事な話ですが、特にキーワードになるのは以下の2つだと思います。

・自分の好みに応じてコーヒーを楽しむ権利を持っている
・最も大切にしているものの完全性を損ない、めちゃくちゃにしてしまうような事には絶対に手を出さない

これを一つにまとめると、「一番大事なコアになる部分からブレることなく、何よりもこだわりつつ、しかしそこに影響しない範囲では顧客のニーズに柔軟に対応する」ということになるでしょう。シンプルでわかりやすいですね。

迷走する飲食店にありがちな話ですが、お客さんの要望に応えているうちになんでもござれになってきて、何屋さんかわからない「役に立つだけの店」になる。で、役に立つ勝負に破れた瞬間に、見捨てられる。

これはもしかしたら、多角的に手を出してしまうという以前に、自分の店のコアになるものが決まっていないのが問題なのかもしれません。

まずはしっかり自分のお店のブランドについて考えて、そこにこだわり抜き、その上でお客さんのニーズに応える…というのが、バランスとしては一番良いのかもしれません。

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