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口出しせず、見守る

テレビを見ていたら、たまたまフジテレビの「居場所をください」という番組がやっていた。

そこでは、壮絶な少女の生活が取り上げられていた。

リストカットを繰り返し、自分の血を取って、友人に送るという傍から見ると、奇怪な行動を取る少女たちを見て、スタジオの某アナウンサーは「何でこんなことするの?」と思わず声をあげていた。

私はこの少女の理解できない行動に対して、一言目にかける言葉はとても大切だと思った。

「なんでこんな事するの?」というのは、まず私たちの中に浮かんでくる言葉ではあるだろう。しかし、その言葉は少女からすると、「なんでこんな(悪い)事するの?」と、責められているように感じるだろう。このような一見理解できないような行動をとる少女たちに対して、「なんでこんな事するの」と思う気持ちを押し込め、まずは少女自身の言葉を聞くことが大切なのではないだろうか。この少女たちの支援をしていた元少年院法務教官・武藤杜夫さん(41)は、彼女達の行動を責めたり、否定するようなことは言わなかった。私たちは人が自傷行為をしていると、思わず「そんなことしちゃいけないよ」と声をかけてしまう。その行為自体を否定してしまうのだ。しかし、少女たちは自傷行為をしたくてしているわけではなく、してしまうというジレンマを抱えていると考えられる。苦しく辛い状況にいる少女たちには、その言葉は虚しく響くだけだろう。

この番組に出ていた少女たちは皆、児童相談所へ行きたくないと言っていた。それは、児相は少女たちの思いを聞かずにマニュアルに則った行動をしてしまうからだ。全ての児相がそうではないだろう。しかし、児相によってさらに傷つけられてしまう人もいるのだ。

少女たちの話を聞き、どのような行動を取るのが正しいのか、ということを押し付けるのではなく、少女たちの思いを丁寧に聞き、少女自身が今後どうしたいのか、どう生きたいのか、を一緒に考えていくことが必要なのではないだろうか。武藤さんはきっと自ら危険な道に進んでしまう少女たちにもどかしさを感じながらも無理やり引き戻すことはしなかった。こうした方が良いのに、と周りの人は思うことはたくさんある。それをあえて言わずに見守ることはとても難しいが、とてもとても大切なことなのだろう。しかし、中には本当に危険な事例もあり、少し介入した方が良いものもある。線引きは本当に難しい…。

現場のリアルを知ることができ、多くのことを考えさせられる番組でした。


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