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【変動金利の仕組み】変動金利なのに変動しない!?

ここ最近、「金利上昇」「住宅ローン破綻」「変動金利いよいよ上昇か?」などの報道がありましたよね。

このNOTEでもその反論を掲載しましたが、今回は少し深堀して変動金利の金利決定のメカニズムを勉強していきたいと思います。

変動金利とは

言葉通り、「変動する金利」です。
これは支払い開始時から市場金利の動向に連動する金利です。

一般的な金融機関では年2回(4月と10月)、適用金利が見直しされます。

5年ルールと125%ルール

5年ルール

住宅ローンを組んだ後に金利上昇した場合でも、すぐに毎月の返済額が増えるわけではありません。

変動金利には「5年ルール」というものがあります。

「5年ルール」とは、金利上昇したとしても5年間は返済額が変わらないというルールです。

しかし、この5年間に上昇した金利分は6年目以降の返済額へ増額される仕組みになっています。

125%ルール

前述した金利上昇が6年後の返済額に反映された場合には、125%までの上限があります。
これが125%ルールです。

例えば、当初支払いが10万円の場合、5年間で急激に金利上昇したとしても6年目以降の支払いは12万5000円までとなります。

ちなみに、今の変動金利実行レートが0.475%だとすると、2%に上昇した時がその水準となります。

このように、変動金利は「5年ルール」と「125%ルール」で守られているという安心感もあります。

しかし、金利上昇した部分をこの「2つのルール」で消化できない場合、「未払利息」として住宅ローン完済時に一括で返済する必要があるのでご注意ください。

変動金利の変動要因

では、変動金利はどのように変動するのでしょうか?
そのあたりを解説していきます。

変動金利の変動指標 ⇒ 日銀の政策金利

「日銀の政策金利」とは、日本銀行が景気動向を観察して政策的に決定する金利です。

金利は経済の体温と言われるもので、景況感が停滞すると市場にお金が流れやすくするために低くなるよう誘導します。

逆に景気が過熱する、もしくは物価が上昇しすぎた場合には、その市場の熱を冷ますために金利が高くなるよう誘導することでお金の動きを落ち着かせようとします。

このような仕組みの中で、現在の日本経済は1990年バブルから「失われた30年」と言われています。
これは長期低迷期から脱却できておらず、超低金利時代が継続している状態です。

過去の変動金利の推移

【フラット35】民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

1991年のバブル期には変動金利はなんと8.5%となりました。

バブル崩壊後は日本経済が崩壊。

日銀はその景気復活のために「ゼロ金利政策」をとることで市場にお金が流れるようにしました。
この当時の変動金利店頭金利は2.375%です。

そして、2007年~2008年あたりでは変動金利は一時上昇をはじめます。

この時期、米国や中国のなどのグローバル経済がバブルとなったのですが、その際に海外から「日本の円キャリーがグローバル経済におけるバブルの要因の一つである」と指摘されたことが要因です。

「円キャリー」とは、日本で超低金利で調達したマネーが世界に流れてしまっているという状態です。

この海外からの指摘により、日銀は仕方なく0.2%を2回(計2,875%)に上昇させました。
(仕方なく、というのは私の個人的な見解ですが…)

その後の2008年にはリーマンショックで世界経済が崩壊し、その影響は日本経済も深刻な経済崩壊を起こしました。

そして、日銀は再び「ゼロ金利政策」をとり、住宅ローン変動店頭金利は2.475%となったのです。

この30年の変動金利動向をまとめると、リーマンショック前の約2年間は0.4%程度上昇しましたが、総じて「ゼロ金利政策」から抜け出せておらず、超超超低金利を続けているということです。

でも実は…固定金利より変動しない変動金利

【フラット35】民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

次に、住宅ローンにおける変動金利と固定金利の推移を見てみましょう。

特に2009年以降を見てみると、実は変動したのは変動金利ではなく固定金利なのです。

変動金利と固定金利の名称は市場金利のボラティリティーではなく、住宅ローンを組んだ後の動きがどうなるか?ということ。

  • 変動金利:住宅ローン返済開始後に金利変動があり支払いが上下する

  • 固定金利:住宅ローン返済開始後には金利が固定されているので「固定期間はずっと一定」

これからの変動金利動向は??

あくまでも個人的な見解ですが、中短期的には変動金利の金利は変動しないのではないかと考えています。

その理由は…

  1. 日本経済の復活の兆しが見えない

  2. 日銀の国債保有額が多過ぎてむしろ金利が上げられない

この2点だと思います。

出典:2022年12月5日発行 日本経済新聞

このあたりの細かい解説は今回省きますが、日本経済や日本の財政の問題(赤字国債乱発による財政問題)に対する見通しを立てていかないと、もっと大きな問題(日本財政破綻)になるのではないのでしょうか?

順番はあくまでも経済や財政健全化が先です。

まぁ…このように日本には色々な問題はありますが……
グローバル的に見ると日本の超低金利状態は住宅購入希望者の方にとって破格の好条件が整っているということです。

この超低金利を上手く活用し、無理のない返済計画のもと幸せな良い住宅購入を行っていただければと願っています。

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