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「足で漕ぐ」車椅子ってなに?!

こんにちは。wamです!
理学療法士として働きながら、障害者の余暇活動について
発信しています。

以前、「スポーツ用車椅子」として記事を掲載しましたが、
その他にも、おもしろい車椅子があるのです!

今回は「足で漕ぐ」車椅子をご紹介します。

普通の車椅子は、もちろん手で漕ぎますよね。
では、足で漕ぐってどういうこと?!

なんと車椅子にペダルがついており、そのペダルをこぐことで
前に進めるのです。

そんな画期的な足漕ぎ車椅子COGYというものをご紹介します!
※COGYの回し者ではなく、純粋な利用者感想です笑

足漕ぎ車椅子COGYって?

私が初めてCOGYを知ったのは、大学生の時に行った
国際福祉機器展だったと思います。

当時は、東京ビックサイトに初めて行くということで
テンションがぶちあがっていましたし、
こんな大規模な展示会に行くことも初めてだったので
とにかく足早にいろんなものを見聞き、体験した思い出です。

そんな雑多な記憶の中でも、思い出せるのが
株式会社TESS社製の足漕ぎ車椅子「COGY」です。

もう名前からして、名は体を表していますし、
ペットのようなかわいいネーミング!

まだ実際の患者さんに対応したことのない学生の私ですら
「なんだこれは!これは間違いなく、リハビリにいい!!」
と何の根拠もなく確信めいたことを感じ、衝撃だった記憶があります。

幸い、勤め先がCOGYを常備している病院であったため
実際の患者さんに使ってみたりして効果を実感しています。

構造としては、座席の足元にペダルがあり
片方のアームレストの先にハンドルがあり操作できます。

ペダルに足を固定することで、麻痺側の足も安全に動かすことができます。
また、ハンドル部は左右で変更することができるので
左右どちらの手に障害があっても操作が可能です。

https://ec.daisharin.co.jp/products/cogyylより引用

COGYの特徴としては、
座席に座りながらペダルを漕ぐという行為により、
・安全に足の屈伸運動が行える(→関節が固まる予防の一助になる)
・ペダルなので麻痺足が受動的に動く(→自動的にも動かしやすくなる)
・自分で操作するので行きたい方向に進める

であると思います。

主に対象となる方は、
・片麻痺
・軽度の両下肢麻痺の方
・廃用症候群の方
などでしょうか。

片手でハンドルを操作するので、片手が自由に動かせる方かつ
下肢の筋力が片方でもある程度残存している方になると思います。

また、安全性の観点からは注意能力や感情コントロールが
難しい高次脳機能障害をお持ちの方も適応外になるかと思います。

そもそも片麻痺って何?ってところからざっくり説明すると、
脳の中の血管が詰まったり破裂したり損傷したりすると
その部分の脳の機能が停止してしまいます。
そうすると、脳から発せられる信号が体に行き届かなくなってしまうので
身体が「麻痺」した状態になり、動きにくくなるのです。

脳には右脳と左脳があり、基本的には右脳は左半身を、
左脳は右半身を取り仕切っています。
なので、右脳が損傷すると左半身が麻痺になり
左脳が損傷すると右半身が麻痺になります。
その状態を「左片麻痺・右片麻痺」と呼んでいます。

廃用症候群とは、
なんらかの原疾患の影響で体力や筋力などが
めちゃめちゃ低下した状態のことです

自分の意思でうごける喜び

普通の車椅子と心理的に違うことは、
何といっても「自分で動けること」だと思います。

片麻痺の方が普通の車椅子(以下普通型車椅子)を漕ぐ場合、
どちらか片方の手足しか基本的にはうまく動かせないので
片手操作+足で地面を蹴って方向転換をする
というような操作方法になることがほとんどです。

そういった操作方法は、自身で動くためには有効な
方法である一方で、長い距離進むことが困難であったり
坂や不整地ではなかなか進めなかったり
身体の左右非対称性を助長してしまったりといったことも
デメリットとして挙げられます。

そんなデメリットを解消するのがCOGYなのです!

意外と軽い力で進むので、楽々と長距離を漕ぐことができますし
坂も少し脚力とコツが必要になりますが、
多少の坂道や凹凸のある道は問題なく漕げます。

そして麻痺の方ではない足でペダルを漕ぐと自然と麻痺の方の足も
動くので、漕ぐ際の左右非対称性も生じにくいのです。

方向転換等の操作は、麻痺ではない方の手で行います。
ハンドルを左右に回すことで、方向転換が行えます。
一時的なブレーキもハンドルについているので
片手で方向転換と停止が行えます。

自分で長距離移動できることにより、行動範囲が広がります。
行動範囲が広がることで、できること・やりたいことの選択肢が増えます。

これってとても心理的に大きいですよね。

COGYのデメリット

ここまでの文章だと、メリットしかないじゃん!と思うかもしれませんが…

私自身はCOGYはあくまでリハビリ用と感じています。

デメリットというわけではありませんが
”日常用として使えない(使いにくい)理由”として
・ペダルの脱着が一人では難しい
・ペダル部を跨ぐ、あるいは後ろからセッティングしてもらう必要がある

すなわち、介助者が必要になることが多いという所です。

COGY適用レベルの身体機能の方が日常的に使うためには、
ある程度自身で車椅子へ乗り移れたり
操作開始時に介助者を必要としない車椅子の方が実用的です。

トイレに行ったり、食事をするためにCOGYのように
車椅子に乗り移るのを介助してもらっていては
本人も自由度がないですし、介助者も大変ですよね。

なので、COGYはあくまでも
ペダル漕ぎ動作を通して下肢運動を促したり
散歩やおでかけなどで遠くの目的地を目指す
 
などのリハ目的での使用がベストであると思います。

実際に病院で働いていると、片麻痺の患者さんで
まあまあの距離は歩けて日常生活も自立レベルだけど
長距離になると
左右のバランスが崩れてきたり、筋緊張が高まってきたりして
疲労や痛みに繋がっている方って割と多いです。

そんな方が、リハやおでかけで使用する際にぴったりだな~と
つねづね思うのです(介助者がいれば)。

よりペダルの着脱が簡便になったり
移乗の際の足元問題が解決されると、より利用しやすくなるかな~
と個人的に期待しております。

単価は40~50万くらい。ひー!
ですが、介護保険でのレンタルも可能だったりします。
※若い方は介護保険適応外なので高めですが、
一般レンタルも行っている業者さんはありそうです。

ぜひ機能維持、行動範囲の拡大のツールとして利用してみてはいかがでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました!

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wam

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