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スイス[27] スイスの鉄道[1]南北を結ぶ

202204300115スイス[27] スイスの鉄道 [1]南北を結ぶ A. J.

 手元にスイスを中心とする鉄道路線図があれば見てほしいのですが,なければスイス連邦鉄道SBB.chのサイトかモバイルアプリあるいはグーグルマップなどで見て下さい。

 スイスアルプスを貫くゴッタルト鉄道トンネル(*1)やシンプロントンネル(*2)を見るとスイスの周辺国どうしを鉄道で結ぶには両者が欠かせないトンネルであることがわかります。
 どの本で読んだのか出典が明らかでないので申し訳ないのですが,フランスからイタリアへ鉄道旅行をする際に(昔の話ですよ)スイスの通過ビザを取得するのを避けるためにフランスのリヨンからイタリアのトリノ方向に行く路線を使いスイスを迂回して旅行するという方法(*3)もあったようですが,現在のヨーロッパ少なくともスイスとその隣接国はシェンゲン圏ですのでスイスを通過するのに特段の問題はありません(*4)。

TGVなどの高速鉄道の開発前でしたら…(*5)
フランス・パリからイタリア・ミラノへ向かう場合,例えばパリ・リヨン駅から出発しフランス・ディジョン(Dijon)を経由して

Dijion-Vallorbe(スイスとの国境駅のバルロブ)-Lausanne(ローザンヌ)-Brig(ブリーク)-シンプロントンネル-Domodossola(イタリア・ドモドッソラ)-ミラノ

という方法も取れますし,パリ北駅からならアルザス経由で

Strasbourg(ストラスブール)-Basel SBB(バーゼルえすびーびー)-ゴッタルト鉄道トンネル-Lugano(ルガーノ)-Ciasso(キアッソ)-ミラノ

という方法も考えられます。

 TGVやICE,ECが走る現在,パリからミラノという都市間に限定するとスイス国内を経由する場合でも最速で8時間以内に到着するようです(*6)。もちろん,スイスを避けて走るTGVなどの路線もあります(*7)。

 昔,スイスアルプスはヨーロッパ人の往来を妨げる存在でした。しかし今はどうでしょう。パリから,というよりアルザス地方やドイツからミラノ方面に出かけるためにはスイスの特に(2016年に開通した)ゴッタルト基底トンネルは欠かせない存在になっているようです。また,私は旅客列車しか見たことはありませんが,貨物列車にとってもゴッタルト基底トンネルやシンプロントンネルなどを含むスイスの鉄道路線の存在は極めて重要で,スイスがヨーロッパ南北を結ぶ旅客/貨物輸送のための要(かなめ)としての立ち位置にいることの証明だと思います。

(*1)ゲシェネン(Göschenen)-Aorolo(アイロロ)間。2016年に営業を始めたゴッタルト基底トンネルではない旧鉄道トンネル
(*2)ブリーク(Brig)-Domodossola(イタリア・ドモドッソーラ)間
(*3)まるでハンニバルみたいですね
(*4)警備上の理由や税関検査はシェンゲン圏の国境通過でもあり得ます
(*5)(ご注意)TGV時代より前の鉄道路線を調べるのは大変なのでここでは現在の路線を参考にしています
(*6)Zürich HB(チューリヒ中央駅)乗換。SBB.chによる。2022年5月3日確認
(*7)フランスModane,イタリアTorino経由でパリからミラノまで所要時間は7時間強。SBB.chによる。2022年5月3日確認

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