モーツァルト対サリエリ(下)〈二人は何語で話したのか?〉
モーツァルト対サリエリ(下)
〈二人はどんな言語を使ったか?〉
20240224 A.J.
スイス人の私の知人(実在の人物ですがここではQ博士とします)は歴史学の博士号を持っていますが音楽史の専門家ではありません。で彼は私へのメールで
「自分はバロックオペラの愛好家ではあるがモーツァルト当時の音楽史の専門家ではないので参考文献や証拠・根拠(エビデンス)は持ち合わせていない。あくまで自分の知識からくる想像である」
と断った上で以下に記すいくつかの可能性をメールで書いてくれました。
二人の会話の言語で可能性があるもの
1。ドイツ語
モーツァルトの母語は(オーストリア)ドイツ語である。サリエリはオーストリアで生活しウィーン文化で重要な位置にいた。少なくともある程度のオーストリアドイツ語を使っていたはずである。ただし、サリエリが不快に思わないように、モーツァルトはサリエリに対してドイツ語で話をするのは避けていたと思う。
2。イタリア語
サリエリの母語はイタリア語だった。当時、イタリア語は、ヨーロッパの文化・音楽・『オペラ』と呼ばれるイタリア発の新しいミュージカルの言語として流行りに流行っていた。モーツァルトはオペラの創作に非常に熱心であり、確かに流暢にイタリア語を話せたはずである。当時イタリア語はとてもファッショナブルでシック(おしゃれ)であったのだ。私(Q博士)はモーツァルトはサリエリとはイタリア語で話をしたと考える。なぜなら第一にサリエリを先輩として敬意を示すため、第二に最新の文化と音楽のトレンドを示すために、である。
3。フランス語
18世紀の終わりには、ヨーロッパ(大陸側のほとんどの国の間)ではフランス語は国際的な外交・政治・政府・経済に関する言語であった。ウィーンですら本来はオーストリアドイツ語が母語であるはずの宮廷の人たちでも、彼らの国際的観点を示すためにフランス語で話をしたであろう。
しかしながらサリエリもモーツァルトも音楽家であったから互いにフランス語を使ったことはないだろう。ただ、宮廷に招待された時には互いにフランス語で会話したとは思われる。
4。ラテン語
モーツァルトやサリエリの時代は、ヨーロッパで子供の頃高等教育を受けた人々はラテン語教育を受けた。ラテン語は伝統的な、科学や文化に関して広く使われる国際言語であった。理論上はモーツァルトとサリエリはラテン語をつかって話をすることが出来たではあろう。しかしラテン語は(当時ですら)既に古い言語になっていたし革新的で流行を追う芸術家が使う言語ではなさそうだ。
Q博士の結論は私の質問に対する的確な答えかどうかはわからないそうですが、
「モーツァルトもサリエリも4つの言語を使えたと考えた上で『イタリア語を使って会話していた』のではないか」
というのが見解だそうです。
誰か学術的にでもなんでもいいですからより確証の高いこの手の研究を知りませんか?
追加
繰り返しになりますが今回の話は私(この文章の筆者)のオリジナルではなくてスイス人の私の知人の見解をご紹介しました。またその私の知人はこの話の専門研究家ではないことも再度お伝えしておきます。
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