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出版業界ヨモヤマ話

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出版業界のあることないことを自身の経験を交えながら書きとめておくデッドスペース
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#エッセイ

遊びと仕事の境界線

よく「編集者の仕事はどこまでが遊びで、どこからが仕事かわかりづらい」といわれる。たとえば、本屋をぶらついて平積みされている本をチェックしたり、売れている本を購入して読んだり、ネット上をブラブラしておもしろそうなブログを発見するのも、仕事の一環といえば一環だ。だが、休日にこれらのことをやっていれば遊びになるし、出勤日にやっていれば仕事になる。ここら辺の境界線上はあいまいだ。

そして、これはなにも編

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編集者は雑用係である

私は現在、版元(いわゆる出版社)の編集者をしているが、前の会社は編集プロダクションだった。編集プロダクションは版元の下請けみたいな感じと考えていただければまあ間違いではない。

そこの社長は怒りくるってベランダからイスを投げ落としたり、同じ役員とケンカしてガチで警察を事務所に呼んだり、仕事中に酒を飲んだり、インターネットから写真を盗用することを部下に指示したり、午後になると堂々と昼寝を始めたりする

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企画公募はおじいちゃんの慰め【出版業界四方山話】

多くの出版社では一般の人々から書籍企画を募集していて、募集している以上、それが十分におもしろければ書籍化されることがある。実際、私の先輩がとある公募企画を実現させ、その本がそこそこ売れたケースを私は見ている。

そんで今日、私の元に大きな封筒が届いた。一般人からの企画だ。しかし、もう封筒を見た段階から「これはないな・・・・・・」と思ってしまった。なぜなら、宛名を書いた筆跡が大変たどたどしく、書くと

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「絶版」と「品切れ重版未定」の違い【出版業界四方山話】

本は、売れれば増刷される。しかし、売れない本はどうなるのか。

売れない本は書店から返品される。そして、返品された本はよほどのこと(著者がいきなり人気者になるとか、本のテーマがブームになるとか)がない限り、再び書店に並ぶことはない。しかし、本には賞味期限がないし、「よほどのこと」が絶対におきないとも限らないので、返品されたからといってすぐに断裁処分されるわけではない。

※そもそも、在庫商品は会社

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