徒花

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都内で働く書籍編集者。 読んだ本の備忘録的な解説的な何かを書いています。 基本的にブログと同じ内容の共有です。 ブログ http://ada-bana.hatenablog.com/ 読メ https://bookmeter.com/users/577113

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    読んだ本の感想など。 基本的にブログに書いたことを転載しているだけなので、気に入ったらブログもみてください。

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最近の売れ筋マンガまとめました

社会人になってからめっきりマンガを読む気が減ってしまいまして、最近はもっぱらLINEマンガで無料掲載しているものばかり読んでいる私です。 とはいえ、出版業界全体で見ると、やっぱり売上ランキング上位を占めるのは8割くらいはマンガで、マンガというコンテンツの強みをまざまざと見せつけられます。 出版業界に身を置くものとして、いくらマンガをつくっているわけではないとはいえ、最近の売れているマンガをまったく把握していないのはよくないのではないか。 Amazonや取次のランキングは

    • 【読書】コロナ騒動で外に出られず死ぬほどヒマな人のためのオススメ本53選

      年に1~2回くらい会う、意識高い系の友人がいるのですが、普段はビジネス書しか読まないくせに、急に「オススメの小説とかないかな」と連絡があったので、怒涛のごとくLINEを返して本をオススメしまくりました。 私みたいにもともとインドア派で、休日はアニメ見て日曜美術館見て映画見て、マンガ読んで本読んでゲームしているような人間ならいいんですが、アウトドア系の趣味を持っている人はどうしてもヒマを持て余しているみたいですね。 なので、この機会だからぜひ読んでみていただきたい本をピック

      • 『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(佐々木康裕・著)のレビュー

        コロナウイルスが世界中で猛威を奮っている影響で外出する人が減り、経済が停滞している昨今ですが、尋常ではない影響を受けているのはリテール(小売)です。 もちろん、悪影響は時間差でほかの業種にも及ぶことが予想されますが、いかんせん、小売というのは店舗にお客さんがたくさん来てくれないと成り立たないメカニズムですから、仕方がない側面もあります。 そして、このコロナの一件は「リテール・アポカリプス(小売の終焉)」を早めることに繋がるかもしれません。 もともとAmazonや楽天とい

        • 『ニルヤの島』(柴田勝家・著)のレビュー

          私は基本的に「小説家はあまり顔を公に出さないほうがいい」と考えています。 いえ厳密に言うと、 「小説家には顔を出さないほうがいい人と、顔を出してもいい人がいる」 といったほうが正しいかもしれません。 たとえば筒井康隆とか京極夏彦とか村上春樹とかは顔を出しても良いタイプだと思います。別にイケメンだからというわけではなくて、「顔と作品がなんとなくマッチしている」からです。 うさんくさい作品を書いている人にはうさんくさい見た目であってほしいし、爽やかな作品を書いている人には爽

        最近の売れ筋マンガまとめました

        • 【読書】コロナ騒動で外に出られず死ぬほどヒマな人のためのオススメ本53選

        • 『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(佐々木康裕・著)のレビュー

        • 『ニルヤの島』(柴田勝家・著)のレビュー

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          『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』(山下泰平・著)のレビュー

          最近はブログから書籍化するケースが増えてきましたね。 ブログの記事が元になった書籍をまたブログで紹介するというのは、ちょっと変な感じがします。 だったら元ブログを紹介したほうが話が早いんじゃないかな、とか。 今回紹介する本も、元はと言えばバズったブログ記事が発端となったものです。 元記事はこちらです。 cocolog-nifty.hatenablog.com 本書で紹介されているのは、著者が「明治の娯楽物語」と称した、文学よりも低俗で、とにかくエンターテイメント性

          『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』(山下泰平・著)のレビュー

          『PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』(ローレンス・レビー著)のレビュー

          ピクサーはいまではディズニーが買収しています。 しかし、もとはといえば、いまでは伝説的経営者として歴史上の人物になってしまったスティーブ・ジョブズが買収して名付け、独立させた会社であるということを知らない人が意外といるみたいです。 当時のジョブズはアップルから追い出されたところで、NeXTという会社を立ち上げていました。それと同時並行でやっていたのがピクサーの経営だったわけです。 とはいえもちろん、ジョブズはCGアニメーションに関しては完全な素人。それでいてこだわりは強

          『PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』(ローレンス・レビー著)のレビュー

          薄暗くて物悲しくてモヤモヤする10の物語 ~『10の奇妙な話』のレビュー

          仕事が忙しすぎてぜんぜんブログを書く余裕(メンタル的にもフィジカル的にも)がなかったけど、私は元気です。 文芸書の装丁デザインは実用書よりかなり重要さて言わずもがなだが、本の装丁はめちゃくちゃ大事だ。 基本的に、まず本を手にとってもらうためには装丁で目を引かないと話にならない。 ビジネス実用書の場合、その意味では、少し楽な部分もあるかもしれない。 というのも、タイトルで思いっきり「読者のメリット」を打ち出せるからだ。 どういうことかというと、 「この本を読めばお金持ちに

          薄暗くて物悲しくてモヤモヤする10の物語 ~『10の奇妙な話』のレビュー

          本の帯文を書く専門家がいたんだって。

          AIとかロボットがこれからどんどん人間の仕事を奪っていくとかいわれている今日この頃、みなさんいかがお過ごしだろうか。 ビジネス書なんかだと人々の危機感を駆り立てるが、実際問題、現実味のある切迫感を持って「はやくAIに奪われない働き方に変わらなくっちゃ!」と思っている人なんて皆無だと思う。 仕事が消えていくのは間違いないとはいえ、じゃあなにもせずに安閑と今までどおりの仕事をしていりゃいいのかというと全然そんなことはなくて、将来的に「消える職業」が少なからず存在するのは間違い

          本の帯文を書く専門家がいたんだって。

          平安時代のDQNはタチが悪い~『殴り合う貴族たち』のレビュー~

          平安貴族……というと、『源氏物語』や百人一首など、色恋沙汰にうつつをぬかしながらのほほんと和歌でも詠んでいた人たちというイメージが強いと思うが、当然ながら彼等だって人間なので、怒りに身を任せて罵詈雑言を吐いたり暴力をふるったり殺人を犯したりする。 『源氏物語』という幻想  そもそもの話だが、『源氏物語』は紫式部の描いたフィクションであり、つまり、この作品は紫式部の「こんな世界だったら素敵よね」という理想(妄想)に満ち溢れている。なので、たとえばいまから1000年後の未来人

          平安時代のDQNはタチが悪い~『殴り合う貴族たち』のレビュー~

          50年前の「1秒」は現在の「1秒」とは違うし、未来はもっと違うかもしれないって話

          人はいつから「正確な時間を知りたい」と考えるようになったのか。 この本によれば、そもそも誰が「時間」という概念を最初に考えたのかはわからないが、少なくともメソポタミアやエジプト文明において、すでに太陽の光を利用する日時計が残されているので、紀元前4000~3000年ころには人間は「時間」を測っていたようだ。 本書ではその発端から現在に至るまでの「時を正確に刻むための技術」の進歩とその詳細について述べられている。 途中の内容はかなり時計の構造や部品・特徴についてマニアック

          50年前の「1秒」は現在の「1秒」とは違うし、未来はもっと違うかもしれないって話

          午後に眠くなるのは血糖値のせいじゃないか説

          私は午後、猛烈に眠くなることが多い。もちろん、ランチを食べ過ぎてるのが原因だろうことはうすぼんやり思っていたが、具体的に、自分の体のなかでどのようなメカニズムでこの眠気が発生しているのか気になっていた。 午後の眠気の正体とはその答えのひとつを示唆してくれたのは、ベストセラーになり、「睡眠負債」も流行語大賞にノミネートされたこの本の一部。このような午後の眠気は、「アフタヌーンディップ」と呼ばれる。 「アフタヌーンディップの原因は、睡眠負債とサーカディアンリズムの影響が大きい

          午後に眠くなるのは血糖値のせいじゃないか説

          現代人なら覚えておきたい死後のライフハック

          「教養」という言葉は人によって定義が異なるが、教養を備える目的のひとつに「将来に備える」というものがある。 たとえば歴史を学ぶことは目の前のビジネスの効率化にはつながらないかもしれないが、大きな社会変動とそれに伴うニーズの変容を人よりも早くつかむヒントになる(かもしれない)。もちろん、それ以外にもリスクを的確に把握し、世界がどのように変わっても生き抜いていく力も、教養であるといえるだろう。 その意味で、私たちが考えておくべきことは、もちろん自然災害や核戦争、原子力事故など

          現代人なら覚えておきたい死後のライフハック

          大きいオッパイはいつから「巨乳」と呼ばれるようになったのか? ~『巨乳の誕生』のレビュー~

          テレビのニュースを見ていたら「年明けうどん」というものが紹介されていた。簡単に言えば、「年越しそば」と対になる言葉で、さぬきうどん振興協議会がうどんを買わせるために新たに根付かせようとしている行事である。 ※今回のエントリーは一部、卑猥な画像が挿入されているので、いろいろ気をつけてください これを見て思ったのは、新しい言葉が生まれるとき、そのルートは大きく3つに分けられるのではないか、ということだ。 新しい言葉が生まれる3つの理由 (1) 必要に迫られて (2) 必要

          大きいオッパイはいつから「巨乳」と呼ばれるようになったのか? ~『巨乳の誕生』のレビュー~

          「やりたいことが特にない」っていうスゴい才能について

          自己啓発書でよくあるメッセージは 「自分が心のそこからやりたいと思うことを見つけて、それに全力を注げば成功できる」 というものだ。このことはきっと正しいと思うし、私もそれにしたがって生きている側面が大きい。そして、今回紹介するこの本でも、「自分が好きなことを見つけてそれに注力する」ことの重要性は説かれていた。 「好き」と「得意(評価)」は、密接にかかわっていると思っています。 「下手の横好き」とのことわざもありますが、このことわざ通りに続けられるのは、かなり特殊な人では

          「やりたいことが特にない」っていうスゴい才能について

          企画には「そうきたか!」が必要

          私は書籍の編集者なので、原稿に「赤入れ」をする。 「赤入れ」というのは、文章の間違いやよくない表現などを修正するために、赤ペンで書き込むことだ。いまはすべてパソコンのデータで作業しているので、最終的には、それをスキャンしてDTPデザイナーに送信し、無効のパソコンで修正してもらう。 で、最近、「赤入れってどうやって書けばいいんですか?」と尋ねられて、ふと思ったことがある。   校正記号はなんのためにあるのか たしかに、赤入れには独特な記号がいろいろある。しかし、別にそ

          企画には「そうきたか!」が必要

          年末年始はコレを読んどけアワード2017 ~小説・人文・ビジネス実用~

          今年もいろいろ読んで、2017年の読書冊数は215冊(12月21日時点)。 私が今年読んだ本のからとくに良かった本を10冊に絞り込んでおススメする。ジャンルは文芸・ビジネス・人文などいろいろ。ひとつくらい、気になるものが見つかるとうれしい。 1.『猿の部長』 マーケティングが学べる小説なのだが、意外にもしっかりしたSF仕様で、巷にあふれている「とりあえずストーリーつけました的なビジネス書」とはわけが違う。もちろん名作映画『猿の惑星』をオマージュしたストーリーで、コミカル

          年末年始はコレを読んどけアワード2017 ~小説・人文・ビジネス実用~