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韓国ドラマを見るための医学知識(1)~東洋医学、中医学、韓医学~

韓国ドラマでは、頻繁に鍼灸治療、漢方処方が出てきます。
ドラマではキャプションが入っていて、伝統医学の知識がなくても内容の理解にはあまり影響を与えません。

でも、「どうしてあれで治るんだろう」とか、「鍼刺して、本当に病気が治るのか?」と不思議に思ったことはありませんか?

伝統医学のさわりがわかれば、ちょっとした知識があればもう少し面白く、納得してドラマを楽しめると思います。

本稿では、ドラマの内容を説明する前に、見ているドラマがどこに位置しているのか、何を意味しているのかを説明します。
現在、中医学、東洋医学、伝統医学などさまざまな言葉があり、しかしそれらは厳密には意味が異なるためです。

東洋医学、中医学、韓医学は同じもの?

伝統医学の話をするときに、「東洋医学」「中医学」などいろいろな言い方がされていると思いませんか? さらに韓国ドラマでは「韓医学」という言葉も使われていると思います。

東洋医学と中医学、韓医学とは同じものだというイメージを持っていると思いますが、半分当たっていて半分違います。

まず、これら3つは
日本で発展した伝統医学=東洋医学
中国で発展した伝統医学=中医学
韓国で発展した伝統医学=韓医学
となります。

ここまでみた鋭い人は気づくと思います。そうです。これら3つはすべて「伝統医学」の一つになります。

少し話がそれますが、鋭い人は気づくと思います。インドのアーユルヴェーダは何医学でしょうか。そうです。インド周辺で発展した伝統医学がアーユルヴェーダになります。
アジアにはさらにたくさんの伝統医学があります。チベット医学、モンゴル医学などがそれにあたります。これらは長い年月を経て民間医療として発展して今に伝えられています。

伝統医学位置づけ

原典、よりどころは同じ。そして今も利用されている

さて本題に戻ります。

東洋医学、中医学、韓医学は薬での治療、鍼や灸での治療を医療として提供している医学です。
これら3つの医学は、発展する元となった原典(書籍)が同じものになります。「黄帝内経(こうていだいけい)」とよばれるものなどがそれにあたります。

「黄帝内経」がどのようなものかご興味ある方は、「京都大学貴重図書デジタルアーカイブ」をご覧ください。
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00002407

東洋医学、中医学、韓医学を提供する医療者たちは、学生時代そして現場に出てからも、「黄帝内経」やその他の古い書籍を活用しています。
皆さんが悩まれている症状や病気は現代医学(西洋医学)の病名がついているものも多いですが、伝統医学を活用した治療方法では、現代医学と伝統医学を総合的にあるいは伝統医学的見地から治療を行っています。古い書籍や医学書であっても、病気や症状自体は昔からあったもので、「あ、この症状は古典のこのことだよね」ということも散見されるためです。

そして東洋医学、中医学、韓医学は「未病治」にも注力している医学です。「予防医学」です。古典医学書にも未病治について記述があり、かなり昔から予防について関心があったことが分かります。

伝統医学に関心を少しでも持っていただくために

次回のコラム以降で紹介する韓国ドラマとくに歴史ドラマでの伝統医学の描写ですが、現在の伝統医学とは異なる部分も多くあります。すべてを鵜吞みにすることはできませんが、それでも、伝統医学を担うものとして伝統医学の関心や医療技術、治療の考え方など現在に通じる部分もあります。

ちなみに現在、日本で伝統医療を担っているのは医師、薬剤師、はり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師になります。すべて国家資格の有資格者です。

現在、中華圏、韓国、日本では伝統医学が積極的に治療に用いられています。ドラマで取り上げる韓国では、伝統医学は有効な治療手段として現在での重んじられています。それもあってドラマで伝統医学が積極的に取り上げられているのかもしれません。

ちなみに日本ですが、伝統医学に対する様々なイメージがありますが、近年、多くの大学病院や一般病院で伝統医療が提供されています。
伝統医学の有効性を用いた治療がさらに広がってきています。

参考:
京都大学貴重図書で時あるアーカイブ、https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/

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