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アレクサンドルの絶妙手

ウラジーミル・ナボコフ『ディフェンス』の読書感想文的な何かです。ネタバレあり。  ローマ法に由来する、かくも高名な諺がある。「母親はこの上なく確かだが、父親はいつも不確かだ(Mater certissima, pater semper incertus)」。我々をはたと唸らせるこの諺から、さっさと離れてしまうことには少々気後れするのだが……。単刀直入に一つ問を立てる。この「確かさ(certus)」とは一体何であろうか。ラテン語の形容詞「certus」は、古典ギリシア語の動詞

    • L=S『悲しき熱帯』第6,7,9部概略とコメント

       授業用に作成した、懐かしい自作の資料(2023.11.10)を見つけたので、ここに公開します。 文献概略  第六部、第七部で語られたボロロ族、ナンビクワラ族の文化は、対照的なものとして読まれるべきものである。いわば、高度で精緻な社会構造とそれに対応した形象表現の体系を作り上げたボロロ族と、素朴にありのままの暮らしを維持し続けているナンビクワラ族、というふうに。素描を以下にまとめる。  「自らの伝統に忠実な」ボロロ族のケジャラの村では、河畔の林間地に、十の氏族から成る約百

      • 創造的映画――ベルクソンとワイズマン

         大学の夏期講習で行われた、鬼のベルクソン講義(四日で四主著をすべて読む!)のレポートです。  結局、時間とは何なのだろうか。  眩瞑のするこの問いを前に、わたしは何も答えを据えることができない。 *  フレデリック・ワイズマンという映画監督がいる。日本でも多く上映会が行われていた彼の手法とは、ドキュメンタリー、もっといえば「リアリティ・フィクション」である。カメラマン、録音係(ワイズマン)、アシスタントの三人体制で、時には三か月も殆ど泊まり込みで収録することもあるそ

        • 雑録(2023.1.4~2023.1.10)

          雑録です。読んだものや観たものなど。(ほぼ)毎日更新します。

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        アレクサンドルの絶妙手

          雑録―冬休暇(2022.12.21~2023.1.3)

          こんにちは、actusです。年末年始は記録する気力が無かったため、本当に雑に、思い出せる限りで読んだものや観たものをまとめます。 ・國分功一郎『スピノザ―読む人の肖像』(2022) 100pほど ・フーコー『言説の領界』(1970) 河出の愼改康之の解説と合わせて 読了 ・フーコー『言葉と物』(1966) 第1,2,3,9章 ・ポケットモンスターホワイト(2010) 3つ目のバッジまで 何だかんだバオップめっちゃ使ってる ・安房鴨川旅行 2年ぶりに泳いだりもした

          雑録―冬休暇(2022.12.21~2023.1.3)

          雑録(2022.12.17~12.20)

          雑録です。読んだものや観たものなど。ほぼ毎日更新します。 12.17 (土) ・ 洋服をめぐって池袋のPARCOと原宿のラフォーレへ。収穫✕ インスピレーション○ ・ 恒例の某ショップにてカードを購入。 ・ 人生初びっくりドンキー! ・ メダルゲーム3時間。中毒。 ・畠山温『量子力学』(2017) の 演習 [2.1] 12.18 (日) ・秋葉の海老辛油そばを食べた。 ・ゲーセン記録。アイカツプラネット第3弾(2022)2プレイ、SEGAバーチャレーシング

          雑録(2022.12.17~12.20)

          雑録(2022.12.10~12.16)

          雑録です。読んだものや観たものなど。(ほぼ)毎日更新します。 12.10 (土) ・PEACH-PIT『しゅごキャラ!』アニメ(2007~08) 第1話 * 主人公あむの声優(伊藤かな恵)良すぎ。 1話目から自分の中でCCさくらを超えそうな予感がある。クオリティが高い。 * PEACH-PIT(1996.8.15~)が、千道万里とえはら渋子のユニットだと知る。 * 伊藤かな恵が、とあるの涙子、ToLOVEるのナナ、アイカツ!の栗栖ここね、またゴッドイーターのプレイヤ

          雑録(2022.12.10~12.16)

          ドストエフスキー『地下室の手記』授業レポート

          短いですが、600字程度で自分の意見を書いてみなさい、という課題に対して僕が書いた文章です。 バフチンは、『ドストエフスキーの創作の問題』(平凡社ライブラリー) の中で、『地下室の手記』をこのように評している。 「この小説には、自分自身と自分の対象だけを充足させるような言葉、つまりモノローグ的な言葉はひとつもない。〔…〕かれは、あたかも自分が他者の意見を恐れていると他社が思いはしないかと恐れている。〔…〕主人公の自意識と言葉が陥る出口なき悪循環が、ここから生じてくる

          ドストエフスキー『地下室の手記』授業レポート

          ベルクソン『物質と記憶』p.77~95

          こんにちは、actusです。今回の記事では、僕が積読読書会ver.2で担当したベルクソン『物質と記憶』(講談社学術文庫)のp.77~95 の範囲のレジュメを公開します。どうぞ。

          ベルクソン『物質と記憶』p.77~95

          【個人的】今からでも遅くない PS4ソフト のすゝめ

          こんにちは、GUT1回生の actus です。 前回担当しました、 「(クトゥルフ)TRPGを飛び込みで2回だけやった大学1年男の所感」 に引き続きまして、今回は PS5 の登場や、Switch のソフトが充実してきたことにより若干忘れられつつある名ハード、PS4 のゲームに焦点を当てた記事を書いていこうと思います。 特に、今回は私がこれまで実際にやってきたソフトを3本 に絞って紹介していきたいと思います。 ラインナップはこちら。 ・NieR Automata

          【個人的】今からでも遅くない PS4ソフト のすゝめ

          (クトゥルフ)TRPGを飛び込みで2回だけやった大学1年男の所感

          こんにちは、GUT1回生の、四季映姫・ヤマザナドゥ推しの actus です。今回が人生初ブログということで、お手柔らかに。 私は「クトゥルフ」とか、「TRPG」という単語を聞いたことはあるものの、結局何なのかは知らない(よくいる)人の内の1人でしたが、11月に2回ほど実際にTRPGをやる機会に恵まれたので、その感想と、私のような初心者に向けて、最低限何を知っていれば良いか、をまとめたいと思います。 【感想】 先に感想を言った方が良いと判断しました。 なぜ

          (クトゥルフ)TRPGを飛び込みで2回だけやった大学1年男の所感