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ダッサイ男のアッツイ邦画3選

どーも役者やっとります。石橋です。
自粛生活もあと少しという所まできたような感じがします。

ただ、自粛が明けた後も、まだしばらくは通常運転とはいかない人も多いと思いますが。
かといって、そんな先のことを考えてばっかだとウジウジしてしまうだけなので、今回は闘争心が沸き立つような作品をご紹介します。


今回紹介する作品の登場人物達は、失敗ばかりでとにかくダッサイ!

それでも、自分より大きな「何か」に食らいついていく様が見るものに勇気を与えてくれる!はず。


あゝ、荒野

寺山修司の同名小説を現代風にアレンジした作品です。
前後編合わせて約5時間の超大作。

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「ボクシング」しか生きがいのない若者達を軸に、現代日本の問題を象徴する人々が登場し、それぞれがぶつかる、というお話。

正直、色々な問題が同時に長時間描かれていて、それが気が散るという人もいると思うので、好き嫌いは別れると思います。
ただ、作品が長時間な分、本来ならカットされるであろう役者陣の「遊びの芝居」もそのまま使われていて、それによって作品全体のリアリティが上がっています。本当にドキュメンタリーを見ているような感覚でした。

この作品の見所は主役の菅田将暉さん、ヤン・イクチュンさん二人の爆発力。
2人ともマグマみたいなエネルギーを常に抱えながら、それでもボクシングによって前向きに生きていますが、ふとそれが爆発した瞬間の芝居はもうすんごいです。0から100とか200まで一気に爆発するあのエネルギー量は凄まじい...
この2人が、ただ足掻いて足掻いて足掻いて、自分を貫き通そうとする姿にわけもわからず鳥肌がたちます。

あと、菅田将暉さんvs山田裕貴さんのボクシング対決は必見です。ここ、芝居とか抜きにして本気で互いに憎みあってますw
相手を見る目、相手に投げる言葉、あれはもう芝居じゃないです。狂気。
インタビューで仰ってたのは、この試合は(互いの信頼を前提に)本当に拳を当てているとのこと。そこも含めて一切の嘘がない名シーンに仕上がってます。

べしゃり暮らし

こちらはドラマです。
ジャンプで連載されてた同名漫画が原作の作品。

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『学園の爆笑王』と呼ばれていた主人公がある出会いからプロの漫才師としてトップを目指す物語。

主演は間宮祥太朗さんです。
個人的にクールイケメンキャラなイメージが強かった間宮さんですが、この作品では3枚目な熱血バカがめちゃくちゃハマってて、驚きでした。

漫才師には「相方」がいるんですよ必ず。 この相方ってのはいわば運命共同体なので、喜ぶ時も傷つく時も一緒なんですが、その分ぶつかることもあるわけです。
そのぶつかりが各コンビに存在するので、三者三様のぶつかり方をしてて、そこで各キャラクターの人間模様が毎回晒されて、しかも全員熱いからめちゃくちゃ層の厚い群像劇になってます。

主人公達は上に進む度に化け物みたいな人が出てくるんですが、その化け物にも彼らなりの悩みがあり...。
悪いやつがいないのでスッキリと泣けますw

1番好きなのは「デジタル金魚」というコンビの2人。
ある大事件が起きるんですが、そのあとの互いの相方に対する想いが描かれるシーンは...ハンカチ必須です。
あと、最終回の本当のラストシーン。ここは恐らく役ではなく役者さんの人柄が如実に出ているのでここもとても素敵なシーンです。

ちなみにこのドラマ、演出を劇団ひとりさんが担当しており、作中の漫才もフツーにクオリティ高いものに仕上がってます。

宮本から君へ

はい、きました。ダッサイ男のアッツイ作品っていったらこれを外す訳にはいきません。

映画化もされた人気作品。今回はドラマ版のご紹介です。

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まず、演じてるのは僕の大好きな池松壮亮さん。彼はこの作品に対して並々ならぬ思いで臨んでいて、主人公の輪郭に合わせるために歯を抜こうとしたんだとか(結局周りに止められたそうですが)。
その熱量がそのまま芝居にも全面的に出てるめちゃくちゃ熱い作品です。

小さな文房具メーカーのしがない営業マン、宮本。恋愛も仕事も上手くいかない中、立ちはだかる様々な壁に立ち向かっていく。

...我ながら、なんてありきたりな説明でしょうw実際、作中にド派手な事件みたいなのは起きず、あるのは僕らにも起きそうな小さなトラブルばかりです。
しかし、そんな中ですら上手く立ち回れず、何も報われない宮本。
逆に言えば、変に誇張してないそんな宮本の姿にめちゃくちゃ感情移入してしまいます。
池松さん演じる宮本の圧倒的熱量と、それをもってしても報われない理不尽さが、とても生々しくて、社会人経験のある方なら他人事とは思いないシーンが何個もあるはず。
名シーンあげたらキリがないんですけど、強いて1つあげるならやっぱり最終回のラストシーン。

宮本がある人物の胸ぐらを掴みブチ切れます。
ただ、そこで言ってる言葉は相手に向けてるようで、自分への愚痴でもあり世間への不満でもあり。あらゆる不満のはけ口に相手を使うという最低な行為をやってる自分が嫌いになりながらも、言わずにはいられない。
作中、普遍的に描かれる「宮本の怒り」の総決算のようなシーンはもはやかっこいいです。

まとめ

やっぱり基本的に僕はジャンプに育てて貰ったので、「切ない」よりも「熱い」の方が涙腺に来るようです。

今回紹介した作品達は、めちゃくちゃ失敗しまくって終わる人達ばっかりです。そこからなおも戦いに行く様がやっぱりね、最高にカッコ悪くてカッコいいんですよ。

この手の作品はもうほんと、役者さん達の芝居を超えた「人としての熱量」のぶつけ合いが見れるのでその熱に見てるこっちも当てられてしまいます。

僕自身、その熱のおこぼれをもらいながら、あともう少しの自粛生活を生き延びようと思います。ではまた。

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