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キリマンジャロ遠征④高所登山と向き合い、乗り越えていくこととは

出発早々に自分でやらかしたアクシデントから始まったワケですが、兎にも角にもこういった「遠征」にはトラブルはつきものです。思い起こすと、過去何もなくスムーズに無事に終えた「遠征」という名の旅はありません。

だからこそ、その経験全てが自分の血となり肉となり、完全なるひとりの個として成長していけるのではないでしょうか。

確かに、コンタクトを無くすという失敗は、自分の注意力散漫から起こしたことですし、やってはダメな分類の高いところに入ると思います。しかし、それと向き合い乗り越えていく過程を経験するこそが旅の醍醐味だと思うのです。

今回のキリマンジャロが私にとって4回目の高所登山になりました。もちろん私は真の冒険家ではないので、全て先輩ガイドが企画した遠征登山ツアーに参加したものです。その中で常につきまとっている高山病と、どう向き合い、どう闘ってきたのかをお話ししようと思います。

高山病ってなによ?

小難しいことはわからないのですが、簡単に説明すると「高所では気圧が下がるため空気が薄くなり、空気に含まれている酸素の量が減少する。そのため、体がその変化に順応できずに様々な症状が現れる」と言うことです。

どんな症状が起こるのかというと、頭痛、吐き気、食欲不振、めまい、息苦しさ、睡眠障害などなど。それがひどくなると肺水腫や脳浮腫を引き起こしてしまい、命の危険性があります。そう、結構怖いのです。治療法としては、一番は酸素がしっかり取れて楽になれる低地まで下がること。

しかし、一旦スタートしてしまうと、そうそう引き返すことはできません。というより、「引き返す=中止」という決断を迫られ、隊に迷惑をかけてしまいます。もちろん様々なパターンが出てくるので、その場その場での最善の決断をし、できうる限り中止せず、「全員で登頂を成功させる」ことが最重要ポイントになります。

兎にも角にも鍵を握るのは「高山病とうまく付き合いながら登る」ことです。

数値化と自分の感覚

登山が始まりある程度の高度まで達するとSpo2と心拍数のチェックを始めます。

Spo2とは経皮的動脈血酸素飽和度のこと。小難しいけど、要するに「体の中にどれだけ酸素を取り入れられているか」ということです。低地(普通に暮らしているところ)での平常範囲は96~99%です。

標高が上がれば上がるほど空気中の酸素量は減りますので、大体富士山頂で平地の2/3、標高5,000m位で半分、エベレスト山頂となると1/3ほどになります。しかも呼吸で体内に取り入れられる量はもっと減り、富士山で半分、5,000mで1/3、エベレストでは1/4とか!

ちなみに私たちの暮らしの中だと、90%を切ると酸素吸入を考え、80%を下回ると命が危ないと考えるそうです。

初日のキャンプ地は標高3000m、Spo2は91~92%、心拍数100でした。「えっ!もう90%に近くて大丈夫?」と思うかも知れませんが、まだ心配はいりません(個人差はあります)。私の場合、90%を上回っていればそんなに体調を崩さずに済むようですし、とある研究所の発表の数値だと標高2700m付近でのSpo2平均数値と、ほぼ同等です。

しかし、ここからが自分の感覚が必要な場面になります。

椅子に座ってゆっくりしているのにも関わらず、心臓が常にバクバクして常に体が火照っているのです。そう、心拍数100という数値がそれを語っていますよね。理由はわかりませんが、心拍数が上がった状態が続きながら、より標高を上げていくと、私の場合は症状が現れる気がします。

なので今回のリーダーと相談し、その晩から予防薬ダイアモックスを飲み始めることにしました。

高山病とうまく付き合うには

多かれ少なかれ誰にも高山病の症状は出てくると言っても過言ではありません。多少の頭痛や吐き気などを乗り越えつつ、前に進んで行くのです(もちろん危険レベルになっちゃダメですよ!)

私がお伝えしたい「付き合うための3つのこと」

①とにかくゆっくり!

歩くことはもちろん、一つ一つの行動全てをゆっくりすることです。ザックに荷物を詰めるとか、靴紐結ぶとかも、全て深呼吸しながらゆっくりです。落とし物して慌てて拾うとか、後ろから誰かに呼ばれてサッと振り返るとか、そんな動作を常に丁寧に心がけるのです。

②水分飲む飲む!

お水、お茶etc.とにかく常に飲むことが必要です。高所になればなるほど乾燥も進んでくるので、1日4リットルは飲みたいです。特にダイアモックスを始めると、トイレが近くなるので、飲んでも飲んでも足りません。もちろん夜中もゴクゴク飲みます。お酒は絶対的に大NGです。

③身体を整える!

今回私は日本で高所への準備がしっかりできませんでした。その分、走り込んだりスーパー短時間羊蹄山登山を決行したり、それなりに努力はしました。しかし不安は拭えないので、一番得意種目でもある「呼吸しやすい身体を造る」ことに、精をだしました。

それは「胸郭を柔らかく整えておくこと」です。

胸郭と言われても…と、言う声が聞こえてきました。そうですよね、その道に詳しくなければピンとこないのは当然です。

ここでしっかり説明したいのですが、長くなるので続きは次に!



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