夢にまで見たサファリへ！③の２　アフリカの森と草原が、人間になる運命を決めた

二本足で歩いていたとされるルーシー、すごいですよね！だって400万年前にですよ。しかも脳みそは、たったの400gほどです。人間の脳の重さは成人だと1200g~1350gほどだそうです。

とはいえ、重いから頭が良いというわけではありませんが。

前回、豊かな森で暮らす人間の祖先であるプロコンスルの話をしました。この豊かな森というのが、人類の進化に重要な鍵を握っています。

１、進化の過程を生んだ豊かな森

木の上を4本の足で歩いていた彼らは、食べ物に恵まれていたので次第に大型化していきます。すると、隣の木に飛び移っていたことができなくなり、一度地上に降りて歩き、別の木に登るようになりました。

ではイメージしてみましょう。

四つ足で歩き、木のそばまでたどり着きましたとします。登るためには、爪なりを木に引っかけて立ち上がりますよね。そして木の上に上がるために、手と足を使いよじ登るはずです。そう、ボルダリングのように。

「立ち上がりよじ登る」この行為こそが歩くための準備とも言えるのです。

ここからは少し専門的なお話です。私たち人間は歩いているときに、お尻の筋肉の一つである中殿筋を使います。わかりやすいのが、片足立ちをしたときに身体がブレないように、着いている方の足をしっかりさせるために使う筋肉です。たまに歩いているときに腰を振るように歩く人がいますが、中殿筋が弱くなると、このような現象が起こりやすくなります。

木登りをする際にも、この中殿筋を使うので、この筋肉の発達というのが大きな鍵となります。

そしてもう一つの大きな鍵となるものがあります。

それは、ぶら下がるということ。木の上を歩いて移動することから、次第に枝にぶら下がって行動範囲を広げたと考えられています。今でもチンパンジーは、それは器用に枝から枝へとぶら下がりながら移動しますもんね。

このぶら下がることは、背骨を伸ばすことでもあります。昔、「ぶら下がり健康器」というのが一世を風靡したのを覚えている方もいると思います。年齢がバレますが。これはまさに曲がった姿勢を伸ばすためのもの。私に言わせると、今でもとても必要性があると思うのです。

そしていつの時代にも、子供というのはぶら下がるのが大好きですよね。電車のつり革にぶら下がり、お母さんに「ねえ、見て見て！」と自慢する光景が思い浮かびませんか？そう、子供は生まれた時は、まだ進化の過程なのですから。

２、アフリカ大陸を東西に分けた地殻変動こそが、人間の運命を変えた

それはおよそ500万年前に起きました。アフリカの大地では、長きに渡り活発な地殻変動が起きていました。あちこちで火山が爆発し、大地を押し上げ、大きく動いていたのです。それがとうとう大地を南北に貫く巨大な壁となり、アフリカ大陸を東西二つに分断することとなりました。

高い山脈によって風の通り方が変わりました。西から吹く風が山によって遮られ、東側では雨量が減ってしまったそうです。すると、豊かな森が姿を消し、小さな森が点在するだけの草原へと変わっていきました。

これは大きな出来事ですよね。森の中に豊富にあった果物が減るわけですから、何かを変えていかないと生き延びていけません。

最初のうちは、木に登ったり地上を歩いていたようです。しかし乾燥が進んでくると森が消えてしまい、地上で生活するようになりました。また、遠く離れた森へ移動することも必要になり、だんだんと二本の足で歩くようになったと言われています。

もちろんそれには道具を使うようになったことも関係あると言えるはずです。だって、移動だけなら四つ足でもいいわけですし。

おそらく安全だった木の上から、地上の生活になったことで、多くの危険が待ち受けていたことでしょう。なんたってライオン始め肉食動物にとって、絶好の獲物になるわけですから。

３、サバンナという草原ができなければ、人類がまだチンパンジーなのだ！

森が消え草原になったことで、否応なしに環境が大きく変化しました。しかし、そのことがキッカケで、人間は二本足で歩くようになり、道具をつかい、そして狩りのために言葉も話すようになったと考えられています。

今では全ての人類は、アフリカから歩き出し世界中に広がったと言われています。

もし、アフリカが分断されずに豊かな森のままだったら…私たち人類は誕生しなかったかも知れません。しかし、森の生活のなかで、着実に二本の足で歩く準備をしていたとも言えます。

いずれにしても、様々な偶然が重なり人間が二本の足で歩き始めたことで、今の私たちがいることは真実です。

アフリカの大地、どこまでも広がるサバンナを目にしたとき、頭の中でいろんなことがグルグル回っていました。そして今ここに人間として生きていることに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいになりました。