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中年の危機

 「誰かに何かを言われた訳でもなく、大きな出来事があった訳でもないが、何となくこのところ自分の現在や将来について漠然とした不安や焦りを感じる。」「一生懸命仕事をしてきたが、その反面友人との交流はほとんどしてこなかった。これでいいのか。」なんてことはありませんか?
 こういった悩みは、実はごく一般的であり誰もが辿る心理的プロセスでもあります。発達理論などでは、多様な視点から発達課題を提唱されていますが、今日は、40歳~45歳前後の方にフォーカスし、レヴィンソン氏の「中年の危機」について書いてみます。

レヴィンソン氏の発達理論
 ダニエル・レヴィンソン氏は1920年に生まれた心理学者で人生半ばの過渡期という「中年の危機」を指摘したことで有名な方です。
レヴィンソン氏は、発達段階を児童機と青年期、成人前期、中年期、老年期の4つから構成され、生活構造や考え方が安定して築かれる(安定期)と変化する(危機)が交互に訪れるとしました。

その中の1つである中年の危機とは40~45歳位までを指し、この時期には自分のあらゆる面に疑問を抱き、これでいいのかと大きな葛藤を抱えながらも折り合いをつけていく時期とされています。そして、この人生半ばにおける過渡期が最も重要だとも指摘しています。

この時期の特徴は

発達課題は、「若さと老い」「男らしさと女らしさ」「創造と破壊」「愛着と分離」といった両極性と向き合い、自分なりに折り合いをつけ解決していくことが必要です。

若さと老い
 20代や30代と比べて徐々に体力も落ちてきて、徹夜はもちろん肉体的にも低下してきたことを嫌でもひしひしと感じてくる頃です。一方でこれまでの経験もあり、まだまだ出世や独立、キャリアチェンジなど新しいものへの挑戦も可能でもあります。

男らしさと女らしさ
 気合や根性といった強いイメージを指しており、対して女らしさとは優しさや包容力などの暖かいイメージです。自他ともに厳しかった人が年を重ねて丸くなるなんてことは、この男らしさと女らしさを確立した結果かもしれません。

創造性と破壊
 自分の人生を肯定するために創造的でありたいと考える一方、自分の中にある破壊を認めることで対立し葛藤します。仕事を成し遂げるために妻との関係をおろそかにしてしまったなど、誰にでも何かしらの未練などがあるのではないでしょうか。

愛着と分離
 これまで築いてきた外部とのかかわりが愛着であり、そのかかわりを減らして自己の内面と向き合うのが分離です。会社や子育てから離れた後、自分には何が残るのかを考えることになります。

こうしてみると、漠然と一人で抱えていた悩みは誰もが通る道なんだと理解できると、なんだかほんの少し安心する気もします。すぐに結論を急がずゆっくりと振り返ってみたいですね。

では、また。


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