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「不注意高IQマン」を職場に開示した話


 以前、カウンセラーや心理士から発達障害の傾向を指摘され、検査を受けたことをご報告しました。

 その結果、ASD傾向はなし不注意優勢のADHD傾向ありIQは141だという結果が得られました。詳細は、上記記事に書いておりますので、興味のある方はそちらをご覧ください。

 また、この1年前にも自費で心理検査(WAIS-Ⅳ)を受検しており、同様の傾向がみられていました。


 今回は、これら心理検査の結果を直属の上司と所属長に開示した時のことをご報告したいと思います。




1.私の心理的傾向

 IQベースで見ると、FSIQ(全検査:いわゆるIQ)が141と非常に高い水準でした(300人に1人程度)。そのなかでもVCI(言語理解)が顕著に高く、146と1,000人に1人程度の水準でした。一方で、PRI(知覚推理)が相対的に低く118(東大生の平均程度)で、個人内に28もの差がみられました。

 それ以外の検査からは、本人の自覚、周囲の認識両方から不注意優勢型のADHD傾向が見られ、もの忘れが多い気が散りやすいなどの特徴が人よりも多い可能性が示唆されました。所見でも、検査中不意に生じた物音や光の刺激によって集中力が切れた様子が散見されたケアレスミスが多いなどの特徴を指摘されました。

 数値だけなら、ADHDの診断が出るか出ないかくらいの水準でしたけど、診断が出なかった要因として「自己解決力の高さ」と「周囲の理解」がありました。ケアレスミスをやっても速やかに修正するし、刺激を遮断する手段をいくつか持ち合わせている。また、友人や同僚も私の特徴的な行動を個性だと認めてくれているため、日常生活に大きな障害が出ていないと。

 まとめると、クセはあるが能力値が高い。コンディションを整えてやれば抜群のパフォーマンスを発揮するが、邪魔が入ると極端にパフォーマンスを落とすタイプ。ハイリスクハイリターン型の特性だといえます。

 例えるなら、ポケモンのケッキングレジギガス、遊戯王のゴブリン突撃部隊、マリオカートのクッパ、投資でいうFX、あたりでしょうか。



2.現職場でのやらかし

(1)4ヶ月で始末書3本

 不注意傾向が遺憾なく発揮され(?)、異動して以来、始末書を3本書くはめになりました。いずれも原因は不注意ミス…。今の職場で、始末書レベルのミスが発生するのは年平均2本なので、所属の年平均を個人が1/3年で超えるというクソヤバ事態に。年10本ペースです。

 始末書で済むレベルなのは不幸中の幸いでしたけど、職場の皆さんに迷惑をおかけするので申し訳ない気持ちです。


(2)必須タスクが何故か消し飛ぶ

 上記、始末書にも関連する話で、承った必須タスクが「なぜか」記憶から消し飛びます。もらった次の瞬間にはなかったことになっています。でも、言われると覚えているんですよね。例えるなら、書類を引き出しの奥にしまうような感覚です。あるんだけど、見つからない。


(3)気が散って仕事にならない

 生活保護担当は大部屋部署です。ケースワーカーだけでも云十人いる部署ですからね。しかも、窓口部署なのでいろいろな人がうろつきます。そんな職場だと色々な情報(視覚・聴覚)が入ってきて、私はその都度、集中力を切らしていました。当然生産性は落ちて仕事は進まず、残業が増えました。

 例えるなら、エンストしまくる車みたいなもんです。毎度毎度エンジンをかけ直して加速し直さないといけない。そんな車速く進めませんよね。



3.そして情報開示へ

 ということで、心理検査の結果を、心理士の所見と私の解釈をそえて直属の上司と所属長へ開示し、環境の調整を依頼しました。ざっくりこんなことを伝えました。


 (心理検査の結果から)苦手な知的作業があるわけではない。100%のパフォーマンスが出せれば、人一倍能力を発揮できる。

 (心理士の所見から)外界からの刺激に影響を受けやすく、容易に集中力が途切れ、ケアレスミス・物忘れが多くなる。

 (個人的見解)外界からの刺激を遮断でき、ケアレスミスを指摘していただければ、失敗も減り、今まで以上に職場へ貢献できると思う。


 心理検査と心理の所見という客観的な数字と第三者の意見があったため、上司も所属長も腑に落ちたような様子でした。そして、面談をふまえて下記のような配慮をしていただけることになりました。



4.職場での配慮

(1)席替え&パーテーション

 電話対応があるため、聴覚遮断はできませんでした。その代わり、視覚を遮断するためにパーテーションの導入と席替えをしていただけました。私の席は執務室の一番奥、席の周囲はパーテーションで視界を遮断しています。

 これは正直、神改正でした。パーテーション導入後は人の移動や照明が気にならなくなり、集中力と生産性が爆上がりしました。また、パーテーションによって聴覚も一部遮断できたのも大きいですね。小さな雑談程度なら気にならなくなりました。

 大部屋の一番奥に謎のパーテーションが置いてあるという不気味な絵面が仕上がり、他部署の人からは怪訝そうにされますけど、同僚は「集中したいかららしい」と丁寧に説明してくれているそうです。ありがたい。


(2)業務日誌の導入

 業務の抜け漏れを防ぐため、その日の予定と実績を所属長と上司へメールするという業務日誌的なルールを設けてもらいました。普段は私が一方的に送り付けるだけで、何かあったらコメントをしてもらう方式です。

 これも神改正でした。毎日2回(朝と夕方)、自分の現状を整理することができるようになったことで、業務の抜け漏れが格段に減り、1日の段取りもしやすくなりました。また、頭の中にあるものを文章化する作業は、私の得意なVCI(言語)的能力が強く発揮されます。

 また、縦のライン(所属長と上司)が私の抱えるタスク、タスク外の検討事項をほぼすべて把握できる状態になったため、進捗確認などをする手間がなくなったように思われます。実際そういう声掛けがなくなりましたし。


(3)デスクトップの共有化

 (2)に付随して、これまでデスクトップに置いていた業務ファイルなどをすべて共有サーバへあげました。これにより、私以外の全員が私の手持ち情報を把握できるようになったため、私が気付いていない業務の抜け漏れも気づいてもらえるようになりました。また、同僚に見られているという感覚は適度な緊張感になり、業務を進めるのが少し早くなった気がします。

 これもまぁまぁな神改正でした。


 以上の環境調整によって、私のケアレスミスは劇的に減少、生産性も向上しました。前よりは職場に貢献できるようになっていると思います。



5.職場環境のユニバーサルデザイン

 今回の検査では、主治医も心理士も一貫して「環境次第で何とかなるし、何とかすることができる方です」と言ってくれたのが印象的でした。そこで私は自分の特性を理解し、その特性と付き合って生きていくと決めました。それが結果として他者のためにもなると思ったからです。

 今回は、自分のために環境の配慮をお願いしましたけど、こうした環境の配慮は、私のような不注意傾向が強い人以外にとっても意味があると思っています。誰でも集中したい時があるでしょうし、ケアレスミスや抜け漏れはあると思います。それを未然に防ぐ、あるいは悪化させない環境を日常的に構築していくことが、職場全体の環境向上や生産性向上につながっていくと私は思います。職場環境のユニバーサルデザインは必要だと思います。


 皆さん、ぜひ一度、自身の特性を知ってみてください。そしてその特性と上手に付き合っていける方法・特性を上手に活かせる方法を考えてみてください。そうすることで人生はきっとよくなります。

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