価値あるもの
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。
人が何を成し遂げ、他者からもてはやされ、富を築こうとも、やがて土に還ればそれらに価値はなくなる。
ならば生きる意味とはなんだろう。
人生において価値あるものは存在するのか。
強いて言うなら、それは愛ではないかと思う。
誰かに親切にしたり、生涯を共にする相手と添い遂げたり、友人とかけがえのない時間を過ごしたり。その中で与える、または与えられる愛とは無償のものであり、何より価値があると思う。
愛は目には見えない。
物質的ではない、ただの概念である。
けれども、確かに受け取っている。そして、それをまた誰かへ還元するために今日を生きている。
愛が持つ価値は普遍的である。
愛を与えるということは、過去の一瞬における感情を誰かに分け与える行為だ。
それが時間を超えて人から人へと受け継がれ、今につながっている。
何者にもなれなかったとしても、誰かに愛をもたらすことが出来ればそれで十分ではないだろうか。
なんとなく、そう自分に言い聞かせてみる。
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