見出し画像

[年平均成長率40%超え!?]プライバシーテック市場とAcompanyの魅力

本noteは、2023年1月7日に開催されたシリーズA資金調達リリース記念イベントの内容を、一部修正・編集の上書き起こしたものになります。元動画へのリンクはこちらです。動画・文章のお好きな方で御覧ください。


登壇者

Spiral Capital Senior Associate 植木修造 氏 2020年1月、Spiral Capitalに参画。参画以前は、2018年4月ドリームインキュベータ入社。主に戦略コンサルティング部門にて、ヘルスケア、エネルギー、保険など様々な業界の大企業における新規事業の企画・立案支援に従事。並行して、大企業からのカーブアウトやベンチャー企業の資金調達支援も担当。それ以前は、ZS Associatesにて、大手製薬企業の営業・マーケティング戦略に関するコンサルティングに3年間従事。東京大学法学部卒。趣味は海外旅行、バドミントン、謎解き。


株式会社Acompany 代表取締役CEO 高橋亮祐 名古屋大学在学中にエンジニアとして活動を始めたことをきっかけに、個人でのwebアプリケーション開発や複数のベンチャーでのインターンを経て、2018年6月に株式会社Acompany創業。これまでに、デジタルキー管理システムの開発、デジタルアセット管理プロジェクトへの参画などの開発実績や総務省・NICT起業家万博を始めとし、複数のビジネスプランコンテンストでの入賞歴あり。セキュアマルチパーティ計算による秘密計算の実用化に注力する。2019年名古屋大学工学部物理工学科卒業。2021年Forbes JAPANによる「世界を変える30歳未満の30人」30 Under 30 JAPANに選出。22年には「Forbes 30 Under 30 Asia(アジアを代表する30歳未満の30人)」へ選出された。


投資家が語る、プライバシーテック市場の魅力:Spiral Capital 植木様

今回のテーマ「プライバシーテック市場の魅力とは」について、今回シリーズA投資をした投資家の目線から見たこの市場の魅力と、Acompanyという会社がなぜ魅力的なのか話していきます。
まず最初に、このプライバシーテック市場というところでどういうものをイメージするのかなというところをちょっと初めに認識を改めたいなと思っております。

このプライバシーテックというこのワードは、そこプライバシーテックとはというところまでまだ一般的ではないワードだと思います。
このワードだけ聞いていくと、いわゆる規制対応みたいな、リアクティブというか受動的な要素感じることもあるかなと。
プライバシーテックで非常に重要だと私が思っているのは、パーソナルデータを利活用し、それを促進するという面があるというところです。規制対応とかやや守りという側面のイメージもついてしまうかもしれないんですけれども、むしろこのパーソナルデータをどう利活用するのかと、それを踏まえてどのようにデータを活用する企業サイドに付加価値を提供するのか。という攻めの要素を含んだ概念だと思っています。

つまり、プライバシー保護と、パーソナルデータを活用してどう付加価値を提供していくかという、守りと攻めの要素をどう両立するかということが、プライバシーテックという中に含まれている意味合いだと思っています。
本日はその両側面に注目しながら、プライバシーテックの魅力を説明していきます。

自身の経験からも、プライバシーテックのポテンシャルを感じていた。

改めてになりますが、Spiral Capitalとして今回投資させていだたきました、植木と申します。新卒のときに関わった経験が、実はプライバシーテックを話す最初の入り口ということで、まずはプライバシーテックの攻めの面に注目してお話します。
私が新卒で何をやったのかというと、製薬業界の企業を対象に、データを使って行動インサイトを出して、どう価値提供していくか?ということをやっていましたまさにそこで、プライバシーテックという以前にそもそもそのデータ利活用というものが及ぼすインパクトが大きいということを実感しました。

細かい話は省きますが、製薬業界はデータが比較的整備されている業界になっています。こちらの左側に書いてある通り、どの薬剤がどれくらい売り上げが上がっているのか、実際の営業活動でどれぐらいリソースを割いたのかといった自社関連データは当然あります。
それに加えて、施設ごとに例えば競合薬剤でどのくらい売り上げがあるのかという、事実上自社のシェア情報みたいなデータもこの業界では整備されています。Acompanyが扱うような個人情報ではないんですけれども、様々なデータが存在する中でこれらをいかに連携させて示唆を出してクライアントの活動にインパクトを与えていくかというところが私の元々の仕事でした。
データを使って、営業コストをどれぐらいかけていくのか、それに応じてどれぐらい売り上げを伸ばしていくのかというところをシミュレーションしながら最適なポイントを探っていきました。

例えば、利益を最大化することが最適なポイントであるとすれば、青線と赤線の差が大きいところを選ぶことになりますし、一方で市場シェアを最初に押さえて守りにいくという判断をするのであれば、一旦は利益を度外視してひたすら営業コストを右側に突っ込む。このように、データを活用していくと、現状のポイントからもう少し営業リソースを割いた方が実は利益としては最適化される、といった話を出すことができます。

これが私が1年目にやったことなんですけれども、こういった分析を経ると、例えばMRを100人ぐらい追加するとこれくらいの利益が出せるという結論を出せます。数十億の投資をするかしないかという判断を決めているわけです。それによって結果的に3桁億ぐらいの利益インパクトが出せると。
そういったデータからいかにインサイトを出して顧客に大きな影響を与えるかといったことをやってきたってのが私の新卒時代の経験です。個人情報ではありませんが、データ活用がどれぐらい大きな力を持っているかという側面において、この話は非常に参考になるのかなと思います。この話から、データをアンロックしていくことのポテンシャルというものが、まずはプライバシーテックの大きな魅力かなというふうに感じております。

VCとして、ホリゾンタルなSaaSがまだあるのではと探っていた

2点目が、VC目線でどういう投資領域が魅力的なのかというところを俯瞰して見る話になります。いわゆるSaaSのような領域を考えていくと、freeeやMoneyforwardのような、産業横断的、ホリゾンタルと呼ばれる領域になります。こういった産業横断的な共通業務のところのプロセスがDXされていくというところから始まり、ここに記載したような会社が出てきています。

それらがある意味で一巡というか、あらゆる領域が埋まってきたことに伴って、ややバーティカルで産業ごとの固有性が高いDXに移ってきています。ホリゾンタルにせよバーティカルにせよ、各領域で切り出して、それぞれにSaaSが出てきたという形でアンバンドルされた形でDXが進んできました。
ホリゾンタルですと、一般的には市場規模が比較的大きい領域とはいえ一方で参入障壁もやや低めというケースがあって、競争が激しくなることが結構あります。バーティカルは産業ごとの固有性が高い領域のDXなので、市場規模がややちっちゃくなりがちという課題はありつつも、その領域の業務をいかに深く理解してるかというポイントが重要になってくるので、参入障壁自体は結構高く、ホリゾンタルからバーティカルに段々シフトはしてきたわけです。

その中で感じていたのは再度ホリゾンタルってないのかなというところで、投資領域として探っていたというところです。
ホリゾンタルで各業務でアンバンドルされた形でDXが進んできたというのがこれまでの経緯だったわけなんですけれども、各領域で個別のSaaSプロダクトが出てくることを見ていて、この各業務領域で分けられたそのプロダクトというところをもう1回再統合するところに可能性があるんじゃないかというふうに感じていました。

そういったところで出てきたのが、SaaSを管理するツールですとか、IPasSという形でSaaSを横断的にデータ統合をしていくものです。それぞれ切り分けられたプロダクトをもう1回再統合するというトレンドが出始めてきていました。このトレンドに着目してきたときに、まさにちょうどこのプライバシーテックに取り組むAcompanyに出会いました

プライバシーテックは、ホリゾンタルやバーティカルという話以前に、そもそも全てを横断して集まってくるデータを押さえています。これはホリゾンタルで対象にしてるような業務領域からもそうですし、バーティカルでの、産業ごとの固有性が高い業務から得られるデータもあまねく対象になるわけでして、最終的にはこのデータというレイヤーを押さえてる人たちが究極的にはホリゾンタルだと思います。

データレイヤーという、ある意味究極のホリゾンタルを抑えているプライバシーテックという領域は、当然市場規模も大きくて魅力的なエリアと感じたというのが2個目の話となります。

高い難易度と参入障壁

プライバシーテックという意味で3つめが、ちょっと守りっぽい話です。冒頭でも申し上げた通りプライバシーテックというのは攻めと守りの両方の面があります。守りという面ではその複雑な規制に対応していかなければならない点で、参入障壁が高いところが特徴かなと思っております。

例えば、プライバシーテックで扱う個人情報が医療情報だった場合、一番の基本方向としては個人情報がありつつも、さらに内側に医療データに関して特化した次世代医療基盤法があります。さらにその内側に各種ガイドラインという形であるという形になってまして、個人情報周りの法規制ってのは結構複雑です。ぱっと参入できるほど単純な領域ではないというところが非常に特徴的だと思っています。

ゆえに、プライバシーテックは、ホリゾンタル領域としての市場規模と、バーティカル領域のような参入障壁を両立したエリアとなります。

また、プライバシーテックは、事業、法規制対応、実装技術力のそれぞれが連動することによって初めて意味があるプロダクトを生み出せる点でも、やはり難易度が高い領域なのかなと考えてまいす。
事業部門が法務部門・IT部門に対して、事業ニーズを伝達する一方で、それぞれ法律・技術対応の限界というのものがあるので、そういった要件も組み合わせながら、初めてこの事業サイドが価値を生み出せます。

ここまでで一旦プライバシーテック市場というところの魅力に関してはお伝えできたのかなというふうに思ってまして、最後に改めてAcompanyに出資した理由を振り返らせていただきます。

改めて振り返ると、プライバシーテックというのは、規制対応みたいな守りの側面だけではなくて、データの利活用の促進によってどうやって顧客企業にインパクトを与えるのかという攻めの要素を多分に含んでいます
どの企業にとってもデータはインフラであるため、プライバシーテックという領域は市場規模も大きいので、非常に魅力的な市場です。

個人情報の利活用は、複数の規制が絡まっている上に、事業サイドと法律サイドと技術サイドがそれぞれが連携して初めて意味があるプロダクトを生み出せるという点で極めて難易度が高く面白い領域だと思っています。
あとは市場に入るタイミングも重要かなと思っていまして、まさに今回投資したポイントのひとつという形になっています。

2018年に出てきたGDPRの施行を機に、世界各国でプライバシー規制の機運は高まっている状態。日本でも昨年改正個人情報法が施行されている。Acompanyは19年末から20年頭にプライバシーテックに参入している。市場を捉えたタイミングがずれるとなかなか事業がうまくいかないというケースが結構ありますが、市場が盛り上がってくる少し前のちょうどいいタイミングだと思っています。

最後に、この領域で誰がやるのかというところが重要なポイントかなというふうに思っています。月並みな表現ですが、人やチームの良さというところが出資した理由の大きなところになっています。
個人ベースで見ると、素直な方が多いなというのがAcompanyに対して思っている点です。
社会課題を解決したいとか、社会に大きなインパクトを与えたいとか、知的公的好奇心に素直だな感じました。そういった志向をどのメンバーからも感じられることもいいなと思ってます。

繰り返しになりますが、事業と法律と技術の各領域が互いに連携して良いプロダクトが生まれるというのが、プライバシーテック領域の魅力であり難しさです。
個々人が素直なマインドを持ち、それぞれの領域が互いに学び合う文化が社内で形成されてるなと感じておりまして、このカルチャーがないと、この領域で事業やっていくのは難しいと思っています。
個々人の志向と、それを体現したカルチャーからチームの強さを感じたというのが、出資した理由の重要な点です。人・チームの良さに触れたところで、後段の高橋さんのカルチャーデックにパスさせていただきます。

Acompanyとは?:Acompany 高橋

Acompanyカルチャーデックvol1.0をベースに登壇しました。

公開しているカルチャーデックになります。こちらをベースにAcompanyについてご紹介します。まず最初に、「選ばれる会社であろう」というのを、Acompanyではキーワードとして大事にしています。

大きく2つ、Acompanyの方向性を示しているものがあります。一つはAcompany vector(アカンパニーベクトル)という方向性を表すもの。もう一つがAcompany guardrail(アカンパニーガードレール)という行動指針で、vectorの大きさを最大化していくための行動指針を置いています。

プライバシーテック市場

私達が取り組んでいるプライバシーテックの市場について、植木さんからもご紹介いただいていたんですけども、もう少し引いた目線で見たときに、例えばUSの市場を見てみると、CAGRR40%以上と急拡大していまして、規制をフックにかなり使用が伸びているような状況になっています。

実際USでは非常に注目されているマーケットになっていて、ユニコーン企業が複数生まれてきています。私達はその市場の中で、AutoPricayというプロダクトの提供を起点に、博報堂DYホールディングス様や中部テレコミュニケーション様との業務提携を発表させていただきまして、実用的なデータ活用に向けての取り組みを進めています。

植木さんのお話にもあったように、プライバシーテックの領域というのは、どうしても技術・法律両面からアプローチをしていく必要があります。そのため、プライバシーテックとプライバシー法の両面に、or ではなくて and で精通しているというのがAcompanyの特徴です。

概要が以上となりまして、ここからは一つずつ触れていければなと思っております。
時間の都合もあるので、会社概要と、Acompany vectorAcompany guardrail、あとはプライバシーテック事業を中心にお話させていただければと思っております。

会社概要

まずは会社概要です。2018年6月に創業して、現在業務委託・アルバイト含め40名ほどの規模の体制になっています。今回シリーズAでSpiral Capital様からも資金調達をさせていただいて、主要投資家としてはここに記載の方々にご支援いただいております。

名古屋を拠点にしている、名古屋大学と名古屋工業大学の両校から認定をいただいている、大学発のスタートアップです。オフィスとしては名古屋駅と名古屋大学、あとはBeyond Next Ventures様の都内のシェアスペースも利用させていただいて、3拠点で活動しています。

沿革になります。元々私が名古屋大学工学部在学中に学生起業で創業しております。約1年半ほどのアカン期と呼んでいる暗中模索の時期を経て、20年頭に、データを暗号化したまま計算処理できる秘密計算というテクノロジーに着目して、今のプライバシーテックに繋がる事業をスタートさせました。
なので、元々技術を軸にして事業を展開してきている会社ということになります。そこから去年4月のタイミングで、より個人データにフォーカスを当てて、プライバシーテックを中心とするような事業体制に変更をしてきました。そして現在はプライバシーテックのAcompanyとして事業を推進しているというような沿革になっております。

この辺りは私達というより、市場自体の注目度がここ数年本当に高まってきておりまして、その中でこういった取り上げ機会というのも多く頂くようになりました。

2023年1月時点です

役員メンバーは5名の体制で、事業運営をしております。

Acompanyが目指す先

Acompanyが目指す先というところで、先ほどのAcompany vectorとAcompany guardrailを紹介させてください。

Acompany vector とは何かというと、偉大な企業になるという目標のためにどういった方向に向けて進んでいくかというのをAcompany Vectorという内容で共有をしております。

まずVALUEなんですけれども、共通の価値基準として Be Cool. Be Hacker. の二つを掲げております。
Be Coolというのは、自分を大切にしながら他人を思いやるという姿勢です。自己犠牲とか邪悪な方法、他者に攻撃的な態度はCoolじゃないよねというようなスタンスになってます。
Be Hackerは、ライフハックとかで使われる意味のハッカーで、価値あるものをつくるために合理的に改善を繰り返すような姿勢のことをHackerと呼んでいます。単に技術が高いとかそういった意味ではなくて、積極的に世の中の問題を解決しようとするスタンスを持った人がHackerであるというふうに定義をしています。
Be Coolでは倫理観の部分を強く出しているんですけども、営利企業でもあるのでそれだけでは駄目だよねと。なので、より成果を効率的に追い求めていくBe Hackerというスタンスを併せ持っているというのが重要だとAcompanyでは考えております。
Be Cool.とBe Hacker.をバリューとして併せ持っている人が、Acompanyのメンバーとしてフィットしていると考えています。

Acompanyのパーパス、存在意義は、テクノロジーで世の中をよりよく改善するために存在していると定義しています。
知識の実用化というのがテクノロジーの定義で、それを通じて社会をより良くするということを目指していくと。
なので、いわゆるITだけではなくて、Acompanyが取り組んでいる、法律やそのスキームなどもテクノロジーであると考えておりまして、複合的に価値提供していきます。

ミッションなんですけども、プライバシーテックで社会課題を解決するというミッションのもと、プライバシー保護とデータ活用の両立を実現して、安心安全なデータ社会の実現に貢献していくということを目指しています。

BHAG、これは目標だと思っていただければいいです。
2035年までに世界一の偉大なプライバシーテックカンパニーになる。という目標を掲げておりまして、これに向けてAcompanyは足元では今のプライバシーテックに取り組みながら、長期的な目標に走っています。

これら四つの要素を合わせてAcompany vectorとしてまとめています。

このベクトルを最大化していくところで、Acompany guardrailという行動指針を掲げておりまして、具体的にここで挙げている10個の要素ですね。

これは行動指針としておりまして、全て覚えるというよりは、実際にいろいろな業務や意思決定をするシーンで立ち返って、この行動指針に沿った動き方ができるように利用するようなものになっています。

プライバシーテック事業

続いて私達も取り組んでプライバシーテック事業についてご説明させていただきます。冒頭ご説明さしていただいたように、プライバシーに関する技術と法律に精通しているところが強みであり特徴です。

さきほど植木さんから説明がありましたが、EUのGDPRが2018年に施行されてから、世界中で規制強化が進んでいます。日本でも個人情報保護法の改正がありました。一方で規制に対応できる人材が非常に不足しているというのが大きな課題背景になっております。

複数組織間でプライバシーデータ連携を行っていく際、解決されてないハードルというのが、部門の連携になります。
実際、今は同意取得してユーザデータを第三者提供したりというなことが行われているんですが、同意の取得率が低かったり、そもそもユーザーが規約を全く読んでないといった諸々の課題が出ています。
法令遵守しながらも様々なカットでのデータ利活用の方法が今求められています

そのような状況の中でAcompanyではAutoPrivacyという、プライバシー保護とデータ活用を両立するような分析環境の提供を、プロダクトとしています。

実際に複数の事業者での個人データの活用というのを秘匿化したまま共有・連携が行えたり、プライバシーを保護するための様々な技術を組み合わせて、データ処理のプロセスを簡単にセットアップできることが特徴になっています。

細かい機能的な特徴もあるんですけども、ご関心ある方は直接詳細なお話をさせていただければと思うので、ぜひお問い合わせをいただければと思います。

私達のプロダクトの特徴としては、開発者向けにAPIで簡単に利用可能になっているので、開発者様に法律の深い理解がなくても、AutoPrivacy側で作られている法律対応した加工や連携機能のスキームを丸ごと利用できるところが非常に特徴的なポイントになっています。

領域としてはマーケティングやヘルスケア、行政などのユースケースでの取り組みが進んでおりまして、例えば決済データと購買データの掛け合わせや、病院ごとのデータの統合、自治体が保有しているようなデータの有効活用といったところでご支援等させていただいています。
特に初期的には開発者様向けのプロジェクトになっていますので、個人データを大量に持っているようなエンドユーザ企業さんをパートナー企業にしているSIerさんですとか、先ほど挙げていたような博報堂さんのような、コーディネーター企業さんとご一緒させていただくことをメインに、AutoPrivacyの提供を進めています。

Acompanyの特徴としては、お客様がどういうことをやりたいかという事業ニーズをベースにしながら、法律の論点と基礎技術を組み合わせて法律に対応したような形でソリューション提供させていただけることが特徴になっています。技術において、スタートとしては秘密計算から始まり、その他にもプライバシーを保護する基礎技術を保有しております。
ざっとAcompanyのご紹介について以上とさせていただきます。


Q&Aセッション

高橋:
植木さんのホリゾンタル・バーティカルの考え方を聞いて、(※)コンパウンドスタートアップの考え方と近いと感じました。植木さんも意識していたのですか?
※部署や領域で区切るのではなく、データを起点にマルチプロダクトを展開していくスタートアップ

植木:
リバンドルの流れや課題意識に近いところは共通していると感じていましたが、初めから複数プロダクトを展開していくことが理想とまでは思っていません。SaaSが複数出てくる中で、SaaSのID管理やiPaaSのように横断的に業務連携させていくことから進めていくのかなと考えています。そしてバーティカルで入ったスタートアップも、得られたデータをどう活用していくのか確認しながら、第二の矢第三の矢を放っていくことにはなると思います。

高橋:
プライバシーテックという領域はAcompanyを知る以前から認知していましたか?

植木:
最初にその言葉を見聞きしたのは高橋さんの「秘密計算スタートアップ辞めました」noteです。
高橋さんに会う前で「プライバシーテックかぁ」と。実は2019年にスタートアップ向けのFAをしていたときに、Cookieに頼らず広告をいかに出していくかという文脈では触れていました。

高橋:
初めてAcompanyの話を聞いた時の印象はどうでしたか?

植木:
50%くらいは理解できたという印象。理解難易度が高いなと感じていました。パーソナルデータを利活用すること自体のポテンシャルや、秘密計算などの技術のおおざっぱなところだけはキャッチアップできたのかなと。ただ、技術がどの面で法律と紐づいているのかは難しくて、一回では理解できませんでした。

高橋:
私たちが取り組んでいる領域は、技術も法的スキームも複雑だが、投資検討にあたってどのように理解度・解像度高くキャッチアップされたのですか?

植木:
一応法学部の端くれなんで法律はなんとかキャッチアップはしやすいという前提はありました(笑)。やはり、最初わかりづらかったのは、技術と法律がどう連動しているのかという点でした。概念だけで理解しようとしても難しい面があるので、Acompanyがやろうとしていることを、他のアプローチでは出来ないのかとシミュレーションしました。ちゃんと条文を読みながら考えていくと「これはこの法律に引っかかるな」と、技術と法律のつながりがわかってきました。

植木:
逆に、Acompanyでは技術だけでなく、法律対応についてどのようにキャッチアップし、どのようにアドバイザーや弁護士を巻き込んできたのでしょうか?

高橋:
結論としては、逆算的に進めてきたというより、お客さんの実現したいことに向けてひたすら考え続けた結果今に至っています。もともとは秘密計算をどう使うのかという技術カットで、非常に高いレベルのプライバシー保護が必要な個人情報の取り扱いで使えるのではないかと仮説を持っていました。
またお客さんとのヒアリングで、法律の論点や解釈について聞かれることも多かったです。

そのなかで、「こういう前提でこういうスキームであればこういったバリューが出せるのでは」とう仮説を一つ一つつくって、個人情報保護委員会にもっていきました。自分たちだけだと論拠をつくったりで限界があるので、プライバシー周りに強い板倉先生や渡邊先生のご支援をいただいて、論点になる課題やポイントを一つずつ解決し続けて今に至っています。

植木:
さらっと言っているように聞こえますが、それをやり切るのって難しいですよね。必要な人を巻き込みながら一つ一つ解決していくのも、そのスピード感がすごいなと。

高橋:
僕ら自身も、いいタイミングでいいご縁が重なってきたおかげかなと思っています。

高橋:
今回のシリーズAラウンドにあたって僕の視点からnoteを書かせていただきましたが、植木さんの視点だとどう見ていますか?

植木:
VC目線で見ると悩ましいフェーズであるのは間違いありません。投資検討の過程で、顧客企業へヒアリングも行いましたが、やはりニーズ自体の高さを強く感じた。ただ、事業・技術・法律を一体にしてプロダクトに落とし込んでいくところは非常に難易度が高いので、プライバシーテックにピボットして半年強でしたので、ちゃんとスケールするのかというのは、VC目線で強く問われるフェーズでした。VCによって評価が大きく分かれるラウンドだったのだろうなと思います。

Q:
同意に頼らずに、という話がありましたが、同意のないまま、異なる会社のひとりひとりの個人のデータを突合するのは違法ではないか。

高橋A:
よく聞かれる質問です。個人データを渡すことはプロダクト上では一切ありません。法律に準拠した形のスキームを作ったうえで取り扱っている。まさにAutoPrivacyの特徴になっているところです。このあたりは植木さんにもかなり深くDDしていただきました。

Q:
世界的に見てプライバシーテック領域はどれくらい進んでいるか

植木A:
プライバシーテックを広く見ると、グローバルでも進んできている印象。実際に一部領域ではユニコーンも生まれています。しかし、Acopmanyが取り組みたい領域において直接バッティングしそうな企業は無いと捉えています。データ連携の文脈だとローカルな法律対応の点で難易度が高い。国内で見ても足元で直接の競合は、すぐ現実的なところではいないという認識です。

高橋A:
世界的に見た動向から話していきます。世界的にはガバナンス領域を中心にしたプレイヤーが出てきています。とはいえUSでも売上規模は200億円前後。黎明期と言っていいフェーズ。Acompanyがアプローチできる余地は、USだけで見てもかなりあると考えています。

競合については、実は僕らの直接の競合になるプレイヤーは、SIerさん。実際に個別にデータを加工する(匿名加工、統計化)部分を今やっているのは、SIerさんだったりします。それをふまえてデータ連携・基盤システムをインテグレーションしている。そこでぶつかったりする。
なので国内の直近の競合はSIerだと思っています。

Acompanyは、個人データを起点にしながら、秘密計算のようなプライバシー保護技術群で、データ連携の文脈にアプローチしています。その周辺でガバナンスの話や、法律・技術を合わせて個人データを使った事業企画を作って欲しいというご相談もかなりあります。そういった点を含めると、個人データにまつわるガバナンスの部分から、実際のシステム実装までをカバーするプレイヤーになりたい。それを踏まえてプライバシーテック領域でのナンバーワンを目指しています。そうなると、長期的には、CDPやCMPなど、周辺のプレイヤーはだいたい競合になっていくと思っています。

無限に話を広げられてしまいますが、プライバシーテックの具体的な技術については、実はブログで細かく発信しているので、そちらをご覧いただければと思います。

植木:
実際にDDのとき、プライバシーテック研究所の半分くらいの記事は読みました。キャッチアップするにあたってとても参考になりました。

Acompanyという会社にフィットしやすい人材

植木:
再三触れている通り、事業・法律・技術の各領域がいかに連携するかが肝なので、個々人が柔軟性を持って、壁を作らずお互いの領域をきちんと学んでいく姿勢が必要不可欠なのかなと思います。
自分の得意領域に固執せず、柔軟に必要なインプットをして考えていくマインドが大切です。
クライアントが大企業ばかりなのも、Acompanyの大きな特徴なので、そういった大きな企業相手に活躍されてきた方も大活躍できると思っています。

高橋:
私達の会社にフィットする観点でいうと、Be Cool. の要素がすごく大きいと思っています。ちゃんと自分の軸を持っている上で、他人を思いやることもできる人。チームとしてしっかり勝っていくという前提のもとで事業をやっていくというスタンスなので、全体最適につながらない邪悪な人や攻撃的な人はフィットしません。このあたりは強く意識している要素です。逆にこの考え方がすごく合うと思っている人はおそらくフィットします。

今のAcompanyはいろいろなところが足りていないので、Be Cool. be Hacker. の要素を持っている方であれば、スキルセットというよりは、一緒にどういったところでバリューが出せているのかお話させていただけると思うので、ぜひカジュアル面談のご連絡いただければと思います。

参考リンク

採用ページ

→Acompanyが気になる方、まずは『カジュアル雑談』へGO🙌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?