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阿古真理
2021年1月21日 10:36
「先輩、結婚していたなんて知りませんでした。しかも知らない間に離婚まで。どういうことですか⁉」「真友子とは、大学時代からしばらくおつき合いがあって、真友子がフリーになって、それからおつき合いが再開したでしょう?」「はい、はい。そうですね。そうです。就職先をご紹介いただいたのは、本当にありがたかったです。でも、先輩は別のプロダクションでお仕事なさっていたんですよね。お互い忙しかったし、私は仕
2020年8月27日 10:08
そうだ、そろそろ買い物に行かなきゃ。今夜は何にしようかしら。うちの人は何作っても無反応だし、私もこの頃食べることがめんどくさくなってきちゃって、食事の支度が面倒になる日が多い。 でも、大毅や颯太が来ると、おいしそうかそうでないか、言わなくても反応を見ているだけでよくわかるし、千紗もこれが食べたい、これは嫌とまあ言いたい放題だから、カチンとくるときもあるけど、張り合いはあるのよね。毎度、持ち帰
2020年8月20日 10:01
立花さんのご主人が、どうやら失踪したらしいというのは、4月頃に知った。今年は食べきれないほどイチゴのいただきものがあったから、一部をジャムにしつつ、立花さんの家におすそわけを持って行った。「ご主人とどうぞ」とお渡ししたら、困ったような顔をして「まあイチゴ。つやつやしておいしそうですね。でも今は……」と言い淀んでおられるから、「どうなさったの?」と聞いたら「いや、別に。いや……主人は今、い
2020年8月13日 10:01
小説の続きです。冒頭に出てきた真友子と香奈子の母で夫に失踪された、立花洋子のエピソードで、お隣の奥さんが出てきました。ここからは、その人が主役です。こんなエピソードでした。 馬場芳江は、この頃疲れている。隣町に住む娘、千紗は、何かといえば頼ってくる。千紗は現在37歳で、フルタイムでメーカーの営業職に就いている。短時間勤務を続けていたが、最近では予定時間に帰ることが難しくなったらしく、夕方にL
2020年7月30日 09:34
「お母さん、富士山!富士山だよー!」 亜衣は新幹線の中でうとうとしていたのだが、友樹の声で起こされた。「ああ、ほんとね。今日はきれいに見える。何かいいことあるかもね」「いいことあるの? じゃあ、ぼくアイス食べたい!」「さっきご飯食べたところでしょう。いいことはもっと後で起こるんじゃないかなー」「えー!お母さん、ずるい」「何もずるくないよ。ほらもう、富士山見えなくなっちゃうよ
2020年1月22日 10:36
初挑戦の家事小説。前回はこんな話でした。 駅から自宅までは、徒歩で20分かかる。バスも使えるが、2駅しかないし、本数が1時間に2~3本と少ないし、バス停からも数分かかるので、結局時間的にあまり得にならないと思うので、遠いけれど歩くことが多い。歩きながら洋子は、また思い返す。 コロッケだけじゃない、揚げ物全般を最近はつくらなくなってしまった。本当は、サツマイモは天ぷらにするのが一番おいしい