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主に『キングオブコント2021』の感想文です【今週のエンタメ摂取雑文(9月27日〜10月3日)】

今週末は自宅の給湯器が老朽化で壊れ、お湯が出なくなりました。しかし我が家は変わった作りになっているらしく、給湯器がふたつあり、お風呂の追い焚きだけが生きていました。なので浴槽に水をためて湯を沸かし、風呂桶を駆使して入浴してます。

それはさておき、今週は主に『3月のライオン』最新刊の発売と、なんと言っても『キングオブコント2021』。お笑い好き数名で集まって友人宅で観ました。到着してすぐ「私は空気階段の優勝を見届けに来ました」と宣言して酒を飲み始めました。信じたとおり優勝してくれて、感無量であります。まだまだ余韻冷めやらぬなかにいます。

スペシャルドラマ『バンクオーバー!〜史上最弱の強盗〜』(日本テレビ)

9月19日と9月26日の2夜前後編のスペシャルドラマなので、正確にはこの週じゃないんですが、非常におもしろかったし、Huluで観られるのでご紹介。主演は間宮祥太朗さん。銀行に訪れた客と2組の強盗、銀行員たちの群像劇です。脚本は、HTB開局50周年ドラマ『チャンネルはそのまま!』や『絶飯ロード』(テレビ東京)、遡るとおもしろいドラマばかり書かれてる森ハヤシさん。かもめんたるさんや小島よしおさんも所属していたコントグループWAGEのメンバーだった方ですね。

とある事情で銀行強盗を計画した間宮祥太朗さんがいざ銀行を訪れると、すでに別の銀行強盗がいて……というお話。どう展開していくかと思いきや、銀行強盗だけじゃなく客や銀行員にもそれぞれ複雑かつおもしろい事情があり、その事情が絡まり合って結末へ向かっていくという、見どころ絶えず最後まで笑いつづけてしまうドラマ。最後の最後まで意外な人が意外な展開を見せるので、本当に飽きなかった! 先週紹介したダウ90000の『旅館じゃないんだから』とか好きな人、お笑い好きの方々とかにぜひ観てもらいたいドラマでした。

『伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)

基本的に毎週聴いてる馬鹿力ですが、2週連続で伊集院さんが珍しくお休みだったのでひさしぶりに生放送。お休み中に始まった、作家オオヤくんの企画コーナー「教えて老害さん!」が想像以上におもしろい。コーナーが始まったときの趣旨としては「Z世代が老害に疑問をぶつける」という、はたしておもしろくなるのか、どう転がるのか想像がつかない空気だったんですが、ハガキ職人の方々のレベルが非常に高くて、腹がよじれるほど笑ってしまう。

自称Z世代の方々(予想年齢は30〜40代以上の方々)が伊集院さんに疑問をぶつけるんだけど、「老害が若い頃は電子レンジなかったんでしょ?」とか「YouTubeがないころは公園で紙芝居とか見てたの?」みたいなのが送られてきて、これが意外とちゃんと歴史を振り返るような着地になる。実際、伊集院さんの子供のころは電子レンジが自宅になかったり、逆に紙芝居は伊集院さんのころもう「かつてあった紙芝居の文化を再び」みたいな人たちが出てきてる時代だったりと、言葉選び的に笑える投稿からまじめな時代考証へつながることがある流れとかが巧みでおもしろい。一番はとにかく職人の方々のレベルが高くて笑い転げてしまうことなので、今後も楽しみ。

マンガ『3月のライオン』16巻

15巻が発売されたのは2年前の年末なのでコロナ前。まず『3月のライオン』の世界には登場人物たちの非常に身近な暮らしと想い、物語が丁寧に繰り広げられていて、今回の16巻は特にコロナ禍の不安や焦りを少しずつほどいてくれるようなあたたかさがあった。

羽海野チカ先生のマンガすべてに言えることであり、『3月のライオン』は特にそうなんだけど、登場人物一人ひとりの細かな動きや心の機微が事細かに描かれ、そこをメインにして進んでいく。だから何か事件が起きようものなら本当におおごと。かなりのページ数を使って、めちゃくちゃ長く丁寧に描く。特別なことがなくてもすべての人々が生きる日々のすべての時間の中に、かけがえのないドラマがある。コロナ禍だからこそなのか、より一層その尊さを感じたのでした。

『キングオブコント2021』

空気階段の優勝を信じてやまなかった私ではあるけど、本当に今回は全組楽しみにしてた。取材でオズワルドさんと全組おさらいしてたり、コラムでもいろんな方々と今回の決勝はいろいろ考えていたりしたので、より一層思い入れが強く。そして新たな審査員。ほんっとうに良かったですね。概ね予想通りだったけど、やっぱり飯塚さんが出てきたときは発狂しちゃった。常にみなさんのコメントと点数に完全同意。ファイナルステージ進出者も納得しかなかった。本当に素晴らしい新審査員。

しいて挙げるなら、蛙亭はトップバッターであの破壊力、感動しかなかった。さすがに賞レースでは芸風をある程度マイルドにしてくるのかと思ったら、緑色の液体を吐く中野さん。蛙亭ならではの気持ち悪さをそのままに、愛とSFの世界をあれだけ凝縮して描き切る巧みさ。出順が違ったら本当にわからなかった。当然ファイナルステージは残っていたと思うし、何よりファイナルステージにどのネタを用意していたのかが気になりすぎる。もう1本観たかったなあ。

あと、男性ブランコの1本目。ボトルメールで知り合った男女が始めてリアルで会う設定。普通に初めて会って展開していくのかと思いきや、途中で「こんな女性(平井さん)が来たらいいなあ」のシミュレーションだったことがわかる。そして”理想の女性像”のクセがめちゃくちゃ強い。一つひとつの言葉も、身振り手振りも、癖があり過ぎてかなりユニーク。でも浦井さん扮する男性はそんな女性像がツボ。最後にようやくリアルの時間に戻ると、理想どおりの女性が出てきて男性は全力のガッツポーズ。実は全部想像だと途中でわかり、その想像のクセが強くておもしろくて、最後に予想を裏切るんじゃなく男性の予想に応えて観る人を逆に裏切る、この構成はめちゃくちゃ発明だった。予想外の予想どおりを作る構成すごかったなあ。

もうひとつ好きだったのは、ザ・マミィの1本目。よく街で見かける、よくわからないことをひとりで叫んでるおじさん(酒井さん)に、若者(林田さん)が根気強く道を聞くところから始まる物語。若者は人を信用しすぎているから、おじさんにリュックを預けたり、さらにはそこそこ大金が入ってる財布まで預けたり、でもおじさんはおじさんで、そんな人柄の若者にほだされていって。酒井さんがナチュラルに普段からやばいおじさんキャラなところがあるので、あまりにハマり役。社会的に嫌厭されがちな”やばい”人を強いキャラクターとして据えるコントは多いけど、”やばい”側の人がほだされて関係性を築いていくコントは最近ちょっとずつ増えていて(それこそ空気階段、蛙亭はわりと多い)、このザ・マミィの1本目はその理想形のような構成だったと思う。

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