「真理を幻想に持ち込む」のではなく、「幻想を真理のもとに運ぶ」ということ

幻想を真理のもとに運ぶ

「幻想を真理のもとに運ぶ」と「真理を幻想に持ち込む」とは、いったい何のことを言っているのでしょう？

今回はそのことについて書いてみたいと思います。

まず知っておかなければならないのは、コース（ACIM／奇跡のコース／奇跡講座）学習者である私たちがしていく実践は、「幻想を真理のもとに運ぶ」ことをしていくということです。

それは、幻想を直視するということです。

ですが、自我と同一化してしまっている私たちは何をするかというなら、「真理を幻想に持ち込む」ことをしてしまうのです。

真理と幻想（この世界）は絶対に和解することはあり得ないにもかかわらず、私たちはこの幻想世界の中に真理を持ち込もうとするのだということです。

それは、コースの学習者にかぎったことではなく、一元論’（非二元）のスピリチュアリティの探究者やノンデュアリストたちがよくやってしまうことだといえましょう。

まったく真理を、非二元を体現していないにもかかわらず、真理について、非二元ついて語るばかりで、それを体現していくこととすらしていないノンデュアリストたちがそのケースに当てはまるといえるでしょう。

なにせ、私たちはスピリチュアリティですらも自我の隠れ蓑にしようとするのだということです。

コース学習者の例で言うならば、これまで学んできた自分のスピリチュアルの世界観を保持しつつ、コースの教えの都合のいいところばかりを取り入れてコースを歪曲して学んでいるケースが、そうだといえましょう。

他のスピリチュアル、セラピー、ヒーリング、自己啓発、成功哲学といったものとコースの教えを混ぜ合わせようとするのが、その証拠だといえます。

「コースに基づいた○○○」という表現の仕方をしているものが、その典型的な例だといえましょう。

要は、コースをこの世の枠組みの中にはめ込んで、二元性のスピリチュアリティ（霊性の道）へとコースを成り下げてしまうわけです。

あるいは、イエスや聖霊を、まるで魔法使いや天使や高次の存在のように扱うことも、そうです。

この世界は実在しない、無、であるにもかかわらず、この世界の中で自分は幸福になろうという試みをするのです。

そして、この世界の夢の外側から眺めているはずの聖霊やイエスを、この世界の中に引き込もうとするわけです。

それが自我のすることであり、つまりは、私たちがしてしまうことだといえましょう。

それを、「真理を幻想に持ち込む」という言い方をするのだということです。

ようするに、この世界を、そしてこの世界の中にいるこの「自分」を非実在などとはけっして受けれたくないわけです。

なにせ、私たちは自我（の思考体系）と同一化している状態なので、そのようなことをついやってしまうのだということをわきまえておくことはとても大事です。

そうするならば、そのような自我の力動に気づけるようになるからです。

そう、コースの実践において私たちがしていかなければならないのは、そういったことの訂正をしていくことなのだといえましょう。

真理（イエス／聖霊）を幻想の中に持ち込むのではなく、幻想を真理のもとに運んでいくことが、私たちがしていかなければならないことなのだということです。

それは、先ほども述べましたように、「幻想（自我）を直視する」ということです。

実践においては、自分の内側にあるものを明らかにしていくということであり、言い換えるなら、自分の内側にあるものに正直になっていくということです。

裁くことなく、咎めることなく、内側にあるものを暴き出していく、明るみにしていくということです。

それが「幻想を真理のもとに運ぶ」ということであり、それが私たちがしていかなければならないことなのだということを覚えておきましょう。

何のためのコースの（赦しの）実践なのか？

私たちは何の目的のためにコースの（赦しの）実践をしていくのか？