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【会社にドローンがやってきた:13】Mission▶︎最終目的ヲ完遂セヨ

【前回のあらすじ】新年会でドローン関係者と交流したが、時間切れで不完全燃焼。そして二次会へ。

(2023年1月)
「ドローンの話は二次会で」

どうやら二次会用として集まる部屋があるらしい。早速向かいたいところだが、自分の宿泊部屋には滅多に会えない同僚や初対面のグループ社員がいる。
ドローンも大事だが、こちらもおろそかにはできない。

小一時間ほど経っただろうか。その後、二次会へ向かう。

会場に着き、入り口のふすまを開けると、「ブワァッ」と強烈な熱気が溢れ出る。きっと広いであろう和室が小さく感じるほど、多くの人々がひしめき合い、大小の集合体を形成し、それぞれが隣の声を遮る勢いの声量を発していた。

これが「カオス」ってやつか・・・。

あまりの熱量と勢いで一瞬たじろいだが、ここで引き返すわけにはいかない。分散しているが一次会で交流した関係者たちの存在も確認し、人混みをかき分け「ドローン経験者さん」に接触した。

新年会参加者の名札には、名前の他にも趣味や特技を書く欄がある。「ドローン経験者さん」の名札を見ると、F1の文字が。

「あーF1!僕も好きですよ。鈴鹿も富士も行きました。え?ニキ・ラウダの頃からですか?いや〜かないませんわ〜。僕の古い記憶は「雨の中嶋」の時代で、うんぬんかんぬん・・・」

お互い酒が入っている。ドローンそっちのけで、別の話に花が咲く。歴代チャンピオンの名前が出揃った頃には、「ドローン経験者さん」も僕の中では幼馴染の一人になっていた。

その後本題に入り色々と質問したところ、規制が厳しくなる前にゴルフ場の撮影などで飛ばしていたらしい。もちろん機体登録も無い。
まだ自由だった時代に腕を磨き、マニュアルモードでバッテリー1本無くなるまでホバリングの練習を続けたそうだ。
僕からは、ドローンが届いてからの手続き地獄と、現在の行き詰まった状況を報告。

そんな中、ふと視線をずらすと「調整さん」「ミニ四駆さん」と共にもう1人、一次会では決して近づくことのできなかった人物が輪の中にいる。

・・・社長だ。社長がいる!

あまりにも混沌としていて気づかなかった。社長はその要職の空気を微塵も出さずに、二次会の参加者のひとりとして周囲に溶け込んでいた。

一緒にいる「調整さん」「ミニ四駆さん」は、切実な事情を知っている。そして僕のそばには「ドローン経験者さん」。これ以上言いやすい舞台が一体どこにある?これはもう、行くしかあるまい。

早速会話の輪に加わり、事の経緯を説明する。そして最後に言った。

「これから先に進むには資格が必要なんです。資格を取らせてください。」

カオスな状況の中、僕の周辺だけしばらく音が消えたように感じた。

調整さん、ミニ四駆さん、ドローン経験者さんが見守る中、永遠とも思える数秒間の後、社長が口を開いた。

「おぉ、ええよ」

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