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会社にドローンがやってきた(全24話)

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ひょんなことから会社で購入したドローンが、誰一人予備知識の無い中、仕事で飛ばせるようになるまでの奮闘記をまとめています。 話が順を追って進んでいくため、はじめてお越しの方は最初… もっと読む
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#資格

【会社にドローンがやってきた:02】プロローグ

2022.10月 「誰かドローンに興味ある人、いますか?」 会社の朝礼でのリーダーの一言。 あぁ、ドローンね・・・。事故とか迷惑行為などがニュースになって、言葉の響きもオバケのような、あれね。それがなにか? 話によると、「今後、空撮の依頼が来そうだからドローンを購入した。操縦者を決めたい。」とのこと。 会社の中心業務は不動産のホームページ制作なので、トップページにドローンで撮影した動画を載せるのを想定しているのだろう。 空を飛ぶラジコンへの興味が無かったわけではなく、群

【会社にドローンがやってきた:05】情報収集中のサプライズ

2022年11月中旬 機体を登録するには、順を追っていかねばならない。おそらく登録の段階までに新しい情報も出てくるだろう。 ということで、飛ばすには多くの準備が必要だということを会社から理解を得た上で、機体登録以外の情報も広く収集していく。 ▪️必要な備品の選定: 実務で使用するためには、映像を記憶するSDカードや充電器が不可欠。そう、機体に充電器は付属していない。不親切と思う半面、国によって規格が異なるコンセント形状にいちいち合わせなくても良いので、合理的とも言える。SD

【会社にドローンがやってきた:09】ドローンスクール体験で知った衝撃の事実

(2022年12月上旬) 熱中すると1人で突っ走ってしまいがちなワタシだが、会社のドローン担当は僕1人ではない。 共に歩んできた同僚のH君と相談し、まずは彼が先にドローンスクールを体験することになった。 僕としても自分の知識欲は満たされつつあり、「手続きは僕で操縦はH君」という役割分担もありだとこの時は考えていた。 そして当日、体験コースを済ませて会社に戻ってきた彼の表情が、予想に反して暗い。一体何が・・・。 「今の機体でどれだけ練習しても、飛行申請の基準を満たせない」。

【会社にドローンがやってきた:10】資格は必要か、不要か。

(2022年12月) 失意の中、会社のリーダーに現状を報告すると、 「ドローンスクールで資格を薦めるのは当たり前。もっと広い視野で考えて」 ・・・とのこと。たしかに。口が裂けてもスクールでは「資格なしでも大丈夫」とは言わないだろう。 国のルールには、資格が必要とは一言も書いていない。仕事で飛ばすために、具体的には人口密集地域で特定飛行を行うために必要なのは、 「10時間のマニュアルモードでの飛行と、知識」。 要はそれを資格で学ぶか、独学でやるか、ということ。 今後の見通し

【会社にドローンがやってきた:11】ミッション・インポッシブル?

(2023年1月) そんなある日、親会社から通知が届く。 「グループ全体で新年会を開催します」 コロナ下で開催できずにいたが、数年ぶりに復活することになったらしい。これは考えようによっては、チャンスかも・・・。 僕の勤める会社がグループ入りしたのは2年ほど前で、顔と名前が一致する人は、限られたごく一部のみ。 新年会でドローン掲示板の関係者と親交を深めることで、何かが動くかもしれない。この先パイロットが増えるようなことがあるなら、きっとこのメンバーの中からだ。このままで

【会社にドローンがやってきた:12】Mission▶︎関係者ヲ捕捉セヨ

(2023年1月) 3時間強の新年会の中で「ご歓談タイム」は数回あるが、1回あたりの時間はそう長くはない。 効率的に動かねば。ビール片手に僕のミッションがスタートした。 ▪️ドローン経験者さん まずは席次表の位置情報を頼りに「ドローン経験者さん」を探す。 参加者は全員ネームプレートを首からぶら下げているものの、接近しないとよく見えない。ほどなくドローン経験者さんの席に着いたが、そこにはおらず周囲は見知らぬ人々が盛り上がっている。目立たないように探したいが、肩に「まごの手

【会社にドローンがやってきた:13】Mission▶︎最終目的ヲ完遂セヨ

(2023年1月) 「ドローンの話は二次会で」 どうやら二次会用として集まる部屋があるらしい。早速向かいたいところだが、自分の宿泊部屋には滅多に会えない同僚や初対面のグループ社員がいる。 ドローンも大事だが、こちらもおろそかにはできない。 小一時間ほど経っただろうか。その後、二次会へ向かう。 会場に着き、入り口のふすまを開けると、「ブワァッ」と強烈な熱気が溢れ出る。きっと広いであろう和室が小さく感じるほど、多くの人々がひしめき合い、大小の集合体を形成し、それぞれが隣の声

【会社にドローンがやってきた:14】ミッション・ポッシブル

(2023年1月) 「おぉ、ええよ」 「おぉ、ええよ」 キターーー! ♪───O(≧∇≦)O────♪ 「聞きました?聞きましたよね? 社長、いいって言いましたよね? 皆さん、証人ですよ。明日、聞いてないとか言わないでくださいね。」心の中で早口で叫んだ。 これで前に進める・・・。 安堵の気持ちの背後から、もう一つ湧き上がるものがあった。資格を取るのは「誰」なのか。 僕の会社のもう1人の操縦者のH君は今回不参加だが、彼の存在を無視して話を進めるのは避けたかった。民間資格

【会社にドローンがやってきた:16】3件目のスクール体験と、助成金の謎ルール

(2023.1月) 今回体験を申し込んだドローンスクールの特徴は ・実技は屋外のグラウンドを使用 ・卒業生は講習のある日はグラウンドを利用可能 で、僕の希望をほぼ満たしている。 事前判断の難しい「安心感」については、 ・母体が無線通信の会社でドローン事業は2016年からという背景と実績を考慮した。 そして体験当日。 出てきたのは、いい人そうなお兄さん。その土地柄のせいか、どことなく「ホビー好き」の気配が漂うのは気のせいではないはず。ガンダムの話題を振るのを、ぐっとこらえる

【会社にドローンがやってきた:17】井の中の蛙、大海に出れず。

(2023年2月) 2ヶ月間、何をしよう。ヒマだ・・・なんてことは決してない。日々の仕事の中心はwebで、ドローンの優先順位はこれでも常に「最後」だ。会社では仕事、通勤電車ではシミュレーターアプリに精を出す。 この頃はオフィスで普通に飛ばすのにも慣れてきたので、画面だけを見て飛ばす目視外飛行や映像技術のほうに目を向けつつあった。 ドローンは言うなれば宙に浮いたビデオカメラだ。おそらく仕事で重要なのは自由自在にビュンビュン飛ばすことではなく、撮影のノウハウやセンスの方だろう。

【会社にドローンがやってきた:18】4台目のドローンは疑似マニュアルモード。

(2023年2・3月) 撮影対象はマンションで、時期は約1ヶ月後。この先、動画担当者が絵コンテを作成しクライアントと詳細を詰めていく。ドローンについても事前に関係各所に連絡や申請が必要なはずだ。リーダーにそれを伝え、僕にできることは終了。 撮影は、外部に委託することになった。 先日僕が質問攻めしたカメラマンを経由して、付き合いのある会社をご紹介いただいたようだ。 2月中旬、本社に進めていただいた助成金の申請が完了し、ドローンスクールの4月コースに申し込んだ。 これで、こ

【会社にドローンがやってきた:19】撮影現場は収穫の山

(2023年3月) 「撮影の立ち会いに来る?」 外部に依頼したマンション撮影の仕事だ。現場は自宅から電車で片道約2時間。撮影日は休日だが、今回を逃すと次の保証はない。行くべきだろう。 そして当日。私用を済ませ、昼過ぎに現場に到着。 「本物のドローンパイロット」のお仕事拝見である。 初見でまず驚いたのはその服装。反射材のついた青い作業着で、あたかも道路工事の現場で交通整理をするような格好である。それが、操縦者と補助者の2名。 YouTubeを見ると、海外でTシャツ短パン

【会社にドローンがやってきた:20】ドローンスクール受講。

(2023年4月) ドローンが届いてから約半年、ついに「秋葉原ドローンスクール」受講の日が訪れた。平日4日間コース、JUIDA操縦技能証明のほかに、安全運航管理者も含めた。 民間資格とはいえ学科・実技の試験はある。 しかし元々僕はラジコン小僧。今までの手続きの過程で多くの知識を得て、更にこの日までに多少の予習と10時間以上のお座敷フライト+トイ・ドローンを経験してきた。僕が落ちるなら全員落ちる。それぐらいの自信はあった。 ◾️初日:座学&学科試験 受講生は10名ほど。これ

【会社にドローンがやってきた:22】 包括申請はウワサどおりだった件

(2023年5月) さて、いよいよ事前手続きの仕上げ、包括申請だ。今までの手続きは全てこのための準備のようなもの。僕たちの会社で仕事で飛ばすには、この認可は絶対必要なのだ。 包括申請に使用するのは、2022年12月にリニューアルした新システム「DIPS2.0」。約半年が経過し、ネットには申請のノウハウのほかにもエラーやバグなどの情報が多数公開されていた。そのため、一筋縄ではいかない予感も感じており、多少の覚悟はしていた。 最初は皆こうするだろうが、解説サイトの画面を横に並