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【植栽家の日常】20230615 考える園芸について考えてみたりとか

今日は、今月25日放送のNHK Eテレ「趣味の園芸」の文字起こし台本の最終チェックや、昨日現地視察してきた民家の改修プロジェクトの植栽案のテーマからざっくりとした設計構想を練ったり、締切が迫っている原稿に向けて普段あまり人が気に留めない植物のある部位の観賞価値について、どのように表現すればその面白さが伝わるかを考えたりなど、デスクワークのようでありながら、園芸や植栽風景や植物についてとても深く考えた1日でした。

今回の「趣味の園芸」では、「何を植えたらよいかわからない」とか「景色がまとまらない」など、園芸や植栽で起こりがちな大メジャーお悩みについて、植栽風景をや植物のセレクトを筋道だててまとめやすい考え方について解説しています。



番組で流れる私と稲垣吾郎さんとのやりとりを文字に起こした原稿を今日チェックしていて、「園芸って外で手を動かして行う作業ばかりではなく、考えることがとても多いし、かつ深く考えることがとても重要だなぁ」と改めて感じました。

たとえば、私はバラについてことさら詳しい訳でもなく普段バラを植栽に使うこともあまりないのですが、今回の放送では、質問者が求めるあるイメージに合わせた植栽コーディネートの中でバラの品種をひとつセレクトしています。

華美でとてもよく目立つバラというわけではないのですが、無数にあるバラの品種の中から、いろんな視点から絞り込んでその品種を選んでいます。質問者のイメージにもマッチしていると思うし、かついかにも私らしいセレクトだとも思います。
そのシーンに対してなぜその品種にしたのかという意味や文脈的な繋がりを解説したところ、吾郎さんもとても納得してくださいました。

結局、成果物の感動度に差が出るのってそこなのかなと思うんですね。
構想の構造がしっかりしていないと見た目だけの表面的な「薄い景色」が出来上がってしまう。

「音楽は心から生まれて心に届くものでなくてはならない」というラフマニノフの言葉のように、園芸も自分の心から生まれてこそ相手の心に届き相手の心を動かすものなのだと思うんですよね。大袈裟な話ではなく。

園芸本の執筆などでもとかく実用性が重視され「初心者でも分かりやすいように」とか「誰でも便利ですぐに使えるアイデアを」とか言われたりもするのですが、もちろんそれも十分理解した上で、私は「そんなに簡単じゃないからこそ面白いし、追求する価値がある。そして作者の芸や術や謎めいた部分がなければ、そんな庭は面白くない」と言いたいです。

園芸で人を感動させたいのであれば、それは芸術領域の話になるので、簡単便利で誰でも同じことができればよいというものではないんですよね。
人と差をつけたいのに人と同じことがしたいという矛盾。

美的な表現のことを言うなら「秘すればこその花」な部分もあるし、全てが分かりきってしまったら知的好奇心をまったくくすぐられませんから感動しませんよね。
人と違う自身の思想や世界観を提示するのが芸術の本質と思います。

それは園芸が難しく厳しい道であるということが言いたいのではなくて、むしろ「難しすぎず、かといって簡単でもないから楽しめる」といいたいのです。
簡単に攻略できるゲームや、結末がすぐに分かっちゃう物語なんてつまらないですよね。

それなりの難しさや頭を使う場面を乗り越えることで、芸術は成し得るのではないでしょうか。
ネットやメディアに載ってることを安易にそのまま真似るのではなく、自分でも考えたりちょっと試行錯誤やチャレンジもして、ちょいムズくらい課題を楽しみながら段階的にクリアしていくことで、自分自身の園「芸」が形成されていくのだと思います。

どうすれば売れるのかを模索するためにはヒット作の研究が必要ですが、単純に真似をしてはいけません。(中略)
「これだけ売れているのだから、自分も同じ風に描けばいい」と安易な物真似に走るのは厳禁です。あくまで、研究した上で、「では自分はどうするか」を常に探究してほしいと思います。

「荒木飛呂彦の漫画術」


今日、ちょうど「ジョジョの奇妙な冒険」の作者、荒木飛呂彦氏の著作「荒木飛呂彦の漫画術」を読んでいたのですが、分野は異なれど観るものを引き込む作品を生み出す考えの本質っていっしょだなぁと思いました。

まだ読んでいる途中ですが、作品づくりの黄金律的な基本構造の考え方などなど、漫画を園芸に置き換えても共感できる名フレーズ連発で、これは私にとって大切な一冊になりそうな予感満点です😊


話は変わって、昨日は現在設計中のリノベーション案件の現地視察に行ってきました。

建築の設計変更とか、予算枠によってできそうなことが変わってきたりたりとか、だいたいいつものことで本件もいろいろ二転三転してきましたが、私もその間いつも頭のどこかでこの植栽計画について考えを巡らせてきたので、かなり揺るぎない
芯のあるテーマが練れたなと思っています。

思想的な面ではかなり面白いし普遍的な解でクリアできたと思うので、次はそれを説得力と魅力のあるデザインに落とし込む段階ですね。

デザイン面でも大体の方向性はまとまっていて、今回の視察では、実際の施工に向けて植え場所の確認や既存の樹木の大きさや樹形を再確認したりとか、建物内や敷地外からの眺めや目隠し効果など、かなり解像度を上げて細かく現場をチェックしてきました。

ある程度構想をまとめたところで再度現場を見るのは、確信度も高まるしさらなるイマジネーションも膨らんでいいですね。

今回は、新しく入れる植物は少なく、主に既存の日本庭園風樹木や庭石をあっちゃこっちゃに移動して新しい風景に組み替える計画なのですが、どの樹をどの位置に移すかという具体的なプランは概ね掴めました。

これから施主にプレゼンするコンセプトノートや図面などの資料づくり入ります。


【メディア掲載・出演のお知らせ】
「趣味の園芸 テキスト 2023年6月号」の番組連動ページ「稲垣吾郎 グリーンサムへの12か月③ ほしい風景を植物でつくる」にて私 太田敦雄が講師として執筆、6ページにわたり掲載されています。

2023年6月25、28日放送のNHK Eテレ「趣味の園芸」にもフルで出演します!



【今日のピアノ練習覚え書き】 

ウォーミングアップ
スケール ♭系全調

初見練習 

ドビュッシー「仮面」

10ページ以上ある大曲なので、今日は最初の3ページ程度読みました。


以下、楽曲練習

坂本龍一 「andata」

ミスなく、精神性の高い演奏目指して仕上げ通し練習。

スカルラッティ ソナタ K.466

こちらも仕上げに向けて味付け通し練習。

バッハ 平均律 第1巻 2番 BWV847、6番 BWV851

今日はベートーヴェンの変奏曲とヒメノ、ラフマニノフに時間を割きたかったので、2番6番とも1回のみ通し。

スクリャービン エチュードop.2-1

ほぼ仕上がっているので、舞台に出せるようにメンテナンスモード。


パスカル・ヒメノ 演奏会用リズムエチュード
1-1 ファンキー、1-3 ボレロ

今日はファンキーの冒頭2ページに集中して多くの時間を割いて練習。速度と精度を上げていきたい段階。

ボレロは、楽譜を注意深く読みながら丁寧にゆっくり1回通し。


ラフマニノフ 楽興の時 第3、4番

3番は仕上げメンテ。4番は超絶ゆっくり速度で、表現をつけながら間違えないようにメトロノームでテンポ揃え練習。

ベートーヴェン 
創作主題による32の変奏曲


テーマから第31変奏までを間違えないように通し練習。
まだ速く弾けないので、めっちゃ時間かかって結構疲れます😅


ショパン バラード第2番 op.38

今日は最初の3ページを丁寧にゆっくり弾く練習を進めました。


ベートーヴェン ソナタ第17番「テンペスト」

今日は、新規で練習中の第2楽章を譜読みに毛が生えた程度の弾き込み開始。
以下、楽曲練習



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