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#小説
#63|広くて近くて今にも落ちてきそうな空④
1935年の同じ日 6時43分
目を覚ましたシュレディンガーはカーテンを開けてから万年筆を手に取った。
おわり
あとがき
普段は小説なんて書かないんですが、今回は大学院の授業の一環で書かなければいけなかったので無理矢理書きました。
お察しの通り、ジョジョの奇妙な冒険第5部と第6部からかなりアイディアを頂いております。
作品全体のモチーフとして有名な思考実験の「シュレディンガーの猫」を使いま
#62|広くて近くて今にも落ちてきそうな空③
1935年の同じ日 6時22分
体はすっかり元に戻った。たぶん。この目の前の緑の光は点滅もしなければ消えることもない。外から話し声が聞こえてくる。遠くて何を言っているかは良く聞こえない。ドイツ語だ。つまりそれほど遠くまでは来ていないのだろうか。
よく見るとこのフラスコ、マークが付いているぞ。色は分からない。この部屋は緑の世界だ。夏のアルプスのような気持ちのいいものではなくて父さんが好きそうな
#60|広くて近くて今にも落ちてきそうな空①
1935年のある日 6時15分
頭痛がする。瞼は重い。何をしていたのか思い出せない。いや、そうじゃない、自分の意思でここに来たわけではない。ここがどこなのか全くわからない。まったく、頭が痛い。体はだるいのに熱はないみたいだ。どうにも変な気分だ。薬でも飲まされたのか。この小さな部屋は一体何なんだ。とにかく喉も乾いたし水を飲みたい。部屋は真っ暗で電気はついていないけど隙間から外の光が漏れている。と