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廃校が水族館に大変身!懐かしさを覚える教室の中で生き物たちを見て学べます。

少子化や過疎化などによって全国では毎年約450校程度が廃校になり、現存する廃校施設のうち約8割が活用されています※。ミュージアム、スポーツ施設、レストラン、ホテル、工場、企業オフィスなど、用途はさまざま。高知県室戸市の「むろと廃校水族館」も、その名の通り、廃校活用施設です。館長の若月元樹さんに話を聞きました。

 私たちは「日本ウミガメ協議会」というNPO法人です。指定管理者としてこの水族館を運営しています。室戸市は、以前から私たちの拠点の一つで、定置網に入るカメに標識を付けて放流するなどの調査をしてきました。市の廃校利活用者募集に応じて、水族館の計画がスタートしたのは2014年。ただ、ここの学校(市立椎名小学校)校舎が使われなくなったのは01年でしたから、かなり傷みも進んでいたんです。床も壁もボロボロ。修繕だけで3億5000万円かかりました。

むろと廃校水族館

学校の設備をフル活用

 館内に置いてある学校の教材備品の多くは近隣の廃校から持ってきました。市内だけでも廃校がたくさんあるんですよ。廃校というと土地や校舎ばかりに目が行きがちですが、廃校の数だけ備品も役割を失ってホコリをかぶっている。もったいないと思ったので使っているわけです。約50種類の生き物は、ほとんどが地元の漁師が捕ったものです。どこの水族館にもいるものを展示しても意味がない。予算もないですしね。クラゲを飼うくらいなら、クラゲみたいなゴミ袋を水槽で泳がせようと、「海洋ゴミ」の展示コーナーを作りました。

海洋ゴミの展示コーナー

 お遍路さんしか来なかったような場所ですからね。「集客はどうするんだ」と皆さんに心配されながら誕生した水族館ですが、18年4月にオープンすると、初年度に約17万人が来てくれました。コロナ禍にもかかわらず、22年8月には入館者が50 万人を突破。理科室で解剖教室、家庭科室では魚のさばき体験と、学校の設備をフルに使っていろいろとイベントも行っています。
 国立室戸青少年自然の家と組んで、小学生のお泊まり会を開催したり、漁師や水族館職員に興味のある高校生が対象の体験合宿も企画中です。アイデアと工夫を積み重ねてここまできました。これからも自由な発想でやっていきたいと思っています。

屋外プールでは サメやカメが泳ぐ
跳び箱を利用した水槽
使えなくなったAEDのボックス に金魚
手洗い場はタッチプールに
タッチプールには地元で捕られた生き物たちが
ボラの稚魚の群れ
理科準備室にはクジラの骨格標本
洒落がきいたオリジナルグッズ

むろと廃校水族館
高知県室戸市室戸岬町533-2 
℡ 0887-22-0815
4~9月9:00~18:00、10~3月9:00~17:00 無休 
大人(高校生以上)600円 子供(小・中学生)300円 未就学児無料
X @murosui_kochi

※2021年5月1日現在。文部科学省廃校施設等活用状況実態調査より

写真=宮﨑万純

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