新しい家族を迎えた話
新メンバーを紹介します。名前は母が悩み抜いた末、ソラに決まりました。
生後4ヵ月で貰い受けた保護猫(♀)です。誕生日がわかっていて、2023年10月11日生まれです。譲渡が決まる前に一度会っていますが、家に運ばれ、Unpackedされた瞬間の感動は一生、忘れないでしょう。
この子がやって来るまでに、実にいろいろなドラマがありました。発端は、前に飼っていた猫と“父の死”です。
犬・猫と歩んだ家族史
ファミリーヒストリーの裏には必ず犬 or 猫がいました。矢崎家というより母方の家系が切れ目なくペットを飼っており、自然と引き継がれていきました。私の幼少期にチワワのピーター(♂)、中学の時にスコッチテリアのジョルジュ(♂)が母の実家や友人から貰い受ける形でやって来ました。猫は私が大学生の頃、姉が衝動買い(?)したスコティッシュフォールドのサラ(♀)が初代。ピーターとジョルジュ、ジョルジュとサラは一緒に過ごしています。
2代目の猫はシンガプーラという種で、少々特殊なジョインでした。
ジョルジュは私、サラは姉の心の拠り所でしたが、老犬・老猫になった頃には私も姉も実家を出ており、最期まで面倒を見たのは母(と一応、父)でした。母はペットロスの悲しみに暮れ、もう当分ペットはいいと考えていたようですが、姉の職場の従業員から半ば押し付けられる形でハナがやって来ました。
矢崎家のペットは長寿
犬派か猫派かと問われたら(それ聞いてどーするの? といつも思うのですが)断然、犬派だった矢崎家もハナ一強時代に猫派へ傾いていきます。母が高齢になったのもあると思います。
母の世話が何かと手厚いので、矢崎家のペットは長生きです(サラだけ病気で短命でした)。ハナも長年、家族の癒しであり続けてくれました。
病気らしい病気に一度もかからず、2022年、ハナは静かに息を引き取りました。亡くなる直前に母の膝上でお漏らしをしたそうで、母はこれをハナからのメッセージのように受け取って、大切に胸に刻んでいます。
父が亡くなったのは、同じ年の暮れの出来事でした。
暗い2023年
2023年は、暗い年でした。大切な家族が大小2つの骨壷となり、実家は静まり返っていました。近くに住む孫たち(姉の子供)もすっかり成長し、実家が賑わう頻度もこれまでほどではなくなっていました。世話する対象を失った母は、余計なことをしたり、自分ももう長くないとかネガティブな発言が目立つようになります。
このままでは良くない…
私は姉と相談し、母がまた猫を迎い入れる気はないか探りを入れました。
母は、モードがネガティブなので、もう責任を持てないから飼いたくないと言います。何かあったら、みんなでサポートするからと言っても、サラもハナも結局、最期は自分が看取ったことを持ち出して聞き入ってくれませんでした。
しかし、母がちょくちょく地元のペットショップへ足を運んでいるという情報をキャッチします。
飼いたいんかい!
もうすぐ80歳になる母は、自分が最期まで面倒を見れないかもしれないことが気掛かりだったのです。
私は母に人生の終わりを考えながら生きてほしくありませんでした。父は振り返らずゴールテープを駆け抜けたような人生でした。どちらの生き方が正解かはわかりません。でも、元気なうちに死ぬこと前提で物事を考えるのは、何かもったいない気がしてしまいます。飼いたい気持ちがあるのなら、飼ってほしい。ピーターやジョルジュ、サラ、ハナがそうだったように、必ず人生にとってかけがえのない存在になるから。そこで、ハナの時のようにきっかけを作ってしまおうと、強行策に出ることにしました。
猫探しの旅
できればペットショップで買うことは避けたかったので、知人の伝手を頼りました。昨年、私から猫のご縁がないか聞かれた心当たりのある方、スミマセンこんなわけでした(笑)。
一度、決まりかけた縁談があったのですが、京都まで引き取りに行った先で破談になってしまいました。京都から猫を連れて実家へ直行すると一報入れた際、母は困るわと言いつつ、実は楽しみにしていたと後で知りました。実家へ着くと孫たちも集合していて、私が手ぶらと知るや、あからさまにガッカリされたのを覚えています。みんな楽しみにしていたんだね……。
渡りに船
それから半年ほど経ち、急展開がありました。私は昨年10月に勤めていた会社を辞めており、ゆっくり次の仕事(と猫)のことを考えていたのですが、ある人物から仕事のお誘いをいただきます。何度か会ってお話ししていたのですが、ある日、その方が近々保護猫を引き取る予定だと教えてくれました。こちらの事情を伝えると、3匹いるから1匹都合してくれるよう、世話になっている保護猫のボランティアの方に頼んでくれるというのです。
まさに渡りに船。仕事のこと以上に(?)話はテンポよく進み、3匹(♂×1、♀ ×2)のうち1匹を無事いただけることになりました。兄妹は、その方のお宅にソラより早く引き取られ、仲良く暮らしています。
ボランティアの方曰く、保護猫は基本20年、面倒を見れる前提で譲渡しているそうです。母の年齢はギリギリだったのですが、これまでの経緯と思いを伝えたら、快く連れて来てくださいました。譲渡の日は、実家に再び孫・全員集合、町内の子供達まで見に来るという千客万来ぶりで、文字通り“招き猫”に。ボランティアの方も、こんな賑やかな引き取りの日は経験したことないと笑ってらっしゃいました。
今や家族の話題は、すっかりソラのことばかり。孫も入り浸るようになり家はいつも賑やか、母の笑顔も増えました。一方、父の話題は減ったような気がします(笑)。
この小さな命が、人の心に与える影響は本当に果てしない。偉大だと思う。
今は子猫だけど、すぐ成猫になって、やがて老猫になる。母にとっては最後の子かもしれない。社会からほぼ断絶された母とソラの日常を、私はとても尊く感じています。
ソラちゃん、陽子をよろしくね。