連載小説『舞い落ちて、消える』Epilogue.3(Side 藤井香織) 2007/12/17②
「私の出身がどこか、佑矢は言える?」
「…関西ということは」
少し考えて佑矢先輩は言った。
「それ以上は知らないよね、訊かれたことないもん」
先程から中田先輩は佑矢先輩を真っ直ぐに見ている。一瞬も目を逸らそうとしない、瞬きさえしていないんじゃないかと思う。実際はそんなことないんだろうけれど、その目が私に向くことはない。中田先輩には佑矢先輩しか視界にないんだと思う。その目は獲物を捕らえた肉食獣に見えなくもない。
「それと何が関係があるっていうんだ」
中田先輩の威圧感に少しだけ苛