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英国留学で「先進国の貧困」を目の当たりにし、日本でゼロからイチのフードバンク事業を担う【アクセプト・メンバーの声:酒井和樹(さかい かずき)】

私たちアクセプト・インターナショナル(以下、アクセプト)の一員として活動するメンバーの声を届ける本コーナー。第7回目となる今回は、在日外国人支援事業部 フードバンク担当の酒井和樹(さかい かずき)さんにお話を伺いました。

■酒井さん |プロフィール

2021年8月より学生インターンとして当法人に参画。在日外国人支援事業部に所属し、食料配布などフードバンク事業を担当、在日外国人への相談対応の「入り口」として、2022年10月まで本事業に従事。イギリスのSOAS (School of Oriental and African Studies)で国際関係学と開発学を専攻。

参画のきっかけ

—アクセプトに入ったきっかけは?

イギリス留学中にフードバンクのボランティアに従事し、興味を持ったことがきっかけです。私はもともと国際協力に関心があったため、ロンドンのSOASで開発学を学んでいました。イギリスの中でも貧困層の多いリバプールという地域で、サッカー選手のロバートソンがボランティア活動を行う様子に鼓舞された私は、大学のボランティア募集でフードバンクの活動と出会いました。

ロンドンに留学中の酒井さん。熱狂的なサッカーファン。

ロックダウン中、人との出会いが少ない環境下で誰かと関わる活動がしたいと思い始めたフードバンク。人との出会いを通して自分自身も救われる場面があり、また、ソーシャルワーカーとして貧困問題に貢献する仕事にやりがいを感じていました。そして帰国後もフードバンクを続けようと思い、アクセプトの活動に参加しました。

アクセプトの中では、言語・文化の壁などから社会的に孤立しやすい在日外国人・特にイスラム教徒(ムスリム)の方を対象とし、定期的な食料配布会などを実施しています。食料配布会をきっかけとして、在日外国人とアクセプトの相談対応チームを繋いで個別相談の機会を提供することで、給付金・ローンの紹介と手続きの補助、仕事先の紹介などに繋げます。急場凌ぎの食料支援から、相談対応といった問題の根本的解決の伴奏支援まで、ワンストップの支援環境を整えています。

留学中に見た「先進国の貧困」

—ロンドンで学んだことと当法人の活動に繋がりはありましたか?

経済学や政策などトップダウンの視点が主流な他大学の開発学研究に対して、SOASでは、途上国の人たちの声に耳を傾け現場のニーズにあった活動を行う、ボトムアップの視点が大事にされています。このボトムアップ的なアプローチは、アクセプトの在日外国人支援、特にマイノリティとされるムスリムへの支援における、根底の考え方にかなり近いと感じました。

また、「開発」という単語は一般的に途上国を連想させますが、イギリスでも日本でも、どこの先進国に行っても貧困は存在するということを再認識しました。アクセプトとして国内でフードバンク活動を行うことは、リソースが豊富な先進国で生活困窮者を救う活動の前例を創ることに繋がり、他の国々(特に途上国)にもその実践知が生かされると思います。

「ゼロからイチ」を創るアクセプトのフードバンク活動

—イギリスでのボランティア経験は今の活動に役立っていますか?

実のところロンドンでのフードバンク活動は、さほどアクセプトと互換性のある経験にはなりませんでした。というのも、ロンドンで活動していたフードバンク活動とアクセプトの活動とでは、携わるフェーズが全く異なっていたからです。

ロンドンでの活動は、トラックで食材を運び、倉庫の巨大な冷蔵庫に保管する、という物流業者のような関わり方でした。そのため受益者と直接関わるというよりは、食材を集め、必要とする団体に渡すことが多く、都市課題としての貧困の規模感を肌で感じる機会になりました。

一方でアクセプトは、少数精鋭で、フードバンク事業の「ゼロからイチ」を創る経験が沢山ありました。受益者個々人のニーズに対応することで、自分が主体的にコミットできる感覚がありました。また、食糧配布会などで実際に対象者に会うことで、貧困問題の現場感覚を得ることができました。

二つの異なる活動内容に携わることで、より広い視野で貧困問題やフードロスの課題に触れることができ、貴重な経験となりました。現在は、食料配布会の持続的な運営と、寄付食材の不足という課題の解決に向けて、食料品寄付者の紹介や事前準備などを、リモート中心で取り組んでいます。

異文化に対する学びと認識の変化

—活動を通して大変だったことはありますか?

ムスリムの食文化に関して、個別具体的な対応を考えることが難しかったです。その分、定期的な食料配布会などを通してかなりハラールフードに詳しくなったと思います。「豚とアルコールが禁止事項」という一般的な認識はかなりざっくりしていて、原材料・製造過程・見た目など禁止事項の基準は人によってバラバラです。

また、実際に対象者と関わったことで、自分とはかなり異なる価値観を持つ人と出会い、日本の中でもマイノリティに対する認識の変化や異文化理解を体感できました。日本においてイスラム教の人々と関わることは少ないため、メディアの影響で偏った考え方に繋がりやすいかもしれませんが、フードバンクの活動はその認識を変化させるいい機会になったと思います。

「誰のために」自分が関わりたいかを見出す

—最後に、これを見ている読者の皆様に一言お願いします。

私は在日外国人支援事業部でフードバンクに携わっていますが、どの部署においてもアクセプトの事業内容は多様で、できること・できないことははっきりと決められていません。決められた事を淡々とこなす歯車のような仕事とは異なり、アクセプトでは、必要な事業内容を「ゼロから」創り上げ、主体的に取り組むことでやりがいを感じられます。

創造性のある活動を主体的に行うためには、アクセプトの理念「誰一人取り残さない」という言葉を軸に、どのフェーズや段階で、誰のために自分が関わりたいかを見出すことが鍵だと思います。もし社会課題に対して何か貢献したいという気持ちがあるならその気持ちを無視せず、共に「誰一人取り残さない」世界を目指して、はじめの一歩を踏み出してみませんか?

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アクセプト・インターナショナルでは、テロや紛争の解決を目指して活動するメンバーが常時60名ほど在籍しています。「メンバー」と一言でいっても、学生インターンから社会人プロボノ、職員まで肩書きや業務内容は多岐にわたります。各々の経歴やスキルを最大限に活かしつつ、日々業務にあたっています。

心に秘めた何かをお持ちの方も、熱意に溢れた方も、私たちと共に「前例を創る」挑戦をしませんか?あなたのご参加を心よりお待ちしております!💪

➡️メンバーとして、活動に参加する

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