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経験と紐づける「読書<体験>会」の効用

アカデミーヒルズでは、様々なタイプのイベントを開催していますが、新しいスタイルのイベント「読書体験会」(3回シリーズ)を実施しました。

このスタイルは、『人の顔した組織』の著者である福澤英弘さんと考えたフォーマットです。
福澤さんは、(株)グロービスの設立に参加、CFOとして財務を統括するとともに一貫して企業研修部門の責任者を務められた後、2007年に人材・組織開発を支援する株式会社アダットを設立され、30年近く人材や組織の開発に携わってこられた企業研修のプロフェッショナルです。
しかし福澤さんは、『人の顔した組織』の“おわりに”に記されていますが、「研修」、「人材開発」、「組織開発」という言葉ではご自身のお仕事の一部しか表現できていないと感じていらっしゃいました。
そして、ここ数年で「組織能力開発」という言葉が浮かび、ご自身がされていた仕事を表現することができたと言われます。
「組織能力開発とは、個を起点に、集団、組織とレイヤーを重ねながら、企業組織全体が持続的に成長できる能力を開発すること」と福澤さんは著書に記されています。
そして、ご自身の経験と学びをこの一冊にまとめあげられました。

福澤さんとは2008年ごろから「アダットシリーズ」としてアカデミーヒルズでビジネス講座をご一緒したご縁があり、福澤さんの集大成の著書をもとに今まではとは違うスタイルのイベントを企画したいとご相談にのってもらい、実現したのが「読書体験会」でした。

福澤さんがまとめてくださった「読書体験会」の説明です。


「読書体験会」とは、読書からの触発をメンバー同士で交差させることで、自分のものの見方や考え方(認知マップ)を変え、その結果として思考や行動を変えることが目的です。通常の読書会とは違い、書籍の読解が目的ではありません。


そして、「読書体験会」の方法は以下になります。

  • 体験1:本の中で、触発された部分(テキスト)と自分の経験とを紐づけて考える。(「経験」の交差)

  • 体験2:他者の体験1に触発され、それを自分の経験や体験1とを紐づける。(「体験」の交差)

  • 体験3:体験1と体験2を積むことで「気づき」を得て、認知マップが改定される。

福澤さんが作成された資料より

今回の「読書体験会」は、10章を3回に分けて開催しました。各回ともに該当する章で、自分が触発された部分と、なぜそこに触発されたのかを自分の経験と紐づけて発言をしてもらい、それに対して他のメンバーが感想や意見を述べ合うというスタイルでした。

ファシリテーターの福澤さんは、「なぜ、そこに触発されたのかをご自身の経験と関連させてお話ください!」と会の途中で何度か言われていたのが印象的でした。また、「一般論にするのではなく、できるだけ一人称で語るように!」とのコメントも多々ありました。
そして、3回の「読書体験会」を通じて、自分の経験との紐づけの大切さを痛感しました。
通常であれば、「著者の言いたかったことは〇〇の部分だ!」や「〇〇の部分が重要な箇所だよね!」という発想になります。しかし、著者を主体に考える必要はなく、自分を主体に考えて良いのだということが最大の学びでした。
自分が触発された部分が自分にとって大切なことで、それを自分の経験と照らし合わせて「なぜか!」を明らかにする、それを他のメンバーとシェアすることで認知マップ(自分のものの見方や考え方)が拡がっていくことを体験できたと思います。

福澤さんは最後に、「正解はない。全てがケースバイケース。しかし何らかの普遍的な原理のようなものはあるはず。組織には組織の行動原理があり、ヒトにも固有の思考原理がある。だから、その原理(枠)をどのように応用するかが大切なこと」を締めくくってくださいました。

新しい試みとしての「読書体験会」でしたが、福澤メソッドのお陰で、有意義な会となりました。
そして、秋以降に、別の本をテーマにして「読書体験会」を企画したいと思っています。
ライブラリーメンバーの皆さま、お楽しみに!!

※ファシリテーターを務めてくださった福澤さんの「読書体験会」に関する記事はこちらです。

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子


#アカデミーヒルズ #人の顔した組織 #組織論 #人材育成 #読書 #体験

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