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「なるなる論」から「する論」へ

最近読んだ本『「常識」の研究』(山本七平, 1981年)の中で、「なるなる論」という考え方が記されていました。

該当の章の一部を引用します。


(「なるなる論」とは、)一種の宿命論で、「こうなるとこうなり、そうなればああなる・・・」という「なる」の論理であって、そこには意志的な「する」がないのである。そしてこの論理に拘束されると、人間は何も「する」ことができなくなる。(中略)
この「なるなる論」は、組織が、その組織を存続させている目的を見失ったときに起こる。(中略)
目的への意識的な対応、すなわち「する組織」である限り、その「する」に対応して、発生するさまざまな現象にどう対処するかという「する」が問題になるが、この基本が失われれば一切は「なる」に還元される。
※( )と太字は筆者追記。


山本七平氏は、組織に対してこの「なるなる論」を展開していますが、これは個人にも全く当てはまると思います。
個人も、目標や目的・ビジョンが曖昧だったり見失ってしまうと、「する論」ではなく「なるなる論」の思考に陥ってしまいます。
目先のことだけではなく、広い視野と高い視点・視座が大切です。
そんなことを考えていると、今までnoteで紹介した方々の多くは「する論」で動いているなーと改めて気づきました。
そこで、以前の記事を引用しつつ、改めて紹介したいと思います。

藤沢久美さんの場合

「キャリアの棚卸し」という記事の中で、「起こった事象や経験自体よりも、それをどのように自分が意味づけるのかが重要ではないか」という話を書きました。
株式会社国際社会経済研究所の理事長の藤沢久美さんの場合は、ライフチャートで可視化をしてご自身の歩まれたキャリアを意味づけしたうえで、次の一歩を自分で歩み始められています。まさに「なる」ではなく、意志をもって「する」の方だと思います。

石田真康さんの場合

一般社団法人SPACETIDEの共同設立者の石田さんは、病気で倒れたことをきっかけに「好きなことを悔いなくやりたい!」という想いから「宇宙に関係することをやる!」と決意されました、正に「する」を体現されている方です。
そして今は、宇宙について“好き”というよりも、“愛おしい”という感情だということです。

中井佑さんの場合

teTra-aviationを起業された中井さんは、「移動をより快適にする」をビジョンに掲げて、「人々が自由に空中を移動する社会の実現」を目指し、eVTOL(electrical Vertical Take-Off and Landing:電動垂直離着陸機)の開発に取り組まれています。そして、2025年の大阪万博での実用化を目標に掲げていらっしゃいます。目的・目標に向かって「する」を実践されてます。

竹中平蔵さんの場合

そして、最後はアカデミーヒルズ理事長の竹中先生です。
先日、2年半ぶりにリアルで開催されたダボス会議の模様をPODCASTで語っていただきました。また関連記事をnoteに掲載をしました。

この記事には、今年のダボス会議についてしか掲載をしていませんが、2018年に「自分未来会議<キャリア×時間>」という連続イベントを開催しました。この企画で竹中先生へインタビューをした際、
「良い人生とは何か、楽しい人生とは何だろうかという問いから、生き方、時間との付き合い方を考えるのが良いように思います。私の場合、人生において一番素晴らしいのは「感動」なんですね。憧れとも言えます。そして、感動をもたらしてくれる突き抜けたものを見ていると、本当にやりたいことをやろうと思える。」というコメントがありました。
竹中先生は、「する」を世界規模で実践されている方だと思います。


最後に、山本七平氏の著書は40年前の本ですが、どんなに技術が発達して世の中が便利になり、社会や人々の価値観が変化しても、人間の本質・人生を歩むにあたって基本的なことは変わらないのだと、改めて感じました。
そして、自ら率先して「なるなる論」を選ぶ人は少なく、気が付かない間に「なるなる論」に陥っている場合が多いのだと思います。
そのために、日々「する論」を心掛けることが大切ですが、特に困難な状況になったときに、自分を励まして「なる」ではなく「する」で考え行動できる人を目指したいです!

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

#アカデミーヒルズ #キャリア #ビジョン #夢

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