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「平均値へ寄せる」から「バラツキを大きくする」という考え方へ

7月19日に「ゆる~くつながろう!メンバー雑談」を開催しました。

その中で、海外出身のメンバーが「日本は、食べ物が美味しいことと、トイレがきれいなことがとても気に入っている」と発言してくれました。
日本で生まれ育った私にとっては、当たり前だと思ってしまうことが、実は日本の強みだったりすることを感じた瞬間でした。
どちらかと言うと「失われた30年」という表現に代表されるように、凋落する日本をイメージしてしまいますが、日本の強みと弱みについて、私たち自身が客観的に認識することから始めないといけないな、と感じました。

次に、家庭農園をしている参加者からは、「いちごが大量に収穫できて驚いている。四季なりイチゴなので、一時期を除いてほぼオールシーズン収穫ができる。そのまま食べるだけではなくジャムにしたりと工夫をしている」という発言がありました。
その家庭農園は最初、色々な野菜を育てていましたが、いちごの繁殖力が強く、今はいちごがほぼ全体を占めているとのことです。
形や大きさはバラバラで、お店で販売しているように一様ではなく、収穫したその日に食べないと傷んでしまうくらい足がはやい、とのことです。
その話から、「日本は規格が厳しいので、規格から外れると販売できない、“訳あり商品”になってしまうが、そこまで厳しく規格を定める必要があるのかな?」という発言をしたメンバーがいました。

そこで思い出したのが、2022年11月に開催されたInnovative City Forum 2022における伊藤穣一氏の発言です。

「大量生産の時代には、同じことを正確に繰り返すことが求められていた。学校においても、躾や全てのことを最低限できるようにさせる教育だった。日本の教育は、そこから基本的には抜けきれていないと思う。
日本では29名だが、MITだけで今までに98名のノーベル賞受賞者を輩出している。過去の統計によると、MITでは6~7割が自閉症ではないかと言われており、自閉症の人々は一部について非常に高い能力を持っている。しかし“教科書通りにする”ことが重要な日本の教育では、この特殊性が排除されてしまう。
一方で、日本はアートやプロダクト、映画などあるルールに基づいているとクリエイティブを発揮するというパラドックス的な特徴がある。秩序が好きで保守的なことは日本の良さでもある。このバランスがとても重要だと思う」

Program Committee Session (Innovative City Forum 2022)より

※Innovative City Forum 2022のProgram Committee Sessionの概要はこちらの記事をご覧ください。

日本において、教育も商品の規格も、正規分布で考えると平均に寄せること、バラツキを小さくすることが優先されてきたと思います。
それはネガティブな面だけではなく、冒頭で紹介した「日本のトイレはきれい」というポジティブな結果も生み出していると思います。

しかし、多様性が重要になってくるこれからは、平均に寄せるのではなく、バラツキを大きくすることも重要だと思います。
それは、「まっすぐなキュウリだけではなく、湾曲したキュウリも同じキュウリで、甲乙つけなくても良いのではないか」と、言い換えられると思いました。

伊藤穣一氏の発言にある「秩序が好きで保守的なことは日本の良さでもある。このバランスがとても重要だと思う」の通り、バランス感覚を身に着けることが大切ではないでしょうか。

そこで、思い出した記事がこちらです。

これは、デンマーク在住のニールセン北村朋子さんに、デンマークの民主主義についてお話いただいたときの記事です。
その中で、「民主主義とは、プロがいるわけではなく、正解や完成形があるわけではないので、みんなで意見・考えを出し合って、誰一人排除せず最善の妥協点を探す必要がある」と、語ってくれました。

「議論によって最善の妥協点を探す」ためにも、バランス感覚が必要ではないかという考えに至りました。
では、バランス感覚とは何か?
これは宿題にさせてください!

メンバー雑談に参加したことで、色々な思いを巡らすことができました。
バランス感覚については、心に留めておきつつ、誰かの何かの発言から思いを巡らしてみたいと思います。そのときまでの宿題です!

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子


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