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“違い”を認め合うこと -「ICF 2022」より-

六本木ヒルズ10周年の2013年にスタートしたInnovative City Forumは、今年で10回目を迎えました。「都市と未来のライフスタイルを考える」国際会議として、毎年秋に開催されています。

今年は11月24日に、「Beyond Transition - 今、起こりつつある未来 - 」をテーマに、プログラムコミッティ4名(竹中平蔵氏、市川宏雄氏、南條史生氏、伊藤穰一氏)による討論会が行われました。

左から、竹中平蔵氏、市川宏雄氏、南條史生氏、伊藤穰一氏

その中で、「日本人のクリエイティビティ」ついての議論が繰り広げられ、多くの気付きを得たので、ご紹介したいと思います。

異文化から学ぶ

市川宏雄氏からは、
「異文化に触れることで、自分達と違うということを体験できる。世界には多様な考えや価値観が存在することを知ると、逆に日本の良さ(当たり前だと思っていたことが実は日本の強みだったなど)が分かり、新たな自分を発見する機会にもなる。とにかく海外へ行って欲しいし、社会は若者が海外へ行くチャンスをつくるべきである。」というお話がありました。
竹中平蔵氏からも、「自分自身も異文化の中に身を置くことで多くの気付きを得た経験がある。」というコメントもありました。

アートは“違う”ことが大切

南條史生氏からは、
「学校教育の中でアートだけが、違うことが大切な学科である。数学や物理は一つの正解を求めるため、みんなと同じことが大切。しかし、アートはみんなと違っていても良い唯一の学科で、違うことが重要になる。
しかし、大学の講義で『アートは、こういう見方、ああいう見方、色々な考え方がある』という話をした後に作品を紹介すると、『どれが正しいのですか?』という質問を受ける。その時には『あなたは、どう思いますか?』と質問返しをするが、これが日本の現状。
また、“いじめ”というのは、基本的にグループの中で違う人が対象になる。違うことがマイナスになる。しかしアートのように違うことが大切という教育が進めば、違うことが価値を生むという考えが芽生える。
アートはお絵描きを教えるのではなく、“新しいモノの見方や考え方を教えること”だ。」というお話がありました。

日本人は、ルールの中ではクリエイティブ

伊藤穰一氏からは、
「大量生産の時代には、同じことを正確に繰り返すことが求められていた。学校においても、躾や全てのことを最低限できるようにさせる教育だった。日本の教育は、そこから基本的には抜けきれていないと思う。
日本では29名だが、MITだけで今までに98名のノーベル賞受賞者を輩出している。過去の統計によると、MITでは6~7割が自閉症ではないかと言われており、自閉症の人々は一部について非常に高い能力を持っている。しかし“教科書通りにする”ことが重要な日本の教育では、この特殊性が排除されてしまう。
一方で、日本はアートやプロダクト、映画などあるルールに基づいているとクリエイティブを発揮するというパラドックス的な特徴がある。秩序が好きで保守的な日本の良さでもある。このバランスがとても重要だと思う。」というお話がありました。

それに対して
南條氏からは「日本には、茶道や華道などの“道”がある。それはある型(ルール)の中で極めていくことだが、それが影響しているのかもしれない。」や、
竹中氏からは「江戸時代の鎖国が、そのような日本の文化に影響しているのではないか?」というコメントがありました。

今は大きなTransition(体制移行)の中にある

今年のICFのテーマは「Beyond Transition - 今、起こりつつある未来 - 」でした。
コロナ禍になり3年近くが経ちます。そしてロシアのウクライナ侵攻やweb3などテクノロジーの進化も加速するなか、世界規模での体制移行の時期だと思われます。まだまだ先行き不透明な状況ですが、体制移行の先にある未来に対して、我々が何をしなければならないのかのヒントが沢山あったと思います。
この記事でご紹介したのは一部です。下記の動画を是非ご視聴ください。


Innovative CIty Forumは今年で10回目を迎えました。この期間の登壇者は400名以上で、その3割以上が海外からの登壇者です。そして、それは31ヵ国におよびます。
正に多様な人々による議論が繰り広げらていたのだと思います。
この10年間の動画もご視聴いただけますので、是非ご覧ください。


アカデミーヒルズ 熊田ふみ子


#アカデミーヒルズ #ICF #多様性 #クリエイティビティ #伊藤穰一
#南條史生 #アート #MIT  

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