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レファレンダム制度導入の提言:国民に憲法改正発議権を付与せよ!!


はじめに.

まず、日本においては、政治家達が国民を騙し、国民にとって不利益な法律を勝手に可決するという国民に閉ざされた政治が、常日頃から行われております。

ですが、その一方で、スイスのように、議会が可決した全ての法案に対し、国民が異議を唱える事が許されており、一定数の著名を集め、国民投票に付託し、その国民投票で否決されれば、即座に法案を廃案に出来るような、国民に開かれた政治が行われている先進国も存在します。


結局、政治家が勝手に法案を可決した所で、戦争を行うような法案が通れば、実際に戦争に行って、戦わなければならないのは国民であり、多額の税金を要するような法案が通れば、それに対して、それを実現するために税金を納めるのは国民なのです。

更には、最近では、裏金問題等、政治家の信頼を損なうような不祥事も多発しておりますから、そんな状況で、政治家に政治の全てを任せてしまう事は、到底納得がいかないと考える国民も多い事でしょう。

ですので、本記事では、主にスイスを中心に、海外諸国のレファレンダム(国民投票)制度の紹介をした後、それを是非、日本においても導入すべきであるという事を主張させていただこうと思います。


1.諸外国におけるレファレンダムの現状

図1.諸外国での国民(住民)発議の事例

スイス

まず、先進国の中で、レファレンダム制度が最も発達している国は、スイスになります。

スイスは、半直接民主制を採用していると考えられる程、直接、国民が、政治に関与できる制度が整備されております。


冒頭でも述べた通り、スイスでは、連邦議会が法案を可決した場合、100日以内に5万筆以上の署名を集め、連邦内閣事務局に提出する事で、その法案を容認するか否かの国民投票を実施できます。(国民拒否

それに加え、スイスの有権者には、憲法改正発議を行う権利が認められており、18ヶ月以内に、10万筆以上を集め、同事務局に提出する事で、憲法改正発議が行われ、それに対し、連邦議会が、提出された法案を承認・否決・対案を出すという形で対応した末、最終的に、国民投票に付し、可決されれば憲法改正が行えるとの事です。(国民発議

実際、冒頭の図(図1)でも示した通り、各国で行われるレファレンダムの内容は様々で、"同性婚の可否""禁酒法の制定""ベーシックインカムの実施の可否"等、様々な事が、国民投票に付されております。

そして、スイスで行われた国民投票の中で最も有名な議題が、『公正不可能な性的犯罪者については刑期途中で釈放せず拘禁し続け、必要なら終身刑とする』というもので、実際に国民投票に付された所、可決されたという事です。


ついでに、スイスの場合は、連邦国家体制を執っており、前述の話は、連邦国家上の話となりますが、スイスの各州には、各州毎の憲法が定められており、当然、各州毎の憲法においても、レファレンダムの規定が設けられております。

例えば、ジュネーブ州の憲法においては、"州議会の立法は、法律の公布後40日以内に7000人以上の有権者が要求する場合、州民投票にかけられる"という規定があり、州議会の立法について不満がある場合は、有権者は、異議を唱え、国民投票に付す事が出来ます

更に、"立法の目的とする事柄が、州の財政負担として、12万5000スイス・フランないし、毎年6万スイス・フランを要する法律は、必ず任意的州民投票にかけなければならない"という面白い規定もあります。

多額の財政負担を有権者に強いるような法律については、必ず、国民投票を経なければいけないという規定は、非常に道義的であり、日本人にとっても参考になる規定だと思います。


イタリア

イタリアは、通称"レファレンダムの共和国"と呼ばれており、イタリア憲法75条によって、イタリア国民には、法案成立の拒否権が保障されております。

それ故、レファレンダムが行われた回数で言えば、スイスの次点で多く、離婚法の廃止、終身刑の廃止、中絶法の廃止、原子力発電所立地自治体への補助金交付の禁止等、レファレンダムに付された法律は、多岐に渡っております。


アメリカ

元々、スイスのレファレンダム制度の発祥の地は、アメリカの各州であると考えられており、アメリカからフランスへ、フランスからスイスへと伝承されたと考えられております。

それ故、現代においても、アメリカの各州においては、州議会の承認を経ずに、直接住民の手によって、州憲法や州の法案を改正出来る権利が保障されております。図2

図2.アメリカ各州における住民発議(イニシアティブ)制度の採用状況


その他諸外国

また、イタリア等、欧州各国においては、"脱原発"についての国民投票が頻繁に実施されており、イタリアにおいては、国民投票の結果を尊重し、1990年以降、今に至るまで、一基も原発を稼働していないという事です。


ここまでご覧になっていただいた方には既にお解りかと思いますが、日本では、信用できない政治家達が、勝手にあらゆる法案を通しておりますが、海外諸国では、国民にとって重要な法案については、国民に最終決定権が与えられているという事です。


2.日本にもスイス式のレファレンダム制度を導入すべき理由

直近で言えば、LGBT理解増進法等、日本国民の合意が得られるのか怪しいような法案が、勝手に可決されてしまったりしております。

また、今後も、新しい社会保障改革案など、国民から理解を得られないような法案が、勝手に可決されてしまう可能性が高いでしょう。

なので、いざと言う時の保険のため、そういった通常法案に対する拒否権も国民に留保するという事は、大いに意義があると考えております。


更に、日本においては、政治家への信頼が殆ど無くなっているため、政治家主導での憲法改正を行う事は、ほぼ不可能であると言っても良いでしょう。

しかし、今後、憲法改正を行えない事によって、国民にとって、デメリットが生じる事も考えられます。

なので、国民が一から憲法改正草案を考え、それを国会に提出出来ると言う憲法改正発議権を国民に付与する事は、国民にとって有益な憲法改正を行う上で、必要であると考えます。


3.政治家にも大きなメリットがある

例えば、大きな予算を伴う法案等、政治家にとっても、国民に理解が得られるか否かが解らない法案は多々あると思います。

しかし、国民投票に付し、法案毎に信を問うという事を行えば、その法案が国民投票で信任された場合、国民からのお墨付きを貰えたという事で、自信を持って、その政策を実行する事が出来ます


現に、現岸田内閣では、"国民一人当たり月500円"とされるような子ども・子育て支援金制度を創設するそうですが、こういった案についても、事前に国民投票に付す事によって、可決されたのであれば、社会保険料を税金のように取り扱うという姑息な真似をせずとも、正々堂々、新たな税法の制定によって、国民から徴税を行うというやり方も行えたに違いありません。

基本的に、社会保険料に関しては、判例においても、"市町村が行う国民健康保険の保険料は、これと異なり、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものである。"と判決されており、将来、保険加入者が受け取れる保険金(特別給付)に対する保険料(反対給付)であるが故に、租税ではないため、法律に依らずに、官僚達が自由にその制度内容を変更できるという前提があります。

なので、医療保険とは、全く関係がない子ども・子育て支援金のために、医療保険料を追加で徴収してしまうという事は、前述の前提を覆す事に繋がるでしょう。

結果的に、子ども・子育て支援金制度には、財源の不安定さが生じてしまうと考えられます。


4.自民党では憲法改正は実現出来ない!

自民党は、結党当初から、憲法改正を目指しているそうですが、結党から70年経った今でも、憲法改正発議すら、一度も、行えておりません

なので、今後も、ほぼ100%、自民党主体で、憲法改正が行われる事は無いでしょう。

その代わり、私が提案するような、国民に憲法改正発議権を付与する法改正を行う事により、"衆議院への定年制の導入""首相の公選制への転換"等、ありとあらゆる国民にとってメリットがあるような憲法改正が行える可能性はあります。

いずれにせよ、国民が、憲法改正に主体的にならない限りは、憲法改正は実現しないと思っておりますので、国民発議による憲法改正の実現の可能性の方が、幾分かは高いと思っております。


まとめ.

やはり、日本の政治が一向に進展しない大きな理由は、"政治に対する国民の不参加"であると、考えております。

なので、国民に、法案の提案権や拒否権、憲法改正発議権を与える事によって、政治に参加するインセンティブを高める事が、重要であると考えております。


また、先進国各国のように、日本においても、段々と福祉国家化が進み、給与の半分以上が税金として国家に徴収されているにも関わらず、選挙の時以外は、政治に関与する手段が用意されていないというのは、非常に不合理であると言えるでしょう。

そして、そういった不合理が解消されなければ、今後一切、増税等、国民にとって不都合な法案は、国民に受け入れられないという事は、疑う余地がありません。


参考文献.

・国民投票の総て 増補 電子書籍版

・地方分権ひとつの形: スイス発言し、行動する直接民主制

・スイス直接民主制の歩み: 疑わしくは国民に

・比較・政治参加


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