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トイレットペーパーと、異文化への寛容さ

わたしが居る浅草モスクには、毎日、いろんな国・地域からの旅行者が、礼拝のために訪れます。

出会った方々の出身地域を、世界地図にマーキングしたら面白いかもしれません(今、思いつきました)。

わたしの記憶によれば、ラテンアメリカと南極、北極、オセアニア諸島(オーストラリアを除く)以外のだいたいの地域から、旅行者が訪れていたように思います。

アルハムドゥリッラー
国境・国籍、文化や民族を越えて、一緒に礼拝して交流できることは、イスラームのとても大きな美点の一つだと思います。

さて、旅行者はいろいろなところから来るのですが、わたし自身は旅行者として国外へ行った経験がほとんどありませんでした。海外からの旅行者には頻繁に会いますし、周囲の人たちもしょっちゅう海外へ行ったりしているので、なんだか自分もしょっちゅう海外へ行っているような気分になっていましたが…。

  • 学生時代のスペイン旅行

  • 結婚のためのインドネシア渡航

  • ラマダーン後半とイード休暇に、家族でインドネシアへ(最近)

最近のインドネシア滞在は、「旅行者の目線」を自分で体験する貴重な機会になりました。

ムスリム(イスラーム教徒)は世界中におり、お互いの文化に敬意を持って尊重することが大切ですが、わかっていても実際にはうまくできていないことがあります。

たとえば、自分の地域の慣習に固執する旅行者がいて、「ここは日本なのになんで(自分の地域の慣習をこちらに押し付けようとしてくるの)!?」と思ったことがこれまで何度かあったのですが、実際に自分がインドネシアに行くと、「あぁ、こういう感覚なんだな」と少しわかった気がしました。これからはもっと柔らかくなれそうです。

ちょっとした慣習の違いはいろいろなところにあります。たとえば…

  • 日本
    使用済みのトイレットペーパーは、トイレに流す

  • インドネシア
    使用済みのトイレットペーパーをトイレに流すと詰まるので、ゴミ箱に捨てる

「使用済みのトイレットペーパーはゴミ箱には捨てず、トイレに流してください」というイラスト付きの注意書きを、モスクの女性用トイレに貼りましたが(英語とインドネシア語)、毎日ゴミ箱は使用済みトイレットペーパーで溢れています。

某ハラール料理店でも同じことが起きていて、全く同じ注意書きを貼りましたが、効果はなかったようです。

これについても、「なんで!?」と思っていました。ちゃんとインドネシア語で書いてるし、文字を読まない人のためにイラストまで入れてるのにと…。

しかし、インドネシアに渡ってよくわかりました。

「ついやってしまう」習慣にはなかなか勝てないということが。

わたしも、インドネシアではトイレットペーパーをトイレに流してはいけないと、頭ではわかっていました。しかし何度も、何度も、何っ度も、ついうっかりトイレに流すということがありました。

考えてみれば、わたしがインドネシアでトイレットペーパーをトイレに流すこと(トイレが詰まる)に比べたら、インドネシア人がトイレでゴミ箱にトイレットペーパーを捨てることは、無害ではないでしょうか?

ゴミ箱にトイレットペーパーを捨てる習慣の人たちがいるなら、それを受け入れて慣れてしまえばいい。ゴミ箱に溜まったトイレットペーパーは捨てればいいだけです。

小さなことではありますが、こんなふうに自分の視野が広がる体験は、楽しいです。

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