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マインドフルネス瞑想と呼吸の関係

マインドフルネスに限らず、すべての瞑想と深いかかわりをもつのが呼吸です。ここでは呼吸が心身に及ぼす影響や理想的な呼吸について、少し深堀りしていきたいと思います。


マインドフルネス瞑想と呼吸

マインドフルネス瞑想では、基本的には呼吸のしかたに決まりはありません。こうでなければいけないという制限があると、マインドフルな状態になることが難しくなるからです。しかし、瞑想の初心者で不慣れな場合や、心の動きが活発なときは、なかなか「今」を捉えることも難しいものです。そのときに集中の対象にしたり、指針にできたりするのが呼吸です。瞑想のサポートツールと言ってもいいかもしれません。普段の生活の中ではなかなか呼吸を観察することはありませんが、マインドフルネス瞑想の中では主に以下の4つの変化を観察していきます。

①呼吸の音
日常の中では風邪をひいて鼻がつまったときや、激しい運動をしているとき、または他人の寝息くらいしか聞くことのない呼吸の音ですが、あえて耳を澄ませることで、意識を自分の内側に引き込みとどめやすくなります。

②呼吸の感触
大きく息を吸ったときの清涼感や、吐いたときの生温かい感触は、外気の温度や湿度によって異なります。この変化を観察していきます。

③呼吸のペース
激しく動いたときや緊張しているときは呼吸のペースははやくなり、安静にしていると呼吸も穏やかに安定します。呼吸のペースを観察することで心身の状態を知ることにも繋がります。

④呼吸の深さ
多くの人が本来可能な呼吸よりも浅い呼吸をしていると言われています。呼吸が浅いほど脳をはじめ体内に取り込まれる酸素の量も少ないことになり、当然ながら日々のパフォーマンスも低下してしまいます。呼吸の深さや長さに注目することが大切になります。

呼吸の心身への影響

呼吸は、瞑想時以外でも心身の状態と深い関係があります。吸気(吸う息)は交感神経を優位にさせ、身体を活気づかせアクティブな状態に、呼気(吐く息)は副交感神経を優位にしリラックスさせます。人は呼吸をしないと死んでしまいます。息を吸うことは(酸素の)供給活動ですので、無意識的に吸気が多くなりがちです。その状態が長く続けば自律神経のバランスが乱れ、心身は緊張状態が長く続くことになりますし、精神の不安定を招きやすくもなります。

また、浅い呼吸が習慣になると精神が過敏になりやすく、不安感や恐怖心、怒りの感情が生じやすくなります。脳や体内への酸素の供給も減少し、エネルギー不足による気力の低下もおこりやすくなります。浅い呼吸をしている人のほとんどが、肩や胸を使って呼吸をしています(肩呼吸・胸呼吸)が、へその数センチ下にある丹田でする呼吸が、精神的にも肉体的にも安定感をもたらすとされています。

理想的な呼吸とは

現代人の多くは、本来呼吸できる能力の2~3割程度しか使っていないといわれます。だからといって急いで何度も深呼吸をすれば、めまいを起こしたり気分が悪くなることもあり、身体に負担がかかります。一般的には、深く、細く、長く、ゆっくりした呼吸が理想とされています。休むことなく行われる呼吸の毎回を観察することは現実的ではありませんが、あえて呼吸を意識する時間をとり、意識的に理想的な呼吸に近づけていくことで、無意識時の呼吸を向上させることもできるかもしれません。

順調時の呼吸が基準

一般的な成人の平均では、1分間に16回の呼吸をしています。自分の心身が安定している時の呼吸の状態を知っておくことは、とても重要です。「順調時の呼吸」を基準にし、瞑想の実践前と実践後の変化を観察することで瞑想の効果を確認することもできますし、心身の調子を知る手掛かりにもなります。

しかし、繰り返しになりますがマインドフルネス瞑想の目的はマインドフルな状態になることであり、理想的な呼吸をすることではありません。呼吸に囚われすぎず「今」を丁寧に認識することが大切です。その手立ての1つが呼吸なのです。


(注)マインドフルネス瞑想は治療ではありません。また、過度に精神が不安定な状態ではうまく取り組めず、逆効果になってしまうこともありますので、精神疾患などにより通院中の方は、専門医や信頼のおける指導者から適切な指導の下で行うようにしてください。


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