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『人間の建設』No.30 アインシュタインという人間 №3
小林 ベルグソンは若いころにこういうことを言っています。問題を出すということが一番大事なことだ。うまく出す。問題をうまく出せば即ちそれが答えだと。この考え方はたいへんおもしろいと思いましたね。いまの文化の問題でも何の問題でもいいが、物を考えている人がうまく問題を出そうとしませんね。答えばかり出そうとあせっている。
岡 問題を出さないで答えだけを出そうというのは不可能ですね。
小林 本当にうまい質問をすればですよ、それが答えだという簡単なことですが。
この段落を読んで思い出したのが、例のニュートンとリンゴの話です。
「なぜ、リンゴは木から落ちるのか」という疑問から万有引力の法則が発見されたという逸話ですが、文書記録や物証があるわけでなく、あくまでも伝聞が流布した話であり、真偽は不明なようです。
実際には、当時知られていた、ガリレオの「落下の法則」と、天体の運動に関する「ケプラーの法則」の二つを結び付けて、昇華したというのが真相のようです。(人類最大の謎!宇宙・深海・脳の世界)
それはともかく、リンゴの逸話はおもしろいのでありがたく利用させていただきます。
われわれ凡人には、そんなことは当たり前のことであえて疑問にも思わない事なのに。凡人はまた、それはリンゴが重いからさ、とか安直に適当な答えを出したりして満足するのに。
でも、ニュートンにとってはそれがまさに問題だったのですね。
もし、ニュートンが、リンゴの落下を当たり前と思っていたら、ニュートンはいなかった?アインシュタインも出なかったかもしれない、とは言えないでしょうけれども。
答えを出すということは、問題に規定されてその世界から出られないというか、ある面問題に依存しているとも言えそうです。
それに対して、問題を出すということは、別の世界の存在を仮定したり、暗示する。フレームワークを壊すような危うさを内包します。
「それはいい質問ですね!」と先生にいわせたらしめたもの。文字通り、先生とっておきのうんちくがあるかもしれません。
逆に、そこまで準備してこなかった場合には先生も即答できません。ちょっと間をとるためにそういったかもしれませんね。
――つづく――
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※mitsuki sora さんの画像をお借りしました。
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