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Lessons no.42「3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース」から

「構想」についての洞察

ここで、私が掴んだ学びの一つである「点」をひとつ紹介することにします。「3000億円の事業を生み出す ビジネスプロデュース戦略」(PHP研究所, 2015年)にある「構想」についての洞察です。

2017年4月からそれまで抱いていたabout Youの構想をまとめようと情報収集をしていた頃、ビジネスのプロデュースの進め方が書かれていて、その進め方の中に「構想をどうまとめるか」について触れていたことから手に取りました。この中から、「変革すべきテーマ」という言葉を使う元になった項目を切り取ります。

著作では、日本には世界を制する企業が産まれない主な理由について、世界を制する企業同士で既に行われているというつながりができないことを挙げています。そのつながりが産まれない背景には、

①自前至上主義
②強い業界意識
③弱い官民の連携

があり、それぞれ説明が付されています。しかし、日本にも大きく成長するビジネスの可能性があり、その可能性は「業界と業界の間」にあるものとしています。その業界と業界の間にあるものをまとめるものが

「構想」です。

既に異業種でのコラボは進められているという話はありますが、著作では既に進められている異業種間のコラボには着眼していません。1980年代に隆盛を極めた製造業が上位を占めていた業界間構造は、GAFAをはじめとした米国発のITベンチャーがあらゆるマーケットをカバーする業界間構造に変異しました。この変異において、私たちに欠けているものが著作の中で提起されています。

構想図

上図は、業界を超えて考えられる「構想」のイメージ図です。(*著書内を若干編集して掲載)

「構想」とは、新しく付加価値を生み出す発想を指し、自らがいる業界も相手の業界も超えた「神の視座」から見渡し、両者が何をすべきか、両者に足りないものとは何かから考えられた「あるべき姿」です。そして、構想には発想の起点があるとしています。それは、

「社会的課題」です。

日本は、少子化・高齢化、医療問題、環境問題、労働問題など多岐にわたる社会課題を抱えていることから、解決策の市場規模が大きくなると考えることに構想のはじまりがあります。その社会的課題の解決を目的とすれば、他業界の企業と連携がしやすく、大きな問題であるがゆえに「一緒に、この社会的課題を解決しませんか」と、業界を超えていくつもの企業が連携することに意味があるとしています。

「領域のカベ」と「領域間にあるカベ」

このシリーズでは、「業界のカベ」を既存の業界にあるものの他に、個人とビジネスと社会にもあるのではないかと見立てます。そうすると、業界のカベというより、「領域のカベ」という言葉に置き換わる必要が出てきます。下図では著書内では上部にあった「バリューチェーン」を省き、構想も「領域を超えた構想」と言葉を置き換えました。

構想カベ横

バリューチェーンは、仕入から販売またはアフターフォローに至る時系列での順番があり、業界によってどこに関わっているか川上から川下まで違いがあるため、図中の各項目は空白でしたが、ここでは、便宜上何と何を結びつけるかをガイドするために、語句を入れ込んでいます。

ここまで著書内の図を編集すると、「領域のカベ」は各領域にあるだけではなく、個人・ビジネス・社会それぞれの中にも「領域間のカベ」があると気づかれる方も居るのではないかと思います。

構想カベ縦

領域にあるカベも、領域間にあるカベも一人ひとりが今までの出会いや掴んだ学びから何をどう見つめるかでカタチ・高さ・強度が全く違いますが、そのカベを超えようとする「構想」という言葉には、既に着眼した課題について、差し当たりではあっても解決に向けての設計や行動まで及んでいるのではないでしょうか。

アイデアにはゼロとイチという段階があるものですが、構想にも「構想する前」と「構想した後」という段階もあることから、全てを「構想」という言葉にくくってしまうことに悩みました。そこでひねり出した言葉が「テーマ」です。

「構想する前」は、各領域や領域間にあるカベについて言語化や構造化ができていないながらも漠然とした悩みや歯がゆさがあり、何とかしたいと考えるところから始まります。

著書内では「妄想」という言葉が使われていますが、各所にある事実を通して構想がカタチに至るときには、それまでのカタチが変わっていることを示すことになるのですが、単なる微調整には留まっていないわけです。

この過程には「変革」という言葉が合致し、それまで抱いていたテーマについても、「テーマその1」「テーマA」という匿名性のある名づけではなく、あなたに備わる自己実現である

挑戦と成長の矛先としてふさわしい
「変革すべきテーマ」としています。

変革すべきテーマは妄想の段階からそこにあることから、あなたが挑戦する価値があるのではないでしょうか。私が展開するセッションにおいては、「あなたが抱いているテーマ」について、冒頭から内容に入る前のどこかの時点で確認することにしています。

<補足として>

「3000億円の事業を生み出す ビジネスプロデュース戦略」は、事業創造というテーマを扱った中では意欲作ではありますが、私が掴んだ学びは、構想についての洞察とあと1か所程度です。理由は、著者の所属がコンサルティング会社であることから提言が「大企業向け」であるからです。

確かに、既に市場を構成している立場の大企業同士が構想から結びつくとビッグビジネスがプロデュースされる可能性は高いですが、一人ひとりに備わる自己実現に着眼して構想を試みようとしていた私が、著者が所属するコンサルティング会社に問合せをしても、領域が違うということで門前払いです。

実際、2017年5月当時、その当時の構想をもって問合せをしてみましたが、返事はありませんでした。私の実力不足が9割5分だとしても、一人ひとりに備わる自己実現を見つめようという立ち位置と、今の大企業を相手に商売をしようという立ち位置が違うことを確認しただけでした。

筆者から補足

ここまで、ご覧いただきありがとうございます。
次は、no.43「あなたが社会に届くプロセス」
という小見出しを掲載します。

全文について

no.07から毎回貼り付けることにしました。
目次を見て興味あるところからご覧ください。
よろしくお願いいたします。


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